【ASDセルフケア】こだわることを選ぶ【大人の発達障害】

はじめに

自閉スペクトラム症(ASD)の特性のひとつに「こだわりの強さ」があります。
これは、ASDの方にとって大切な要素であり、適切に活かせば長所にもなりますが、時に対人関係のトラブルの原因にもなり得ます。

特に問題となるのは、自分のルールや価値観を他者に押し付けてしまう場合です。
こだわりが強制力や圧力を伴うと、相手に悪影響を及ぼすことがあります。しかし、こだわり自体が悪いわけではなく、その「使い方」が重要なのです。

この記事では、「こだわりを選ぶ」ことの大切さについて解説し、どのようにこだわりを活かしていくべきかを考えていきます。

ASD(自閉スペクトラム症)とは

ASD(自閉スペクトラム症)とは

まず、ASDについて簡単にまとめます。

ASDの特徴

  • 幼少期から対人関係の難しさこだわりの強さが続く発達障害
  • 特に人間関係の構築や維持が困難
  • 適応が難しく、うつ病などの二次障害を引き起こすこともある

ASDの方は、特定のやり方を変えるのが苦手で、一度決めたルールや方法に固執しやすい傾向があります。そのため、対人関係や仕事の場面で衝突が生じることがあります。

こだわりがもたらす直接的な影響

デメリット
  • 臨機応変な対応が苦手:新しい状況に適応するのに時間がかかる
  • マルチタスクが苦手:複数の作業を同時にこなすのが難しい

これらの特性は、日常生活や仕事の場面で影響を与えることがあります。
しかし、これだけでは大きな問題にはなりません。

問題になるのは、こだわりが相手に対する強制力や圧力を伴う場合です。
具体的な例を見てみましょう。

こだわりがトラブルにつながる場面

① 夫婦関係のトラブル

配偶者に対し、自分のルールや価値観を強要し、それが守られなかった場合に怒ってしまうことがあります。このような状況が続くと、相手は精神的に疲弊し、「カサンドラ症候群」に陥ることもあります。

② 仕事での問題

部下や同僚が自分のルールに従わない場合、それを強く指摘し、相手を追い詰めてしまうことがあります。このような状況が続くと、相手が適応障害になる可能性もあります。

③ 話し合いでの行き詰まり

交渉や議論の場面で、自分の考えが正しいと強く信じ、妥協をせずに一方的に主張を続けてしまうことがあります。これにより、建設的な話し合いができず、人間関係に悪影響を及ぼすことがあります。

これらの共通点は、「こだわりが相手を支配しようとする形で表れる」という点です。
このような場合、こだわりは「他者を傷つける力」を持ち、トラブルを引き起こす原因となります。

こだわりの長所と短所

こだわりの長所と短所

こだわりには強いエネルギーがあります。適切に活用すれば、専門性を高めたり、目標達成の力となったりします。
一方で、方向性を間違えると、他者に対する負担となり、関係を悪化させる要因にもなり得ます。

では、どのようにすれば、こだわりをプラスの方向に活かせるのでしょうか。

こだわりを活かすための2つの原則

① 進む方向を考える

こだわりのエネルギーを「他者にプラスとなる方向」に向けることが大切です。

良いこだわりの例

  • 興味のある分野で専門性を高める
  • 自分のこだわりを活かして、周囲に良い影響を与える

悪いこだわりの例

  • 自分の価値観やルールを他者に押し付ける
  • 相手をコントロールしようとする

自分のこだわりが「相手の利益を考えたものかどうか」を意識しながら使うことが重要です。

② 他者を巻き込まない

自分のこだわりに他者を無理に巻き込まないようにしましょう。

具体的なポイント

  • 繰り返し練習する:新しい行動パターンを習慣化する
  • 相手との距離を意識する:「自分は自分、他人は他人」と考える
  • 要望を慎重に選ぶ:本当に必要なことだけを伝える

特に「相手にルールを押し付けない」という意識を持つことが大切です。

具体的な実践方法

① 繰り返し練習する

こだわりを良い方向に使うためには、日々の習慣として意識し続けることが大切です。
「相手を尊重しながらこだわりを活かす」行動を具体的に決め、繰り返し練習しましょう。

② 相手との距離を保つ

他者と適切な距離感を保つことで、無意識のうちにこだわりを押し付けてしまうことを防げます。
「自分は自分、他人は他人」という原則を意識し、必要以上に介入しないように心がけましょう。

③ 伝え方を工夫する

どうしても要望を伝えなければならない場面では、穏やかな言い方を心がけることが重要です。
冷静に、相手の立場を尊重しながら伝えることで、摩擦を減らすことができます。

まとめ

  1. ASDのこだわりは、適切に使えば武器になるが、間違った使い方をするとトラブルの原因にもなる
  2. こだわりの方向は「自分の興味+相手の利益」を意識することが重要
  3. 「自分は自分、他人は他人」の原則を徹底し、自分のルールを押し付けない

こだわりを活かしつつ、より良い人間関係を築くために、適切な「こだわりの選び方」を意識していきましょう。