今回は、知的障害と医療の基礎を包括的に理解し、対応の重要性を認識した上で、実践できることを目指します。
医療は日々驚異的に進歩しており、特に診断や治療の向上により私たちは大きな恩恵を受けています。知的障害に対しても、脳の機能障害や二次的な合併症を予防・改善することに貢献しています。
知的障害の発生原因を知ることは、障害の予防や軽減を図り、今後の状態の変化を予測するために重要です。
また、合併症について正しい知識を持つことで、安全で良好な状態を維持し、QOL(生活の質)の向上に役立ちます。支援者自身の健康管理も大切です。
今回は知的障害の発生予防を中心に学びます。

ゲノム研究は、ヒトの細胞核に存在する約60億(半数体で30億)個の遺伝子暗号を解読し、遺伝子配列とその産物の機能を明らかにする国際プロジェクトです。
近年、ゲノム研究の進展により遺伝性疾患の原因が次々と解明され、正確な診断や新しい治療法の開発が可能となっています。
遺伝相談は、遺伝性疾患の診断、治療、予後、再発危険率の理解、再発予防のための選択肢などに関する情報提供を通じて、患者やその家族が遺伝性疾患に対してうまく適応し、将来の生殖に関する意思決定を支援する対話過程です。
遺伝相談の対象は、遺伝子病(遺伝性筋・神経疾患、難聴、色覚異常など)、先天異常(染色体異常、多発奇形症候群など)、生活習慣病や癌などの遺伝的要素をもつすべての疾患に拡大されています。

出生前診断には侵襲的方法と無侵襲的方法があります。
侵襲的方法には羊水穿刺、絨毛採取、胎児血採取があり、無侵襲的方法には胎児画像診断、母体血トリプルマーカースクリーニング検査、最近では母体血中非細胞性DNAシークエンシング検査(NIPT)が注目されています。
中でもNIPTは、母体血の血漿に含まれるDNA断片を次世代シークエンサーで解析し、胎児の染色体異常を正確に判別する方法です。
特異度がほぼ100%、感度が99%で、ダウン症候群の胎児を診断できます。
先天異常が胎児に診断された場合の妊婦への支援は、診断の時期により異なります。
妊婦は出生前診断の結果が出るまでに多大な心理的ストレスを受けるため、心のケアが必要です。
両親が人工妊娠中絶を選ぶかどうかは自らの意思決定に委ねられ、支援者は中立的な立場で正しい情報を提供します。
妊娠を継続する場合、適切な治療の可能性を伝え、両親を共感をもって支援すべきです。
最後に、アメリカではNIPTの際に、ダウン症の人々が幸福で自分に満足しているという調査結果のパンフレットが配布されており、人工妊娠中絶率が減少しています。
以上が知的障害の発生予防に関する説明です。
お読みいただきましてありがとうございました。