やることを選ぶ【生活に生かす精神医学】

 「どうすればよりよく生きられるのか?」という問いに対して、万人に共通する答えを出すのは非常に難しいものです。人それぞれの環境や個性が異なり、一概に最適解を示すことができないからです。

 しかし、「その人個人としてベストを尽くすにはどうすればよいか?」という視点で考えれば、答えを見つけやすくなります。その鍵の一つとなるのが、「日々の行動を意識的に選ぶこと」です。


行動を選ぶ重要性と理論的背景

 この考え方の理論的な背景には、「行動分析」や「認知行動療法」における「行動療法」の概念があります。行動療法とは、望ましい行動を増やし、望ましくない行動を減らすことを目的とした心理学的手法です。

 行動には狭義のものと広義のものがあります。
  • 狭義の行動: 身体の動きや具体的な活動(例: 歩く、運動する、掃除するなど)。
  • 広義の行動: 言葉を発する、考える、聞くといった知的活動も含まれる。

 広い意味で考えると、私たちの生活や人生は行動の積み重ねによって成り立っています。そのため、日々の行動の選択が、未来の自分に大きな影響を与えることになります。


短期的な影響と長期的な影響

 どんな行動であれ、それを選択した結果として、短期的な変化と長期的な変化が生じます。

 例1: 辛いときの飲酒
  • 短期的な影響: 一時的な気晴らしやリラックス効果がある。
  • 長期的な影響: 飲酒の習慣がつくと、健康を害し、経済的にも負担が増える。
 例2: 定期的な運動
  • 短期的な影響: 体が疲れたり、筋肉痛が生じるかもしれない。
  • 長期的な影響: 健康が向上し、精神的にも安定する。

 このように、短期的に楽であっても長期的に悪影響を及ぼす行動もあれば、短期的に負荷があっても長期的にプラスになる行動もあります。

 良い行動とは、「長期的に見てプラスになるもの」です。さらに、「短期的な達成感があり、かつ長期的にも悪影響の少ないもの」も良い行動といえます。
 一方で、悪い行動とは「長期的に見てマイナスになるもの」であり、楽しみや効果が少なく、単なる惰性で行われるものも望ましくありません。


行動を選ぶためのステップ

 より良い行動を選択するためには、以下のステップが有効です。

 1.現在の生活を振り返る
  o 自分が普段どのような行動をしているかを客観的に分析する。
  o どの行動がポジティブな影響をもたらしているかを見極める。

 2.良い行動を増やす
  o 長期的にプラスになる行動を積極的に取り入れる。
  o 例: 運動を習慣化する、本を読む、学習を継続する。

 3.悪い行動を減らす
  o 長期的にマイナスになる行動を少しずつ減らす。
  o 例: 過度な飲酒や夜更かし、惰性的なスマホの使用を見直す。

 4.動機づけを考える
  o 継続的に良い行動を続けるために、自分に合ったモチベーションを見つける。
  o 例: 目標を設定する、報酬を用意する、進捗を記録する。

 5.環境を整える
  o 行動をサポートする環境を整えることも重要。
  o 例: 運動をしたいなら運動しやすい環境を整える、読書習慣をつけたいなら本を手元に置く。


他人と比較せず、自分のペースで

 現代社会では、SNSなどを通じて他人の生活が簡単に目に入るため、つい他人と比較してしまいがちです。しかし、他人と比べて「自分は劣っている」と感じると、行動する意欲が下がることもあります。

 大切なのは、自分自身の成長に目を向けることです。他人と競争するのではなく、昨日の自分より少しでも良い行動を積み重ねることが、最終的に自分の人生を豊かにする鍵となります。


まとめ

 • 人生は行動の積み重ねで成り立っている。良い行動を意識的に選ぶことが重要。
 • 短期的な楽しさよりも、長期的にプラスになる行動を増やすことが望ましい。
 • 生活を振り返り、良い行動を増やし、悪い行動を少しずつ減らす努力をする。
 • 環境やモチベーションを考慮し、継続できる仕組みを作る。
 • 他人と比較しすぎず、自分自身のために最適な行動を選択する。

 日々の行動を選ぶことで、未来の自分をより良い方向へと導くことができます。

 無理のない範囲で、少しずつでも行動を見直し、より良い生活を目指していきましょう。