はじめに
うつ病や適応障害では、「やる気が出ない」「何をするにも億劫に感じる」「意欲が湧かない」といった症状がよく見られます。抗うつ薬の服用や休職・休養を通じて、落ち込みや不安が改善することはありますが、それだけでは意欲低下がなかなか解消されないことも少なくありません。
そのような場合、「行動を増やし、刺激を与えることで意欲を引き出す」という方法が有効になります。これは「行動活性化(Behavioral Activation)」と呼ばれる認知行動療法の一つで、意識的に行動量と質を向上させることで、意欲の改善を目指します。
本記事では、この行動活性化について詳しく解説し、具体的な実践方法をご紹介します。
行動活性化は認知行動療法(CBT:Cognitive Behavioral Therapy)の中の一つの技法です。認知行動療法では、人間の心理状態を以下の4つの要素に分けて考えます。
この4つの要素は相互に影響を及ぼし合っています。そのため、「意欲が出ない」「気分が落ち込む」といった症状を改善するためには、意識的に認知(考え方)や行動を調整し、それによって感情や体の感覚の改善を図ることが有効です。
行動活性化では、特に「行動」に焦点を当て、意識的に行動を増やすことで意欲を改善するというアプローチをとります。

行動活性化を実践するうえで重要なポイントは、大きく分けて以下の2つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
意欲が低下していると、「やる気が出たら動こう」と考えがちですが、これは逆効果になることがあります。意欲が湧くのを待っていると、その間に「何もしない時間が続く → さらに意欲が低下する」という悪循環に陥ってしまう可能性があるからです。
そのため、まずは「動く」ことを意識することが重要です。少しずつでも行動を増やしていくことで、刺激が生まれ、徐々に意欲も湧いてくるようになります。
いきなり大きな目標を設定すると、達成できなかったときに落ち込みやすくなります。そのため、「小さな一歩」から始め、徐々に活動量を増やしていくことが大切です。
例えば、以下のようなステップで進めてみましょう。
少しずつ行動を増やし、活動の習慣をつけていくことで、意欲が徐々に回復していきます。
活動を増やすことは大切ですが、無理をしすぎると疲れが溜まり、逆に意欲が低下してしまうこともあります。そのため、「活動と休養のバランスをとる」ことも重要です。
このサイクルを繰り返すことで、無理なく活動量を増やしていくことができます。
活動を増やす際に意識したいのが、「活動の質」です。
例えば、運動や趣味の時間は「意欲を高める行動」となりますが、何となくテレビを見たり、スマホを長時間いじることは「意欲が作用せず、時間だけが過ぎる行動」となりやすいです。
そのため、「質の良い活動」を増やすことを意識しましょう。
行動の質を評価する際は、以下の3つの基準で考えるとわかりやすいです。
この3つの基準をもとに、日々の行動を見直し、「意欲を高める活動」を増やしていきましょう。
行動の質を上げるために、以下の4つのステップを試してみましょう。
このサイクルを繰り返すことで、少しずつ活動の質を向上させ、意欲の改善につなげていきましょう。

行動活性化を取り入れることで、意欲の改善につながり、より前向きな生活を取り戻すことができます。無理をせず、自分のペースで少しずつ進めていきましょう。