はじめに
今回は「摂食障害」について詳しく解説していきます。
摂食障害とは、食事に関する異常が生じる病気ですが、実際には単に食事の問題にとどまらず、考え方や精神面、さらには体の健康状態にも広く影響を及ぼします。
特に、治療には長い時間がかかり、長期的な取り組みが必要とされる病気です。
本記事では、摂食障害の種類や症状、経過、治療方法について詳しく説明していきます。
1. 摂食障害の種類
摂食障害は大きく分けて2種類あります。
- 拒食症(神経性やせ症)
→ 極端に食事を制限し、体重を減らし続ける状態。
- 過食症(神経性過食症)
→ 異常に大量の食事を摂取し、その後に嘔吐や下剤の乱用などで体重をコントロールしようとする状態。
これらの症状は、どちらか一方に分類されるわけではなく、拒食症から過食症へ移行したり、両方が合併するケースもあります。
2. 摂食障害の主な症状
摂食障害の症状は、大きく以下の3つのカテゴリーに分けられます。
① 食事に関する異常
- 極端に食事を制限する(拒食)
- 異常に大量の食事を摂取する(過食)
- 過食後に嘔吐する「食べ吐き」
- 体重を減らすために下剤や利尿剤を乱用する
② 精神的・認知的な変化
- 「痩せていなければならない」という強い思い込み
- 体型や体重への極端なこだわり
- 強い不安感や抑うつ状態
- 孤立しやすくなる
③ 身体的な異常
- 急激な体重減少
- 甲状腺ホルモンの異常
- 無月経(女性の場合、生理が止まる)
- 身体のむくみ
このように、摂食障害は単に「食べる・食べない」の問題ではなく、心や体の健康にも深刻な影響を及ぼします。
3. 摂食障害の経過
摂食障害は、多くの場合、以下のような流れで進行していきます。
- ダイエットの開始
- 健康や美容を意識して食事制限を始める
- 体重が減ることで達成感を感じる
- 食事制限のエスカレート
- さらに痩せたいという思いが強くなる
- 食事量が極端に減る、または過食と嘔吐を繰り返す
- 身体への影響が出始める
- 栄養不足による体調不良
- 無月経やホルモンバランスの乱れ
- 心理的な変化が強まる
- 「もっと痩せなければならない」という強い思い込み
- 社会生活に支障が出る
この状態が続くと、身体にも大きな負担がかかり、命に関わるケースもあるため、早期の対応が非常に重要です。
4. 摂食障害の原因
摂食障害の背景には、さまざまな要因が関係しています。
① 環境的・社会的な要因
- 痩せることが美しいとされる社会的価値観
- SNSやメディアの影響
- 周囲の人からの評価(痩せていることで褒められるなど)
② 心理的な要因
- 自己肯定感の低さ
- 完璧主義的な性格
- 過去のトラウマやストレス
③ 生物学的な要因
- 遺伝的な影響(家族に摂食障害の人がいる場合、発症リスクが高くなる)
- 脳内の神経伝達物質の異常
5. 摂食障害の治療方法
摂食障害の治療は、「急性期」と「回復期」に分かれます。
① 急性期の治療(体の回復を最優先)
- 入院治療が必要なケースもある
- 極端な低体重や重度の合併症がある場合
- 栄養状態を改善するための治療(点滴や経管栄養など)
- リフィーディングシンドロームに注意
- 拒食状態から急に食事を摂ると、体がうまく適応できず、電解質異常などのリスクがあるため、慎重に進める
② 回復期の治療(心のケアと生活改善)
- 病気の理解を深める
- 摂食障害がどのような病気かを学び、適切な治療を受ける
- 生活の目標を設定する
- 適正な体重を維持し、規則正しい食生活を送る
- 摂食障害以外の「生きがい」を見つける
- 環境の見直し
- 体型や体重に強くこだわる環境から距離を置く(SNSの影響を減らすなど)
- 自己肯定感を高める
摂食障害の治療には時間がかかりますが、焦らず一歩ずつ進めていくことが大切です。
6. 摂食障害と向き合うために
摂食障害は、本人だけでなく、家族や周囲のサポートも重要です。
本人ができること
- 体重だけにとらわれず、健康的な目標を持つ
- 自分の感情に目を向け、ストレスを適切に発散する方法を見つける
周囲ができること
- 摂食障害を理解し、適切なサポートをする
- 無理に食べさせようとせず、本人の気持ちを尊重する
まとめ
摂食障害は、単なる「食べる・食べない」の問題ではなく、心理的・身体的に深刻な影響を及ぼす病気です。そのため、適切な理解と治療が必要不可欠です。
無理をせず、専門家の力を借りながら、自分のペースで回復を目指しましょう。摂食障害と向き合うことは簡単ではありませんが、適切なサポートがあれば、必ず乗り越えることができます。