近年、メンタルクリニックを訪れる夫婦に関する悩みの中で、特に増えているのが「カサンドラ症候群」に関する相談です。多くの方が、「私はカサンドラ症候群でしょうか?」と尋ねるようになっています。この用語が広まり、認識が進むにつれて、実際に悩んでいる方々も増えている印象を受けます。今回は、このカサンドラ症候群について詳しく説明し、その対策を考えていきたいと思います。
カサンドラ症候群は、主に夫婦間における感情的なやり取りの困難が続き、その結果として適応障害やうつ症状が発症する状態を指します。この症候群の背景には、夫側に自閉スペクトラム症(ASD)や感情的な交流に困難を抱えていることがしばしば関係しています。特に、感情の共有がうまくいかず、妻側が孤独感を抱え続け、そのストレスが心身に悪影響を与えるという流れが一般的です。

カサンドラ症候群は、夫婦間で感情的なやり取りがうまくいかず、特に妻がその影響を強く受けることが多いとされています。妻が夫に自分の気持ちを伝えようとしても、それが伝わらないことが繰り返され、次第に孤独感や不安感が強まります。このような状況が長期間続くと、身体的な症状や精神的な不調、うつ症状が現れることが一般的です。
このような流れで症状が悪化していくことが多いのです。カサンドラ症候群は、単なる「夫婦の不仲」ではなく、感情的な交流が深刻に困難な状況が原因となっています。
カサンドラ症候群の原因として、最も多く挙げられるのが夫側に自閉スペクトラム症(ASD)の傾向があることです。ASDは発達障害の一つで、対人関係や感情のやり取りが非常に難しいという特徴があります。夫がこの障害を持っている場合、妻との日常的なコミュニケーションで感情をうまく表現したり、察したりすることが難しく、結果的に妻は感情的に孤立してしまいます。
ASDの特徴として、感情や雰囲気を読み取ることが苦手であり、雑談や家庭内でのコミュニケーションがうまくいかないことが多いです。外部では社会的な適応を意識して過剰に行動していることが多く、家庭内では「素の状態」が出るため、特に問題が顕著になることがあります。

カサンドラ症候群の対策には、いくつかの方法があります。ここでは代表的な3つの方法を紹介します。
まず最も基本的なのは、夫婦間でしっかりとしたコミュニケーションをとることです。ASDが背景にある場合、感情的なやり取りが難しいことが多いため、感情を伝える際には、明確かつ具体的に伝えることが重要です。しかし、ただ単に伝えるだけではなく、相手へのリスペクトを持って伝えることが大切です。相手を非難するのではなく、問題解決に向けて建設的にコミュニケーションを取ることが求められます。
夫婦間でのコミュニケーションがうまくいかない場合、第三者を介したカップルカウンセリングが効果的な場合もあります。カウンセリングでは、専門の心理士が夫婦間の関係を調整し、問題解決に向けたサポートを行います。カウンセリングを受けることで、お互いの立場や感情を理解しやすくなり、関係改善に繋がることがあります。
夫がASDや他の精神的な問題を抱えている場合、専門的な診断を受けることが重要です。夫が自分の問題を認識し、診断を受け入れる準備ができている場合、治療やサポートを受けることが可能になります。しかし、無理に診断を受けさせようとすることは逆効果になることが多いため、夫自身がその必要性を感じ、受け入れることが前提です。
もし、話し合いやカウンセリング、受診といった対策がうまくいかない場合、生活環境を調整する方法を検討することになります。ここでは、以下の3つの選択肢があります。
それぞれの選択肢にはメリットとデメリットがあります。例えば、同居しながら歩み寄りを試みる場合、時間がかかることがありますが、夫婦としての絆を深めるチャンスでもあります。別居はストレスを軽減できる一方で、家庭や子どもへの影響が考慮されます。離婚は一旦関係をリセットする手段ですが、調停や裁判などの法的な負担も伴います。
カサンドラ症候群に対処する上で、重要なのは「相手が改善しようとしているか?」と「相手をリスペクトできるか?」という2つの判断基準です。
カサンドラ症候群は、夫婦間で感情的なやり取りが困難になり、その影響で妻が適応障害やうつ症状を抱える状態です。背景には、夫側にASDなどの発達障害があることが多いとされています。対策としては、夫婦間の話し合いやカップルカウンセリング、夫の受診と診断が有効ですが、環境調整や別居、離婚といった選択肢も考慮する必要があります。その際、最も大切なのは、相手が改善しようとしているかどうか、そしてお互いにリスペクトを持てるかという点です。夫婦として健全な関係を築くためには、双方が努力と理解を重ねることが不可欠です。