「うつ病」で休職になった方へ

 適応障害は特定のストレスに対する反応として発症しますが、うつ病はストレスに対する反応というよりも、「脳の不調」の側面が大きいです。特にセロトニンなどの神経伝達物質の不足が関与しているとされ、単なるストレス対処だけではなく、医学的な治療が不可欠となります。そのため、適応障害以上に薬物療法が重要になり、適切な休養やリハビリが回復への鍵となります。


うつ病の方が抱えやすい問題点

うつ病の方は、以下のような特徴的な問題を抱えやすい傾向があります。

休養を取りづらい:休むことに罪悪感を抱き、「周囲に迷惑をかけてしまうのでは」と自分を追い詰めてしまう。
体を動かすことが難しい:意欲の低下や疲れやすさから、活動を始める一歩が踏み出せない。
治療の継続が困難:症状が長引くと、「このまま治らないのでは」と悲観的になり、治療を途中で諦めてしまう。

これらの問題に対処するために、適切な治療計画を立てることが大切です。


休職中の過ごし方

 うつ病の治療は「前期・中期・後期」に分けて考えることができます。それぞれの段階で、適切な対応を取ることが回復への近道となります。

前期(休養を優先する時期)

 うつ病の治療初期には、まずはしっかりと休養を取ることが必要です。次のような点に注意しましょう。

• 不安や罪悪感を手放す
 「将来が不安」「会社に迷惑をかけている」といった思いから、休むことに抵抗を感じることがあるかもしれません。しかし、十分な休息を取ることは回復のために不可欠です。焦らずに心と体を休めることを最優先にしましょう。

• 考えすぎないようにする
 休んでいる間に「今後どうすべきか」などを考えすぎると、かえってストレスになります。もし考えが止まらない場合は、音楽を聴く、軽い読書をするなど、意識をそらす工夫をしましょう。

• 過眠も悪くない
 うつ病の初期には、一時的に寝すぎることがあります。しかし、これは脳が回復のために必要としている休息であるため、無理に活動しようとせず、自然な流れに任せることが大切です。

• 生活リズムを大きく崩さない
 休職中であっても、昼夜逆転せず、一定のリズムで起床・就寝するよう心がけましょう。


中期(徐々に活動を増やす時期)

 休養によって少しずつエネルギーが戻ってきたら、次のステップとして、無理のない範囲で活動を増やしていきます。

• 焦らず、少しずつ動き出す
 いきなり以前のような生活に戻そうとすると、意欲低下や疲労感が強くなり、再び体調を崩してしまう可能性があります。まずは短時間の散歩や軽いストレッチから始めましょう。

• 薬の調整を相談する
 まだ脳の機能が十分に回復していない場合も多いため、症状に応じて主治医と薬の調整を行うことが重要です。

• リワークプログラムの活用
 休職中の方を対象としたリワークプログラム(復職支援プログラム)に参加することで、生活リズムを整え、徐々に社会復帰の準備を進めることができます。

• 簡単な趣味を始める
 読書や映画鑑賞、手芸、ガーデニングなど、負担の少ない趣味を取り入れて、気分転換を図りましょう。


後期(復帰に向けた準備をする時期)

 復職を見据えた準備を始める段階では、実際の勤務時間に近い活動を取り入れていきます。

• 1日8時間、週5日の活動を目指す
 通勤時間を想定し、電車に乗って、図書館やカフェに通う習慣をつけると、復職後の負担を軽減できます。

• 職場の環境調整の検討
 うつ病は、適応障害ほど職場環境の調整が必要ではないことが多いですが、ストレスが発端となるケースもあるため、振り返りを行い、会社の担当部署と調整することが望ましいです。

• 試し出勤を行う
 可能であれば、リモートワークや短時間勤務など、徐々に職場復帰する方法を検討しましょう。


まとめ

• うつ病は脳の不調によるものであり、薬物療法と休養が重要。
• 休職中は「休養」「リハビリ」「復帰準備」の3段階に分けて考えるとよい。
• 前期ではしっかり休養を取り、焦らずに回復を優先する。
• 中期では無理のない範囲で活動を増やし、医師と相談しながら薬の調整を行う。
• 後期では復職を見据えたリズムを整え、必要に応じて職場環境の調整を行う。
• 無理をせず、焦らず、自分のペースで回復を目指すことが大切。

うつ病の回復には時間がかかることが多いため、焦らずに治療を続けることが大切です。

しっかりと休養を取りながら、徐々に社会復帰の準備を進めていきましょう。