【ASDセルフケア】モデリング(まねる)

はじめに

自閉スペクトラム症(ASD)の方は、社会性の課題を抱えることが多く、対人関係での難しさに直面することがあります。例えば、「表情が硬い」「動きがぎこちない」「話し方が単調」といった特徴が、相手に与える印象に影響し、対人関係を難しくしてしまうことがあります。

これはASDの特性によるものであり、完全になくすことは難しいですが、ある程度改善することは可能です。その方法の一つが、「モデリング(真似ること)」です。

向かい合ってまねる画像

本記事では、モデリングを活用して対人スキルを向上させる方法について詳しく解説していきます。

モデリングとは?

モデリングの成功例

モデリングの有効性を示す興味深い例として、長寿アニメ『ルパン三世』における声優交代のエピソードがあります。アニメルパン3世では、主人公のモノマネをしていた人物が実際に二代目の声優に抜擢されました。「真似ることを徹底すれば、非常に高い精度で習得できる」ということが分かります。

モデリングのメリット

特に、苦手なスキルを身につける際には、ゼロから自分で試行錯誤するよりも、既に上手な人のやり方を真似るほうが圧倒的に効率的です。ASDの方が対人スキルを向上させる際も、まずは「真似る」ことから始めるのが効果的といえます。

ASDの方がモデリングすべきポイント

ASDの方が日常生活の中で課題を感じやすい要素として、以下のようなものがあります。これらをモデリングすることで、より円滑なコミュニケーションが可能になります。

1. 表情の動かし方
  • 目を見開く、口角を上げるなど、表情の変化を意識する
  • 相手が話しているときに適切な表情を作る(共感・驚き・疑問など)
人形が驚いている画像

2. 話し方
  • 抑揚をつける(単調にならないように)
  • 相手の話に相槌を打つ(「なるほど」「そうなんですね」など)

3. 動き(ジェスチャーや姿勢)
  • 手の動きを使って話をする
  • 姿勢を適度にリラックスさせ、硬くならないようにする

これらの要素は、一度にすべてを改善しようとすると難しいですが、一つずつ取り入れ、練習を重ねることで自然にできるようになります。

真似る対象として適している人物

1. 実力派俳優

俳優は、表情・動き・話し方のトレーニングを積んでおり、コミュニケーションにおいて非常に洗練されたスキルを持っています。特に、ドラマや映画の登場人物の話し方や振る舞いを観察し、参考にするのは有効な方法です。

2. お笑い芸人

お笑い芸人は、話術やリアクション、場の雰囲気作りに長けています。彼らの表情の豊かさや、相手を引きつける話し方を真似ることで、コミュニケーションスキルを向上させることができます。

3. 身近な「コミュニケーションが得意な人」

職場や学校、家庭などで「この人は話しやすい」と感じる人がいれば、その人の話し方や表情、ジェスチャーを観察し、できる範囲で真似してみましょう。

モデリングを成功させる2つのポイント

1. 反復練習(繰り返し行うこと)
  • 一度真似ただけでは身につきません。何度も繰り返し練習することで、自然とできるようになります。
  • 例えば、俳優の話し方を真似する場合、ドラマのワンシーンを何度も繰り返して発声練習するのも良い方法です。

2. フィードバックを受ける
  • 自分がどのように話しているのか、どのように動いているのかを客観的に確認することが重要です。
  • フィードバックの方法
    • 自分の動きを録画する:スマホのカメラで表情や話し方を撮影し、確認する。
    • 他者に見てもらう:信頼できる人にチェックしてもらい、アドバイスをもらう。
    • 実際のコミュニケーションを振り返る:会話後に「今の対応はどうだったか?」を振り返る。

モデリングを習得するための実践ステップ

  1. 真似る対象を決める
    • 俳優・お笑い芸人・身近な人など、自分に合ったモデルを選ぶ。
  2. 具体的な要素を観察する
    • 表情、話し方、ジェスチャーなど、何を真似るのかを明確にする。
  3. 繰り返し練習する
    • 鏡の前で練習する、録画するなどして、少しずつ改善していく。
  4. フィードバックを受ける
    • 録画を確認する、他人に意見をもらうなどして修正する。
  5. 実際の場面で使ってみる
    • 練習したことを日常の会話の中で試してみる。
鏡を見て練習の画像

まとめ

ASDの特性として、表情の不自然さや話し方の単調さが指摘されることがある。

完全に克服するのは難しいが、「モデリング(真似ること)」を活用すれば部分的にカバーできる。

真似る対象として、実力派俳優・お笑い芸人・身近なコミュニケーション上手な人が適している。

大切なのは「反復練習」と「フィードバック」。繰り返し練習し、確認しながら改善していく。

モデリングは、すぐに効果が出るものではありません。しかし、コツコツと続けることで、少しずつ変化が現れてくるはずです。自分に合った方法を見つけながら、無理のない範囲で実践していきましょう。