身体表現性障害

身体表現性障害とは?—症状、診断基準、治療法について

  1. 身体表現性障害とは
    身体表現性障害(Somatic Symptom Disorder)は、体の不調が長期間続くものの、医学的検査では異常が見つからない精神疾患の一種です。この障害を持つ人は、強い不安を伴いながら自身の体の症状にとらわれやすく、複数の診療科を訪れることが少なくありません。
  2. 身体表現性障害の特徴
    身体表現性障害には、以下の3つの特徴があります。

長期間続く身体症状:頭痛や腹痛、めまい、しびれなどの症状が6か月以上継続することが多い。
症状への強い不安ととらわれ:症状に対する過度の心配があり、病気ではないかと強く考え続ける傾向がある。
精神的な原因に気付きにくい:ストレスやうつ病が背景にあることが多いが、本人はそれに気づかず、身体的な病気だと信じていることが多い。

  1. 診断基準(DSM-5)
    DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)では、この障害を「身体症状症」と定義しており、以下の要件を満たす必要があります。

A:1つ以上の身体症状があり、日常生活に支障をきたすほどの苦痛を引き起こす。
B:症状に対して過度に考え込んだり、不安を抱いたり、何度も医療機関を受診するなどの行動が見られる。
C:これらの症状が 6か月以上 継続している。

  1. 自律神経失調症との違い
    身体表現性障害と自律神経失調症は症状が似ているため、混同されることがあります。

共通点:どちらも長期間にわたる身体の不調が続き、検査では異常が見つかりにくい。
違い:身体表現性障害では、症状への「とらわれ」が強く、精神的要因に気づきにくい。一方、自律神経失調症はストレスや自律神経のバランスが主な原因とされ、比較的広い範囲の症状を含む。

  1. 治療方法
    身体表現性障害そのものに対する直接的な治療法は存在せず、背景にあるうつ病や適応障害などの精神的要因を治療することが重要です。

カウンセリング・心理療法:認知行動療法(CBT)を用いて、症状への過度な不安を和らげる。
薬物療法:うつ病が関与している場合、抗うつ薬を用いることがある。
ストレス管理:適応障害が背景にある場合は、ストレスマネジメントの指導を行う。

  1. まとめ
    身体表現性障害は、身体の不調が続くが医学的検査では異常がないという特徴を持つ病気です。自律神経失調症と似ていますが、症状に対するとらわれが強い点が異なります。治療には、背景にある精神的要因を見極め、それに応じた心理療法や薬物療法を行うことが重要です。