はじめに
自閉スペクトラム症(ASD)の特性のひとつに「こだわりの強さ」があります。
これは、ASDの方にとって大切な要素であり、適切に活かせば長所にもなりますが、時に対人関係のトラブルの原因にもなり得ます。
特に問題となるのは、自分のルールや価値観を他者に押し付けてしまう場合です。
こだわりが強制力や圧力を伴うと、相手に悪影響を及ぼすことがあります。しかし、こだわり自体が悪いわけではなく、その「使い方」が重要なのです。
この記事では、「こだわりを選ぶ」ことの大切さについて解説し、どのようにこだわりを活かしていくべきかを考えていきます。

まず、ASDについて簡単にまとめます。
ASDの方は、特定のやり方を変えるのが苦手で、一度決めたルールや方法に固執しやすい傾向があります。そのため、対人関係や仕事の場面で衝突が生じることがあります。
これらの特性は、日常生活や仕事の場面で影響を与えることがあります。
しかし、これだけでは大きな問題にはなりません。
問題になるのは、こだわりが相手に対する強制力や圧力を伴う場合です。
具体的な例を見てみましょう。
配偶者に対し、自分のルールや価値観を強要し、それが守られなかった場合に怒ってしまうことがあります。このような状況が続くと、相手は精神的に疲弊し、「カサンドラ症候群」に陥ることもあります。
部下や同僚が自分のルールに従わない場合、それを強く指摘し、相手を追い詰めてしまうことがあります。このような状況が続くと、相手が適応障害になる可能性もあります。
交渉や議論の場面で、自分の考えが正しいと強く信じ、妥協をせずに一方的に主張を続けてしまうことがあります。これにより、建設的な話し合いができず、人間関係に悪影響を及ぼすことがあります。
これらの共通点は、「こだわりが相手を支配しようとする形で表れる」という点です。
このような場合、こだわりは「他者を傷つける力」を持ち、トラブルを引き起こす原因となります。

こだわりには強いエネルギーがあります。適切に活用すれば、専門性を高めたり、目標達成の力となったりします。
一方で、方向性を間違えると、他者に対する負担となり、関係を悪化させる要因にもなり得ます。
では、どのようにすれば、こだわりをプラスの方向に活かせるのでしょうか。
こだわりのエネルギーを「他者にプラスとなる方向」に向けることが大切です。
良いこだわりの例
悪いこだわりの例
自分のこだわりが「相手の利益を考えたものかどうか」を意識しながら使うことが重要です。
自分のこだわりに他者を無理に巻き込まないようにしましょう。
具体的なポイント
特に「相手にルールを押し付けない」という意識を持つことが大切です。
こだわりを良い方向に使うためには、日々の習慣として意識し続けることが大切です。
「相手を尊重しながらこだわりを活かす」行動を具体的に決め、繰り返し練習しましょう。
他者と適切な距離感を保つことで、無意識のうちにこだわりを押し付けてしまうことを防げます。
「自分は自分、他人は他人」という原則を意識し、必要以上に介入しないように心がけましょう。
どうしても要望を伝えなければならない場面では、穏やかな言い方を心がけることが重要です。
冷静に、相手の立場を尊重しながら伝えることで、摩擦を減らすことができます。
こだわりを活かしつつ、より良い人間関係を築くために、適切な「こだわりの選び方」を意識していきましょう。