透析必要?腎機能を評価する採血結果 BUN(尿素窒素)とクレアチニンについて

BUNとCrの重要性 – なぜこの値を確認するのか?

医療現場において、腎機能の評価は極めて重要です。その中でも**BUN(尿素窒素)Cr(クレアチニン)**の値は、腎機能が正常であるかどうかを判断するための基本的な指標となります。本記事では、これらの指標の意味や役割、どのように解釈すべきかについて詳しく解説していきます。


腎臓の役割とは?

腎臓の役割とは?

腎臓は、体内の老廃物や毒素を尿として排出する重要な臓器です。また、以下のようなさまざまな働きを担っています。

  1. 老廃物の排出 – 血液中の不要な物質を尿として排出
  2. 血圧の調整 – 体内の水分量や電解質バランスを調整
  3. 造血因子の分泌 – 赤血球の産生を促進するホルモン(エリスロポエチン)を分泌
  4. 酸塩基平衡の維持 – 体内のpHバランスを調整

このように、腎臓は生命維持に欠かせない働きをしているため、腎機能が低下すると全身の健康に影響を及ぼす可能性があります。


BUN(尿素窒素)とは?

BUN(Blood Urea Nitrogen)とは、血液中に含まれる尿素の窒素量を示したものです。尿素はタンパク質の代謝過程で発生するアンモニアが肝臓で代謝されて作られる物質で、最終的に腎臓を通じて尿として排出されます。

BUNが上昇する原因

BUNの正常値は8~20mg/dL程度ですが、以下のような原因で上昇することがあります。

  • 腎機能の低下 – 腎臓の濾過機能が低下すると、尿素が排泄されずに血中濃度が上昇
  • 高タンパク質食 – タンパク質の摂取量が増えると、代謝産物である尿素も増加
  • 脱水 – 体内の水分が不足すると、血液が濃縮されてBUNが上昇
  • 上部消化管出血 – 消化管内で血液が分解され、タンパク質が増加することでBUNが上昇
  • 心不全やショック – 腎臓への血流が低下することで、尿素の排泄が減少

BUNの注意点

BUNは腎機能を示す重要な指標ですが、腎機能障害以外の要因でも上昇するため、単独で評価するのは適切ではありません。そのため、より正確な腎機能の評価には**クレアチニン(Cr)**も併せて確認する必要があります。


クレアチニン(Cr)とは?

クレアチニン(Cr)とは?

**クレアチニン(Creatinine)**は、筋肉を動かすエネルギーの代謝過程で生じる老廃物です。体内で一定の速度で産生され、腎臓の糸球体で濾過された後、尿として排出されます。

クレアチニンの特徴

  • 正常値男性:0.6~1.2mg/dL、女性:0.5~1.0mg/dL
  • 尿以外から排出されないため、腎機能低下の影響を直接反映する
  • BUNと異なり、食事や脱水の影響を受けにくい

クレアチニンが上昇する原因

  • 腎機能低下 – 腎臓での排出が滞ることで血中クレアチニン濃度が上昇
  • 筋肉量の増加 – クレアチニンは筋肉に由来するため、筋肉量が多いと高めになる
  • 脱水や高血圧 – 腎血流の低下により、クレアチニンの排出が減少

クレアチニンの注意点

クレアチニン値は腎機能を直接反映する指標ですが、筋肉量によっても変動するため、必ずしも腎機能低下を示すとは限りません。そのため、**BUNとの比率(BUN/Cr比)**を確認することで、より正確な診断が可能となります。


BUN/Cr比の活用

BUN/Cr比の活用

BUN/Crは、BUNとクレアチニンの比率を示す指標で、腎機能障害の原因が腎臓にあるのか、それとも腎臓以外の要因(腎外性因子)によるものなのかを評価する際に用いられます。

BUN/Cr比の目安

  • 正常値:10~12程度
  • 20以上:脱水や消化管出血などの腎外性因子が関与している可能性
  • 10未満:尿素の産生低下や尿素の再吸収阻害、筋肉量が多い場合など

計算例

BUN = 32 mg/dL, Cr = 0.8 mg/dL の場合:
BUN/Cr比 = 32 ÷ 0.8 = 40脱水の可能性が高い

このように、BUN/Cr比を活用することで、腎機能障害の原因をより詳細に評価することができます。


まとめ

BUNとCrは、腎機能を評価する上で非常に重要な指標です。しかし、それぞれ単独では判断が難しいため、BUN/Cr比を含めた総合的な評価が求められます。

ポイントの整理

✅ **BUN(尿素窒素)**はタンパク質代謝産物で、腎機能低下以外の要因でも上昇する
✅ **クレアチニン(Cr)**は筋肉の代謝産物で、腎機能をより正確に反映する
BUN/Crを活用することで、腎機能低下の原因を詳しく分析できる

日々の医療現場での血液検査データを確認し、異常値を早期に発見することが、患者さんの健康を守る第一歩となります。今回の知識をぜひ日常業務に活かしてみてください!