うつ病・適応障害、ご家族の心がけ3つ+1

 うつ病や適応障害の診断を受け、特に休職を勧められた際に、多くのご家族が「どのように本人とかかわればよいか」と悩みます。患者さんの性格や、ご家族の性格、お互いの関係性によって最適な対応は異なりますが、共通する重要なポイントがあります。

 本記事では、うつ病や適応障害の患者さんを支えるうえで、ご家族が心がけるべき3つのポイントと、追加で注意すべき点について解説します。


① 強く言いすぎない

 患者さんが「家でいろいろ言われて休めない」と訴えることがあります。うつ病や適応障害で休職している場合、すでに罪悪感を抱えていることが多く、家族から強く言われることでさらに追い詰められ、治療に悪影響を及ぼすことがあります。

強く言いすぎると
 • 罪悪感の増幅:患者さんは「自分はダメな人間だ」と思い込んでしまいます。
 • ストレスの増加:心が休まらず、回復が遅れます。
 • 家庭内の対立:患者さんとの関係が悪化し、さらに孤立を深めてしまいます。

 ご自宅は患者さんがじっくり休める場所であることが望ましいです。しかし、ご家族としては、患者さんを思うがゆえに助言をしたくなったり、不安や焦りから厳しく言ってしまうこともあるでしょう。それでも、できる限り強く言いすぎないように心がけましょう。もし、どうしても感情的になりそうなときは、少し距離をとることも有効です。

具体的な対処法
 • 否定的な言葉を避ける:「どうしてできないの?」ではなく、「無理しなくていいよ」と声をかける。
 • 状況を理解する:患者さんの気持ちに寄り添い、必要以上にプレッシャーをかけない。
 • 深呼吸して冷静になる:感情的になりそうなときは、一度深呼吸して落ち着く。


② 聞き手になる

 患者さんが話したいときに話を聞ける姿勢でいることが大切です。ご家族が適切な聞き手になることで、患者さんが「無関心にされている」と感じることを防げますし、話をすることで気持ちを整理し、ストレスを軽減する効果も期待できます。

避けるべき聞き方
 • 話を途中で遮る:「それは違うよ」とすぐに否定しない。
 • 価値観を押し付ける:「普通はこうするものだよ」と決めつけない。
 • 強く言う:「だから言ったでしょう?」と責めない。

望ましい聞き方
 • 本人が話しやすいように質問する:「最近どう?」と気軽に尋ねる。
 • 話を否定しない:「そんなこと気にしなくていい」と軽視しない。
 • できる範囲で共感を示す:「それはつらかったね」と気持ちを受け止める。

共感を示しながら、無理のない範囲で聞き手に回ることが大切です。


③ ご家族自身の心のケア

 患者さんを支えるうえで、ご家族自身の精神的な負担も決して小さくありません。患者さんをサポートしながらも、ご家族自身の心のケアを忘れないことが重要です。

ご家族がストレスを感じる要因
 • 患者さんの回復が見えにくい:長期間のサポートが必要になる。
 • 経済的な不安:治療費や生活費の負担。
 • 自分の時間が減る:介護やサポートで自由な時間が取れない。

ご家族自身のケア方法
 • 無理をしない:「すべて自分が支えなければ」と思わない。
 • 相談相手を見つける:信頼できる友人や専門家に話す。
 • 趣味やリラックスできる時間を作る:ストレス発散の方法を持つ。

 そのため、ご家族自身も無理をしすぎず、できる範囲で対応することが大切です。知人や専門家に相談することも有効ですし、適度なストレス発散を心がけましょう。


+1 本人の療養が望ましくない場合の対応

 基本的には、患者さんが安心して療養できる環境を整えることが最優先ですが、時にはご家族が適切に対応しなければならないケースもあります。以下のような状況が見られる場合には、ただ聞くだけではなく、適切な対応が求められます。

① 薬の服用が適切にできていない
 治療の一環として処方された薬を飲まない、あるいは指示通りに服用できていない場合は、病状が悪化する恐れがあります。慎重に聞き取りを行いながら、必要に応じて主治医に相談することも検討しましょう。

② 生活リズムや習慣が乱れている
 不摂生な生活やギャンブルなど、本人の健康を損なう行動が見られる場合は、そのまま放置しないことが重要です。責めるとこじれるので、落ち着いて話を聞きつつ、必要な修正を促しましょう。

③ 家族への暴言・暴力
 患者さんの状態が悪化し、暴言や暴力が見られる場合には、冷静に対応することが重要です。
  • 感情を交えず、淡々と拒否する
  • 危険を感じたら距離をとる
このような状況では、専門機関への相談も検討しましょう。


まとめ

1.強く言いすぎない:休養を妨げることなく、できるだけ穏やかに接する。

2.聞き手になる:患者さんが話したいときに、共感しながら話を聞く。

3.ご家族自身の心のケアを大切にする:無理をせず、知人や専門家への相談を検討する。

+1. 療養が望ましくない場合の対応:薬の服用、生活習慣、暴言・暴力などの問題に適切に対応する。

ご家族自身の健康も大切にしながら、できる範囲でサポートをしていきましょう。