アダルトチルドレンのタイプや原因/アプローチをわかりやすく解説

アダルトチルドレンとは、「子供時代に親や養育者との関係で、何らかのトラウマを負ったと考えている成人」のことです。自己認識の概念であり、アダルトチルドレンは医学的な診断名ではなく、「生きづらさ」に焦点を当てている言葉です。今回は、アダルトチルドレンの心理の特徴や症状、生きづらい状態から回復するための方法などを解説します。アダルトチルドレンの意味、アダルトチルドレンになる原因やタイプ別の症状、特徴、回復する方法について、一緒に理解を深めていきましょう。

アダルトチルドレンとは

アダルトチルドレンとは、子ども時代に親や養育者との関係で、何らかのトラウマ(心的外傷)を負ったと考えている成人のことです。

アダルトチルドレン

「親や養育者がアルコール依存症の家庭で育った人」という意味で使われはじめる。その後、そのほかの依存症にも同じような問題があることが見出され、さらに広い意味合いで使われるようになった。

アダルトチルドレンの特徴

アダルトチルドレンは、周囲が期待しているように振舞おうとする、他人に承認されることを渇望し寂しがる、自己処罰に嗜癖している、ひどく偉そうな態度で人を見下し、実際以上に大げさな考えや妄想を抱いている、「NO」が言えない、しがみつきと愛情を混同する、被害妄想におちいりやすい、何もしない完璧主義者である、表情に乏しい、楽しめない・遊べない、フリをする、環境の変化を嫌う、抑うつ的で無力感を訴える、その一方で心身症や嗜癖行動に走りやすい、離人感がともないやすい、などといった思考の特徴をもちます。心の問題は様々な形で現れますが、アダルトチルドレンに共通してみられるのは「自尊感情の低さ」です。ひどく偉そうに人を見下した態度をとったり、実際よりも優れて見えるように他人を欺く傾向が目立つ人もいますが、これは、自己評価が低く、他人に自分の本当の価値を知られることを恐れていることからきています。他人の評価を気にするがゆえに横柄な態度をとり、自分に従う者だけを周囲に集めようとします。 自分を価値ある存在とみなすためには、「親のあたたかさ」、「明確に定義された限界」、「丁寧な処遇」が必要とされています。これらがそろった家庭で育つと、子どもは自尊感情を育みやすいと言われています。アダルトチルドレンが育つ家庭では、自尊感情を育む条件が欠落しているか、矛盾した形でしか存在しない場合が多く見られます。親が何らかの問題を抱えているため、子どもの心の成長に必要なものを満たせるだけのエネルギーがほとんど残っていない場合が多いからです。その結果、子どもは家族の病の犠牲となり、生きづらさを抱えるようになってしまうのです。影響が表れてくるのは「思春期以降」、さらにはっきり表れるのは「成人後・20代半ば」にさしかかってからです。自分の行動、思考、感情や人間関係に支障をきたしたり、なんらかの生きづらさを感じるようになります。理由なく孤独感に見舞われたり、家族との関係がぎくしゃくするほか、友人関係や会社での自分の役割、自分の人生の選択などさまざまな場面で、違和感を持つことがあります。

アダルトチルドレンになる原因

アダルトチルドレンになる原因はいくつかありますが、ほとんどが「親との関係」、養育環境であると言われています。

虐待を受けていた

身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、ネグレクト(育児放棄)などが代用的な例として挙げられます。ネグレクトには、必要な医療を受けさせない「医療ネグレクト」、必要な教育を受けさせない「教育ネグレクト」、子どもの金銭を搾取する「経済ネグレクト」などがあります。また、家庭内暴力や性行為を見せつけるのも虐待にあたると言われるようになりました。こうした虐待が常習的に行われると、子どもの心や身体の成長に影響を受け、他人との人間関係を築くことが困難になっていきます。子どもはこのような虐待的な環境にいる場合、生き抜くために無意識に様々な策を講じます。しかしそれは虐待から逃れ生き抜くためには必要であっても、通常の人間関係や社会の中では不適切と思われることがほとんどです。親や養育者を怒らせないように、いつも笑顔を絶やさず過度に「いい子」を演じているといった場合があり、こうした振る舞いは家庭以外の社会で行うと、信頼関係をうまく結べないなどの問題が生じやすく、時にはいじめの対象になってしまうことがあります。

毒親

近年よく耳にする言葉に、「毒親」という言葉があります。毒親とは、「毒になる親」の略称で、悪影響を及ぼす親。子どもが厄介と感じるような親を指す言葉です。構いすぎて子どもを窒息させる、子どもの幸せを取り上げる、完璧主義すぎる、「私は全てを分かっていて常に正しい」という態度で接して、子どもの精神的な発達を阻害するなどが、毒親がとる行動の例として挙げられます。

機能不全家族

機能不全家族とは、ストレスが日常的に存在している家族状態を言います。家族とは、お互いを尊重し、励まし合い、協力し合っていくものですが、そういうことができずに、一人一人の人格が尊重されていない場合は機能不全家族と言えます。これは、子どもの目から見て家族として機能していない家族を指すもので、大人としての解釈ではなく、子どもの目で見て感じた家族像で振り返る必要があります。

機能不全家族
  • 身体的・性的・精神的虐待の起こっている家族
  • 夫婦間などの悪い家族
  • 親の期待が大きすぎる家族
  • 依存症のある家族
  • 情緒不安定な親がいる家族

アルコール依存症の親

アルコール依存症になると、周囲への配慮や関心が薄れ、アルコールを飲むことに注意が集中してしまいます。そして、アルコールを手に入れるためであれば、なんでも利用しようとします。例えば、子どもにアルコールを買ってくるように仕向けたり、アルコールがなくなると暴力をふるうなどといったことが起こります。家庭の中で、日々こうした親を目の当たりにしていると、子どもの心身は疲れ切り、健全に育つことは難しいと言えます。

体質

泣きやすい赤ちゃん、なかなかグズらない赤ちゃんがいるように、子どもは生まれた時から様々な特性を持っています。実際に、子どもが自閉的だったり、注意や集中力が欠けていたり、理解力が低かったり、衝動的や過敏的だったりすると、親はストレスを抱えやすくなります。なんとかしようとして支配的になったり、叱ることが増えたり、時には手を出してしまうこともあります。そうなると、家族は疲れ切ってしまい、殺伐とした雰囲気の家庭環境は、子どもに更なる悪影響を及ぼします。子どもの体質であるということを理解できないと、親は虐待など、不適切な養育をつづけてしまい、アダルトチルドレンを生み出してしまうことになります。これらの原因は「落ち着きのない子どもにある」などど単純なものではありません。実は、アダルトチルドレンの原因は、ほとんどの場合は「親にある」といっても過言ではないからです。虐待などが子どもの心身の成長に影を落とし、大人になってから社会に適応できなかったり、人間関係をうまく築けなかったりします。

アダルトチルドレンのタイプ

アダルトチルドレンには、様々なタイプがあります。

ヒーロー(英雄)

親の期待に応えるために、勉強やスポーツで良い成績や評価をもらうことに精力を注ぎます。周囲からは、頑張り屋さんやしっかりしていると評価されることが多くありますが、その行動は自分のためではなく、家庭内の雰囲気を悪くしないようにという、子どもなりの防衛的な行動です。実際には、後ろ向きな意味合いがあります。このタイプは、勉強やスポーツで成果があるうちはいいですが、それが失敗したり挫折したりすると、途端に心が折れて破綻することがあります。

スケープゴート(生贄)

スケープゴートとは、ヒーローとは全く反対の行動をとります。問題行動を起こしたり、過剰に低い成績をとったりすることで、家族の中で悪者や問題児となり、憎しみや怒りや不満、鬱憤を一人で引き受けようとします。そうすることで、家族のバランスをとろうとしています。

ロスト・ワン(いない子)

いない子ども、生まれてこなかった子どもとして、家族との関係を断つような行動をとります。家族の中での存在を消し、気配を感じさせずに生きていこうとするので、たとえ迷子になっても家族のだれからも気づかれることがありません。家族旅行に行くことになっても連れて行ってもらえず、家の中にいてもいないものとして扱われ、いつも一人で孤独に過ごしてしまいます。

ケアテイカー(世話役)

小さいうちから家事をしたり、弟や妹の面倒を見たりと献身的に家族の世話をして家族を支えます。親がしないので代わりに行うことが多く、自己犠牲と思われることもありますが、子どもの場合は「自虐的な行為」でもあります。家族が崩壊しないように、すべてを一身に背負ってバランスが取れるように努力します。

ピエロ(道化師)

家族の暗い雰囲気を回避するため、おどけたり、冗談を言ったり、ふざけたりして笑わせて家庭を明るくしようとします。面白くて明るい性格に見えますが、実はとても敏感で周囲の雰囲気を読み取り、人の表情を伺い、険悪なムードにならないよう細心の注意を払っています。そのため、常にビクビクしています。

冒頭にも言いましたが、こうしたアダルトチルドレンには共通して自尊感情の低さが見られます。非現実的な優越感を持っていたり、人を見下したりする人もいますが、自己評価が低く、他人に本当に自分を知られてしまうことを恐れているのです。他人からの評価を過剰に気にするために、人を見下した態度をとったり、自分に従う者だけを周囲に集めようとするのです。

回復するためのアプローチ

アダルトチルドレンは、医療的な治療の対象ではありませんが、生きづらさを軽減するためのアプローチ方法が存在します。アダルトチルドレンという概念の生みの親であるクラウディア・ブラックは、回復するための4つのアプローチを提唱しています。

グリーフワーク【過去を探る】

グリーフとは、大切な人を失ったときに起こる深い悲しみや悲嘆を指す言葉です。グリーフワークでは家族に言えなかったことを口に出す、親に宛てて手紙を書く(出さないつもりが重要)などで、失われたもの、持てなかったものに対して、自分が傷ついていたことを認識して、新しい気持ちで本当の自分を見つめなおすきっかけとなります。

ナラティブセラピー【過去と現在をつなげる】

自らの生育歴を物語として語り、治療者からの助言を得て、自分史の再構成を行う精神療法です。自分史の再構成を行うことで、過去や自分自身を見つめなおすことができるようになり、別の角度から自分を見ることで、自分本来の個性や力を取り戻していくことができます。

認知行動療法【自分の中にとりこんだ信念に挑む】

物事の受け止め方や考え方を再検討することで、感情や行動を変えていく精神療法です。アダルトチルドレンは、物事の受け止め方や考え方に「癖」がついている場合が多く、自分の中に受け止めた物事を改めて検討することで考えの癖を修正します。様々な出来事を受け止める際に「つらさ」があるとき、そこには長年培ってきた「癖」、「信念」があるかもしれません。そこで、いったん受け止めた物事であっても、あらためて考えたり検討するようにします。勝手に浮かんでくる考えと現実との間の違いを意識します。 そうすることで、感情や気分、行動に変化を起こしていくことができます。浮かんでくる考えと現実との違いを意識することで、気持ちに変化を起こしていくことができます。

アサーティブなコミュニケーション【新しいスキル(生きるうえでの技能)を学ぶ】

相手の権利や要求も尊重することにより、自分の意見や要求を受け取ってもらえるようにするコミュニケーションの方法です。アダルトチルドレンは、言いたいことが言えず相手の要求をのみ続けたり、相手の発言を否定しすぎたりすることが多いですが、この方法を学ぶと、ほどよく自己主張することができ、お互いを尊重しあい、一方通行だったコミュニケーションが上手にとれるようになります。

まとめ

アダルトチルドレンを生んでしまうのは、故意に傷つける親ばかりではなく、「子どものためを思って・・・」という親心から子どもの心を無意識のうちに支配してしまう親もいます。虐待や過保護、過干渉など様々な要因によって、アダルトチルドレンは自己に関するコントロールを失い、自分のことを自分で決めたり、物事を判断したりできないという依存的な態度を身につけてしまいます。そのため、親と自分の境界線が曖昧となります。親と自分の境界線が曖昧な状態のまま大人になると、いつまでたっても心は親に支配されたままです。自分の人生と親の人生との間に境界線が引けるようになることで、自分の中での親の位置づけを変えることができ、親との関係性も変わっていきます。 自らをアダルトチルドレンだと自認することは、生きづらさと向き合い、人生を切り開くきっかけとなります。様々なアプローチ方法に取り組むことで、少しずつ、自らの人生を歩んでいけるようになっていくことが期待できます。

以上が、「アダルトチルドレンのタイプや原因」についての解説でした。