主張する【生活に生かす精神医学、精神科医が4分でしっかりまとめます】

生活に生かす精神医学:「主張する」ことの大切さ

私たちの日常生活において、「我慢する」という行為は決して珍しいものではありません。職場や家庭、友人関係の中で、自分の意見や希望を押し殺し、相手を優先してしまうことは、多くの人にとって自然な振る舞いでしょう。しかし、過度に我慢を続けることは、心身の不調を招く原因となり得ます。不眠、不安、抑うつといった症状が現れることも少なくありません。

では、こうした状況を改善するためにはどうすればよいのでしょうか。その答えの一つが「主張する」ことです。今回は、精神医学の観点から、適切な自己主張の方法について考えていきます。


「主張する」ことの重要性

自分の意見をしっかり伝えることは、決してわがままや自己中心的な行動ではありません。むしろ、健康的な人間関係を築く上で欠かせないスキルの一つです。

心理学の分野では、「アサーション(適度な自己主張)」という概念があり、これは「相手を尊重しつつ、自分の意見や気持ちを適切に伝える技術」を指します。我慢しすぎるのも、逆に言いすぎてしまうのも、どちらも望ましくありません。大切なのは、その中間を見つけ、バランスよく自己表現を行うことです。


なぜ「我慢しすぎる」のか?

なぜ「我慢しすぎる」のか?

人が過度に我慢してしまう背景には、主に二つの要因が考えられます。

  1. 性格的な要因
    もともと他者を優先しやすい性格の人は、「自分の意見を言うことよりも、相手を立てることが大切」と考えがちです。このような人は、相手に迷惑をかけたくない、嫌われたくないという気持ちが強く、結果として自分の意見を押し殺してしまう傾向があります。
  2. 経験的な要因
    過去の経験から「主張すると嫌な思いをする」「意見を言っても否定される」といった学習をしてしまい、自然と意見を言うことを避けるようになってしまうケースもあります。特に、幼少期から周囲に「我慢することが美徳」と教えられてきた人ほど、その影響は大きいと考えられます。

「主張する」ことへの不安を乗り越えるために

「主張したいけれど、相手を傷つけたり、嫌な顔をされたりしないか不安…」という声もよく聞かれます。こうした不安を軽減するためには、次のような考え方が役立ちます。

  1. 「おそらく大丈夫」と考える
    もともと我慢する習慣がある人は、基本的に相手を思いやる気持ちが強い傾向があります。そのため、自分では「言い過ぎた」と感じても、実際にはそこまで強い印象を与えていない場合が多いのです。
  2. 言いすぎた場合は修正すればよい
    もしも主張しすぎてしまったと感じた場合は、後から調整すれば問題ありません。「もう少し柔らかい表現にすればよかったな」と振り返り、次の機会に活かせばよいのです。完璧を求めず、試行錯誤しながら適切なバランスを見つけていきましょう。

「主張する」練習のためのステップ

「主張する」練習のためのステップ

初めて自己主張をする際には、不安や緊張を感じることもあるでしょう。そのような場合には、次のような方法で少しずつ慣れていくことが効果的です。

  1. 簡単な場面から始める
    まずは、大きな対立を生まないような場面で、意見を伝える練習をしましょう。例えば、レストランで「少し辛めの料理が好きなので、おすすめを教えてください」と店員に話しかけるのも良い練習になります。
  2. リラックスしながら話す
    緊張しすぎると、余計に萎縮してしまいます。意見を伝える前に深呼吸をする、リラックスできる環境で話すなど、緊張をほぐす工夫を取り入れてみましょう。
  3. 「主張する権利がある」と自覚する
    どんな人にも、自分の意見を伝える権利があります。「自分の気持ちを表現してもいいのだ」と意識することで、一歩を踏み出しやすくなります。

まとめ

我慢しすぎると、ストレスが溜まり心身の不調を引き起こす可能性がある
適度な自己主張(アサーション)が、健康的な人間関係を築く鍵となる
「我慢しすぎる」背景には、性格的・経験的な要因がある
少しずつ「主張する」練習を行い、無理のない範囲で自己表現の幅を広げることが大切

今回のテーマである「主張する」ことは、決して相手を押しのけることではなく、「自分の気持ちを大切にする」ための行為です。我慢しすぎず、しかし相手も尊重しながら、適度なバランスを意識して日常生活に活かしていきましょう。