【統合失調症療養のコツ】幻聴は受け流す

はじめに

統合失調症の代表的な症状のひとつに「幻聴」があります。これは「聞こえるはずのない声が聞こえる」という現象で、多くの統合失調症患者が経験する症状です。

幻聴の内容はさまざまで、命令されるものや、悪口を言われるものなど、人によって異なります。薬物治療によって改善する場合が多いですが、一部の人では慢性的に残ることがあります。そのため、幻聴が残る場合には、その影響を少しでも減らすことが重要になります。

本記事では、統合失調症の基本的な知識とともに、「幻聴を受け流す」ための対策について詳しく解説します。

1. 統合失調症とは?

統合失調症の特徴

統合失調症は、脳の神経伝達が乱れることによって幻覚や妄想などの症状が現れる精神疾患 です。治療の基本は、以下の3つの要素で構成されます。

  1. 抗精神病薬を継続的に服用し、症状を安定させる
  2. リハビリを行い、日常生活への適応力を高める
  3. 再発を予防し、安定した生活を維持する

幻聴の特徴

幻聴の特徴

幻聴は、実際には存在しない声が聞こえる症状 です。主に以下のような内容が多く見られます。

  • 命令される幻聴:「○○をしろ」「○○をやめろ」といった指示的な内容
  • 悪口を言われる幻聴:「お前はダメだ」「誰もお前を必要としていない」などの否定的な内容

幻聴が与える影響

幻聴の影響は人によって異なりますが、特に注意すべき点は以下の2つです。

① 命令に行動が支配される

  • 幻聴が強くなると、指示に従って行動してしまう ことがあります。
  • 自傷や他害のリスクが高まることもあり、早めの対処が必要です。

② 精神的に不安定になる

  • 1日中悪口の幻聴が聞こえ続けると、精神的に追い詰められ、不眠や混乱を引き起こす ことがあります。
  • ストレスが蓄積し、症状の悪化につながる可能性があります。

このようなリスクを軽減するために、幻聴の影響をできるだけ小さくする工夫が求められます。

2. 幻聴への対策

2. 幻聴への対策

① 幻聴を抑えるための薬物療法

統合失調症の治療の柱は抗精神病薬の継続服用 です。

  • 適切な薬を服用することで、幻聴の頻度や強さを抑えることが可能 です。
  • ただし、薬を飲んでも完全には消えず、慢性的に残るケースもあります。

薬で症状を軽減しつつ、生活の中で幻聴の影響を減らす工夫をすることが大切 です。

② 幻聴を減らすための心理的アプローチ

幻聴が完全になくならない場合でも、影響を最小限にするための方法があります

1. 認知行動療法(CBT)

  • イギリスを中心に研究されている療法 で、幻聴に対する考え方を調整し、その影響を減らす方法です。
  • 「幻聴は現実ではなく、脳の誤作動によるもの」 と捉えることで、影響を少なくすることができます。

2. 「べてるの家」の当事者研究

  • 日本の「べてるの家」では、統合失調症の当事者が自らの症状を分析し、対策を考える取り組み を行っています。
  • 幻聴を 「幻聴さん」 と呼び、「幻聴と戦うのではなく、うまく付き合う」 という考え方が実践されています。
  • 幻聴を「敵」とみなすのではなく、一歩引いた立場で向き合う ことで、影響を減らすことができます。

3. 幻聴へのセルフケア

幻聴に対処するためには、日常生活の中で意識するべきポイント があります。

① 幻聴と現実の声を見分ける

  • 幻聴を「本物の声」だと信じてしまうと、その影響を大きく受けてしまいます。
  • 「本当に周囲の人が話している声なのか?」 と一歩引いて考える習慣つけることが大切です。
  • 見分け方として、家族や周囲の人に「今、誰か話していた?」と確認するのも有効です。

② 幻聴と距離を取り、受け流す

  • 幻聴の内容を真に受けるのではなく、「また聞こえているな」と冷静に受け流すことが大切です。
  • 「これは脳の誤作動によるものであり、実際には存在しない声だ」と認識する ことで、影響を軽減できます。

③ 幻聴の内容に応じた対処法を考える

  • 命令型の幻聴:幻聴に従わないように意識する。危険な内容であれば、すぐに家族や医師に相談する。
  • 悪口の幻聴:否定的な内容を真に受けないようにする。必要ならリラックスできる環境を整える。

4. 幻聴対策の限界と長期的な付き合い方

① セルフケアには限界がある

  • 幻聴をコントロールする方法はありますが、あくまで薬物療法の補助的なもの です。
  • セルフケアだけで完全に幻聴をなくすことは難しく、長期間の取り組みが必要になります。

② 長期的な付き合い方を考える

  • 幻聴との付き合いは年単位になることが多いため、無理に消そうとするより、うまく共存する方法を考える ことが大切です。
  • 「べてるの家」の取り組みのように、幻聴を人格化し、距離を取る工夫 をすると、影響が和らぐことがあります。

5. まとめ

  • 幻聴は統合失調症の代表的な症状であり、主に「命令」「悪口」などの内容が多い。
  • 治療の基本は薬物療法であり、薬を服用しながら影響を減らすことが重要。
  • 幻聴と本物の声を見分けること、幻聴と距離を取って受け流すことが、セルフケアのポイント。
  • 認知行動療法や当事者研究を活用し、長期的に幻聴と向き合う姿勢を持つことが大切。

統合失調症の治療は、焦らずに継続することが重要 です。幻聴に悩まされる時間を少しでも減らし、安定した生活を送るための方法を模索していきましょう。