はじめに
「うつ病と躁うつ病(双極性障害)は違う病気ですか?」
この質問に対するシンプルな答えは、「基本的には違う病気」です。しかし、両者には共通する症状が多く、一見すると区別が難しい場合もあります。
うつ病と躁うつ病の違いを理解することは、適切な治療を受けるために非常に重要です。なぜなら、これらの病気は治療法が異なり、誤った診断がされると適切な薬が処方されず、症状が長引いてしまう可能性があるからです。
本記事では、うつ病と躁うつ病の違いを明確にし、見分けるためのポイントについて詳しく解説していきます。

うつ病は、強い抑うつ気分(気分の落ち込み)、興味や喜びの喪失、意欲の低下などの症状が2週間以上続く病気です。
うつ病は、脳内の神経伝達物質「セロトニン」や「ノルアドレナリン」の不足が関与していると考えられています。治療の基本は、抗うつ薬・精神療法・休養の3つです。

躁うつ病(双極性障害)は、うつ状態と躁状態の両方を経験する病気です。うつ病と同様に気分が落ち込む時期がありますが、それに加えて、活動的になりすぎる躁状態があることが特徴です。
躁状態が強く出る場合を「躁病エピソード」、軽い場合を「軽躁エピソード」と呼びます。特に軽躁エピソードは本人が病気と気づきにくいため、診断が難しくなります。
躁うつ病は、抗うつ薬ではなく、「気分安定薬(例:リチウム、バルプロ酸、ラモトリギン)」を使用して治療を行います。
| うつ病 | 躁うつ病(双極性障害) | |
| 気分の波 | うつ状態のみ | うつ状態と躁状態を繰り返す |
| 躁状態の有無 | なし | あり(軽躁・躁) |
| 治療薬 | 抗うつ薬が中心 | 気分安定薬が中心(抗うつ薬は慎重に使用) |
| 診断のポイント | うつ症状が2週間以上続く | 過去に躁状態があったかどうか |
| 遺伝との関連 | 多少の遺伝的要因あり | 家族歴の影響が比較的大きい |

うつ病とうつ状態のある躁うつ病は、見た目の症状が非常によく似ています。そのため、以下のような場合、区別が難しくなります。
以下のような特徴がある場合、うつ病ではなく躁うつ病の可能性があります。

診断がはっきりしない場合、どのように治療を進めるべきでしょうか?
「最初から気分安定薬を使えばいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、それにはリスクがあります。

うつ病と躁うつ病の違いを理解し、適切な治療を受けることが回復への第一歩です。気になる症状がある場合は、早めに専門医に相談しましょう。