現代社会において、多くの人が日々さまざまな不安を抱えながら生活しています。
その中でも、特に強い不安や恐怖が頭から離れず、それを打ち消すための行動を繰り返してしまう
「強迫性障害(OCD:Obsessive-Compulsive Disorder)」という疾患があります。
本記事では、強迫性障害の症状、原因、治療法について詳しく解説し、適切な対処法についてもご紹介します。

強迫性障害とは、強い不安や恐怖に基づく「強迫観念」と、それを打ち消すために繰り返される「確認行為」の2つが特徴的な精神疾患です。
この2つの要素が悪循環を生み、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
強迫性障害の症状は、大きく分けて以下の2つに分類されます。
「頭から離れない不安や考え」のことを指します。本人も「過剰な心配だ」と理解しているものの、それを抑えることができず、常に気になってしまいます。
たとえば、以下のような考えが挙げられます。
強迫観念による不安を解消するために、特定の行動を繰り返すことを指します。
例えば、「手が汚れているのではないか」と感じることで、何度も手を洗うという行動が挙げられます。初めは数分だった手洗いが、次第に10分、30分、1時間と増えていくこともあり、日常生活に支障をきたします。
このように、強迫観念と確認行為が繰り返されることで、生活の質が低下し、社会生活に大きな影響を及ぼすことがあります。

強迫性障害の正確な原因はまだ解明されていませんが、主に以下の3つの要因が関係していると考えられています。
生まれつき神経質であったり、不安を感じやすい性格の人は、強迫性障害になりやすい傾向があるとされています。完璧主義や責任感が強い人ほど、「間違いが許されない」と感じることが多く、不安が強まりやすいです。
過去に経験した強いストレスやトラウマが引き金となる場合があります。
たとえば、幼少期に厳しくしつけられた経験や、過去に失敗したことで強い不安を抱えたことが、強迫性障害の発症につながることがあります。
脳内の神経伝達物質であるセロトニンの不足が関係していると考えられています。
セロトニンは感情のコントロールに関与する重要な物質であり、その働きが低下すると、不安や強迫観念が生じやすくなるとされています。
このため、強迫性障害の治療には、セロトニンを増やす薬が用いられることが多いです。
強迫性障害の治療には、大きく分けて「薬物療法」と「認知行動療法(暴露反応妨害法)」の2つの方法があります。
主に抗うつ薬(SSRI:選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が使用されます。
うつ病と同じように、強迫性障害も脳内のセロトニン不足が関与しているため、SSRIの投与によって症状が改善することが期待されます。ただし、うつ病の治療に比べて、強迫性障害ではより高用量の薬が必要になることが多いのが特徴です。
また、強い不安を抑えるために抗不安薬が用いられることもありますが、依存性の問題があるため、使用は最小限にとどめることが推奨されます。
「暴露反応妨害法(ERP: Exposure and Response Prevention)」とは、不安や恐怖を感じる状況にあえて直面し、それに対する確認行為を控えることで、不安に慣れていく治療法です。
例えば、「手が汚れているかもしれない」という強迫観念がある場合、あえて手洗いをせずに不安を感じる状態を続けます。初めは強い不安を感じますが、徐々にその不安が和らいでいくことを体験することで、「確認行為をしなくても問題ない」と学習していきます。
この治療法は、薬物療法と並行して行うことで、より高い効果が期待できます。

強迫性障害の治療は、以下の3段階で進めるのが一般的です。
強迫性障害は、「強迫観念」と「確認行為」が悪循環を生むことで、日常生活に大きな影響を及ぼす疾患です。原因は完全には解明されていませんが、性格的要因、ストレス、脳の機能異常などが関係していると考えられています。
治療には、抗うつ薬を用いた薬物療法と、認知行動療法の一種である暴露反応妨害法が効果的です。
適切な治療を受けることで、多くの人が症状を改善し、普通の生活を取り戻すことができます。「もしかして…」と感じたら、早めに専門医に相談することが大切です。