私たちは日々、さまざまなストレスや悩みに直面します。特に大きなストレスを抱え、うつ症状などが出てしまった場合、その原因となる問題を解決しようとすることが重要です。しかし、現実にはすべての問題が解決できるわけではありません。どうしても解決が難しい問題に直面したとき、私たちはどうすればよいのでしょうか?

その答えの一つとして、「問題を解決すること」ではなく、「問題を受け入れること」があります。これは、心理療法の一つであるACT療法(アクセプタンス&コミットメント・セラピー:Acceptance and Commitment Therapy)に基づいた考え方です。本記事では、ACT療法における「受け入れる」というアプローチについて詳しく解説し、ストレスとの向き合い方について考えていきます。

従来の認知行動療法(CBT:Cognitive Behavioral Therapy)は、問題を解決したり、思考や行動を修正したりすることを目的としています。CBTは、多くの場面で有効ですが、「どうしても解決できない問題」や「変えられない現実」に直面したときには、対処が難しくなることがあります。
そこで、従来の認知行動療法に「受け入れる」というアプローチを加えたのがACT技法です。ACT技法では、問題の解決に固執するのではなく、「解決が難しい問題は受け入れる」という考え方を積極的に取り入れています。
| 認知行動療法(CBT) | ACT技法 | |
| 目的 | 問題を解決し、思考・行動を修正する | 問題を受け入れ、柔軟に対応する |
| アプローチ | 思考の変容、問題解決 | マインドフルネス、コミットメント |
| 適応範囲 | 解決可能な問題 | 解決が難しい問題 |
ACT技法は、「解決できない問題にどう向き合うか」という視点を大切にしています。それでは、具体的にどのような方法で受け入れるのか、ACT技法の2つの主要な手法について見ていきましょう。
マインドフルネスとは、自分の状態をありのままに受け入れることを指します。私たちはストレスや不安を感じたとき、それらを回避しようとしたり、過剰に反応してしまったりすることがあります。しかし、回避や過剰な反応は、かえってストレスを強めてしまうことがあります。
マインドフルネスでは、「嫌な感情や不快な状況を無理に変えようとせず、そのまま受け止める」ことを重視します。具体的には、以下のような方法が挙げられます。


このように、自分の感情や思考をありのまま受け入れることで、「ストレスと上手に付き合う力」が養われます。
マインドフルネスだけでは、ただ辛い感情を受け入れるだけになってしまい、精神的な負担が大きくなります。そこで重要なのが「コミットメント」です。
コミットメントとは、自分の目標や価値観(軸)を明確にし、それに向かって行動することです。目標があると、多少の困難があっても前向きに受け入れやすくなります。
例えば、次のような質問を自分に問いかけてみましょう。

こうした問いを考えることで、「辛い状況の中でも、自分が進むべき方向を見失わないようにする」ことができます。
ここで重要なのは、「受け入れること」は「諦めること」ではないという点です。ACT技法を取り入れると、「問題を無理に解決しようとせず、受け入れる」という選択肢が生まれます。しかし、それは単に「何もしない」ということではありません。
このようにバランスを取ることで、精神的な負担を軽減しながらも、前向きに人生を歩むことができます。

このステップを実践することで、ストレスや不安に押しつぶされることなく、より柔軟に対応できるようになります。


ストレスや悩みに直面したとき、「解決」だけが唯一の道ではありません。「受け入れる」という選択肢を持つことで、心が少し楽になることもあります。自分の心と向き合いながら、無理のない方法で対処していきましょう。