ASD(自閉スペクトラム症)の方の中には、日常生活が困難に感じられる方が少なくありません。症状が重い場合は自立した生活が難しくなり、訪問看護などのサポートが必要になることがあります。また、症状が比較的軽度であっても、日常生活での負担が大きく、仕事や社会生活に影響が出ることもあります。中には、生活の難しさから家から出ることができず、前に進みづらいと感じる方もいるでしょう。
本記事では、ASDの方が日常生活での困難を軽減し、最低限の生活を維持するための「ミニマムライフスキル」について紹介します。
ASDの方にとって日常生活は苦手な分野であることが多いです。日常生活では、こまめに切り替えながらさまざまなタスクをこなす必要がありますが、これはASDの特性上、苦手とする方が多い部分です。また、日常生活の目標があいまいで定めにくく、何をすればよいのか分からなくなることもあります。さらに、服装の選び方など、暗黙の社会ルールが絡む場面も多く、これもASDの方にとっては負担となることがあります。
こうした問題を少しでも軽減するために、日常生活のタスクを整理し、なるべくシンプルに、明確な形で実行する方法を見つけることが重要です。

ミニマムライフスキルとして、以下の3つのポイントを意識しましょう。
1.シンプルにする
日常生活で必要なことを最小限に絞り、本当に必要なことだけに集中する。
2.社会コードや健康を最低限守る
社会的なルールや健康管理を最低限意識しつつ、負担を減らす方法を選ぶ。
3.マニュアル化・システム化する
明確なルールや手順を決め、毎日の行動を自動化する。
これらを意識することで、ASDの方が抱えがちな生活の負担を減らすことができます。
よくある問題点
• 自炊にこだわりすぎて負担が大きくなり、継続できない。
• カップ麺や外食に偏り、健康面や金銭面に悪影響が出る。
改善策
• 基本の食事構成を決める:ごはん、おかず、野菜の3つに分け、シンプルな食事を意識する。
• 手間を省く:パックごはんや冷凍食品、カット野菜などを活用する。
• 組み合わせを固定化する:例えば、親子丼や牛肉カレーなど、簡単な組み合わせをいくつか用意し、毎日の選択肢を減らす。
よくある問題点
• 服選びに時間がかかる、または場にそぐわない服を選んでしまう。
• 服を買いすぎて管理ができなくなる。
改善策
• シンプルな服装セットを決める:例えば、無地のワイシャツとスラックスを数種類用意し、毎日迷わず着られるようにする。
• 必要最低限の服だけ持つ:持ち物を整理し、管理しやすくする。
• 着る順番を決める:ローテーションで着る順番を決めることで、毎日の選択を減らす。
よくある問題点
• 片付けが苦手で部屋が散らかる。
• 掃除をしようとしても、どこから手をつければよいか分からず放置してしまう。
改善策
• 自動機械を活用する:食洗機、ドラム式洗濯乾燥機、ロボット掃除機を導入し、家事の負担を減らす。
• ルールを決める:例えば「帰宅したら必ずカバンを指定の場所に置く」など、行動を固定化する。
• 片付ける範囲を決める:例えば、「机の上だけは常に片付ける」といった形で、無理のない範囲で維持する。
よくある問題点
• 何をすればよいのか分からなくなり、何もできない。
• 優先順位が分からず、重要なことを後回しにしてしまう。
改善策
• TODOリストを作成する:毎日行うことをリスト化し、明確にする。
• 時間を決める:例えば「朝起きたらすぐに歯を磨く」「夜9時になったらシャワーを浴びる」など、行動の時間を決める。
• 必要最低限に絞る:TODOリストが多すぎると負担になるため、本当に必要な項目だけを残す。

✔ ASDの方にとって、日常生活は負担が大きくなりやすい
✔ 最低限のスキルを身につけ、生活の負担を減らすことが大切
✔ シンプルにする、社会コードや健康を守る、マニュアル化する
✔ 食事や服装を定型化し、家事を自動化すると負担が軽減
✔ TODOリストやルーチン化を活用し、生活の流れを明確にする
日常生活の負担を最小限に抑えることで、ほかの大切なことにエネルギーを使えるようになります。
自分に合った方法を見つけながら、少しずつ生活を整えていきましょう。