日々の生活の中で、私たちはさまざまな失敗やミスを経験します。そのたびに「自分が悪かったのではないか」「もっとこうすればよかったのに」と自分を責めてしまうことはありませんか?
自分を振り返り、反省することは成長のために大切ですが、過度に自分を責め続けることはメンタルヘルスに悪影響を及ぼします。今回は、精神医学の視点から「自分を責めすぎない」ことの重要性についてお話しし、具体的な対策を紹介します。
近年、「自責」という言葉を耳にする機会が増えました。これは、自分の行動や結果について過剰に責任を感じ、自分を責めることを指します。自責の念が強すぎると、以下のようなメンタルヘルスの問題を引き起こす可能性があります。
このように、自責の念が強すぎると、心身に悪影響を及ぼします。では、どのようにすれば自分を責めすぎずに済むのでしょうか?
「反省はするけれど後悔はしない」という言葉があります。これは、自分の行動を振り返り改善につなげることは大切ですが、過去の出来事に対して必要以上に悔やみ続けることは意味がない、という考え方です。
例えば、仕事でミスをしてしまったとき、「次は同じミスをしないように気をつけよう」と考えることは建設的です。しかし、「なぜ自分はこんなにダメなんだろう」「自分がもっとしっかりしていれば…」と何度も後悔することは、精神的なストレスを増やし、自己肯定感を低下させてしまいます。
日常生活では仕事や人間関係などでストレスがかかります。そこにさらに自分で自分を責めることで、ストレスが重なり、心の負担が増してしまうのです。そのため、何かミスをしてしまったときは、「次にどうすれば改善できるか」に焦点を当て、過度な後悔をしないよう心がけましょう。

精神医学の分野では、「認知行動療法(CBT)」という治療法があります。その中の一つに「認知再構成」という技法があり、自分の考え方の癖を見直し、より適応的な考え方に修正していくことを目的としています。
このような考えが浮かんできたときは、「本当に自分だけの責任なのか?」と問いかけてみましょう。実際には、他の要因が影響していることが多く、すべてを自分のせいにする必要はないのです。
例えば、「会議でうまく発言できなかった」と感じた場合でも、「そもそも議論の方向性が自分の専門外だった」「準備する時間が足りなかった」など、他の要因を考慮することで、必要以上に自分を責めることを防ぐことができます。
では、なぜ人は自分を責めすぎてしまうのでしょうか?大きく分けて、以下の二つのタイプが考えられます。
うつ病の症状の一つとして、「自分を責める思考パターン」があります。これは脳の働きが影響しており、病気の一環として考えられます。そのため、うつ病の治療を進めることで、自責の念が軽減されることがあります。
もともとの性格や幼少期の経験が影響し、自責の念を抱きやすい人もいます。例えば、子どもの頃に親や周囲の大人から頻繁に叱られたり、「お前のせいだ」と言われたりした経験がある場合、大人になってからも「何か問題が起きたときは自分が悪い」と考えやすくなる傾向があります。

では、自分を責めすぎないためにはどうすればよいのでしょうか?
× 特定の他者を責める → 〇 偶然や環境の影響と考える
例えば、仕事でミスをしたときに「自分が悪い」と責めるのではなく、「たまたまタイミングが悪かった」「環境の影響もあった」と考えると、過度な自責を避けることができます。ただし、ミスの改善点は振り返り、次に生かすことが大切です。
✔ 「自分を責める以外の考え方がないか?」と問いかけてみる
✔ 特定の誰かではなく、環境や偶然の影響を考える
✔ ミスを反省しても、後悔は長引かせない
日々の生活の中で、自分を責めてしまう場面は多くあります。しかし、過度な自責は心の健康を損ねてしまいます。考え方の癖を見直し、ストレスを軽減する方法を取り入れながら、前向きに生きることを心がけましょう。