【躁うつ病セルフケア】気分の逆をする

 躁うつ病(双極性障害)は、うつ状態と躁状態を繰り返す脳の不調です。うつ状態では意欲の低下や気分の落ち込みが強くなり、反対に躁状態では活動的になりすぎたり、浪費や多弁といった症状が現れたりします。このような気分の波は、日常生活に大きな影響を及ぼします。

 躁うつ病の治療では、リチウムなどの気分安定薬の服用が基本とされています。しかし、薬物療法のみでは気分の波を完全に抑えることが難しく、個人差はあるものの、うつ状態が続く人、軽躁状態が続く人、または気分変動が続く人がいます。そのため、日常生活の中で気分の波をできるだけ安定させるためのセルフケアが重要です。

 本記事では、「気分の逆をする」というセルフケアのアプローチについて詳しく解説します。


気分の逆を意識するとは?

躁うつ病の症状に対処するためには、「動く」「休む」のバランスを意識することが重要です。

「動く」:体を動かすことはもちろん、会話をする、外出するなど、刺激を増やす行動を指します。刺激を増やすことで活動量が増え、うつ状態の改善に役立ちます。

「休む」:頭を休め、刺激を減らすことを指します。リラックスできる環境を整えることで、躁状態を鎮める効果があります。

 しかし、人は気分のままに自然に行動しがちです。その結果、うつ状態のときは休みすぎてしまい、意欲が低下し続けます。一方、躁状態のときはさらに活動的になり、刺激を増やすことで症状が悪化する可能性があります。

 そのため、自然な流れに任せるのではなく、「意識的に気分の逆をする」ことが大切です。


具体的なセルフケアの方法

うつ状態ではあえて動く

 うつ状態のときは、動くこと自体が難しく感じるかもしれません。しかし、あえて体を動かすことで、少しずつ意欲が回復し、次に動くときのハードルが下がる可能性があります。

【具体的な行動】
 • 軽いストレッチや散歩をする
 • 友人や家族と短時間でも会話をする
 • 興味がなくても、趣味や好きだったことに手をつけてみる
 • 朝起きたら、とりあえず着替えてみる

 初めは負担に感じるかもしれませんが、小さな行動を積み重ねることで、活動量を徐々に増やし、うつ状態の長期化を防ぐことができます。


躁状態ではあえて休む

 躁状態のときは、エネルギーが湧き、さまざまなことをやりたくなる衝動に駆られます。しかし、動きすぎることで症状が悪化し、結果的に反動として強い落ち込みを引き起こすことがあります。そのため、意識的に休むことを心がけましょう。

【具体的な行動】
 • 仕事や予定を詰め込みすぎない
 • 積極的な活動を控え、静かな環境で過ごす
 • 瞑想や深呼吸を取り入れ、リラックスする時間を作る
 • 早めに就寝し、十分な睡眠を確保する

 躁状態のときに無理に休もうとすると、退屈に感じたり、ストレスを感じることもあります。その場合は、リラックスできる音楽を聴く、ゆっくりとしたペースの活動を取り入れるなど、自分に合った方法で休む工夫をしましょう。


セルフケアの注意点

無理をしすぎない

 うつ状態で「動かなければ」と思いすぎると、かえってプレッシャーになり、逆効果になることもあります。あくまで「できる範囲で少しずつ」がポイントです。
 躁状態のときも「休まなければ」と焦る必要はありません。完全に何もしないのではなく、少し活動を減らすだけでも十分な対策になります。


症状が重いときは薬物療法を優先する

 躁うつ病の症状が強いときは、セルフケアだけでは対処が難しくなります。特に、躁状態が強い場合は、自己判断が鈍りやすいため、主治医の指示をしっかりと守ることが重要です。薬物療法によって気分の波を安定させたうえで、セルフケアを取り入れることが理想的です。


周囲のサポートを活用する

 家族や友人に「今はうつ状態だから、少し動くことを意識したい」「躁状態だから、休むようにサポートしてほしい」と伝えることで、適切なサポートを受けられることがあります。自分一人で頑張りすぎず、周囲の助けを借りることも大切です。


まとめ

 躁うつ病のセルフケアでは、「気分の逆をする」ことを意識すると、症状の悪化を防ぎ、安定した生活を送りやすくなります。

 ✔ うつ状態ではあえて動く → 軽い運動や会話を増やす
 ✔ 躁状態ではあえて休む → 予定を減らし、リラックスする時間を作る
 ✔ 無理をしすぎず、薬物療法と並行して取り組む
 ✔ 周囲のサポートを活用する

 躁うつ病は長期的な療養が必要な疾患ですが、セルフケアを上手に取り入れることで、気分の波を和らげ、より安定した生活を目指すことができます。

焦らず、自分に合った方法を見つけながら、少しずつ調整していきましょう。