今回は、ADHD(注意欠如・多動症)の主な3つの症状である不注意、多動性、衝動性について具体的な行動や診断内容、そして自閉症との併存についても確認していきます。
ADHDは日本語で注意欠如・多動症や多動性障害と呼ばれ、行動抑制の遅れ、すなわち行動コントロールの問題として見られます。
主な症状として不注意、過活動、衝動性の3つが挙げられます。
では、これらの特徴を具体的に見ていきましょう。
注意を適切に持続したりコントロールするのが難しい状態を指します。

多動性ともいい、体の動きをコントロールできない状態を指します。
何かの刺激に対する反応をコントロールできない状態を指します。
ADHDの人には注意・行動・感情のコントロールができないという特徴があり、日常生活に大きな困難が生じます。
自分や周囲の人に当てはまる点があるかもしれません。
例えば、物の置き場所を忘れてしまう、ボーっとして大事なことに気が付かない、じっとしているのが苦痛、口を滑らせてしまうなどの経験がある人は少なくないでしょう。
ADHDの特徴は珍しいものではないため、その程度によって障害かどうかの境界線を引くのは難しいです。
このように、診断の難しさはあるものの、ADHDの特徴が日常生活に著しい障害をもたらす場合は
それを考慮した支援が有効です。
また、多動や不注意が本当にADHDによるものかどうかを見極めることが重要です。
年齢と比較して正常範囲内にある場合は診断に至りませんし、感覚の問題や学習障害が原因の場合もあります。
広汎性発達障害では特に幼児期に多動や落ち着きのなさが見られることがあります。
この場合、不安や興味の限局の問題など広汎性発達障害の特徴で説明できる場合は
ADHDの診断にはなりません。
DSMやICDでは、広汎性発達障害の診断がつく場合、ADHDの診断はつかないというヒエラルキーが
ありますが、実際には支援の観点から併存する場合もあります。
ADHDの傾向がある子供にWISC-Ⅲを実施すると、注意記憶の群指数を構成する
「算数」や「数唱」の得点が低くなることがあります。
これは、聴覚的な刺激に集中して数を記憶したり暗算したりすることが苦手なためです。
短時間で正確に迅速に作業する処理速度の群指数を構成する
「符号」や「記号」も低くなることがあります。
見本と同じように「符号」を書く際に間違いや書き飛ばしが見られ、数多くの項目を処理できません。
また、「記号」でも見落としや見誤りがあり、並んだ刺激を適切に処理できないことがあります。
共通する傾向は見られますが、ADHDの特徴がどのように検査結果に現れるかは個人差があります。
KABC心理教育アセスメントバッテリーでは、同時処理よりも継次処理が低くなる傾向にあります。
これは次々と提示される刺激に適切に注意を払い、段階的に処理することが
苦手なためと考えられます。
検査結果にばらつきが見られる場合、なぜその項目ができなかったのか、どの部分でつまずいたのか
その原因を探る必要があります。
ADHDは実行機能の障害であり、注意欠陥ではなく自己抑制の欠陥と考えられています。
作業記憶に欠陥があり、行動自体を忘れてしまうとされます。
内言語を使って自己抑制することができず、時間感覚を持つことが難しいため
未来の出来事を時間軸で理解できず、意図することやその実行が困難です。
自己動機づけ、計画立案、問題解決能力が欠けています。
ADHDの一次的な問題は注意や行動のコントロールにあるため、行動の次元で
アプローチする方法がよく用いられます。
行動分析と行動変容の考え方が基本で、治療に適用するのが行動療法です。
忘れ物をする課題について、感情的に叱責するのではなく、行動のレベルで問題を考え
客観的に観察します。
例えば、学校から持ち帰るべきプリント類を忘れるのは、授業終了時に持ち帰るべきものが
判別できないからかもしれません。
大きなカバンを持たせ、帰り際に先生に声をかけてもらって机の中のものを全て
入れるようにすれば、忘れ物を防げます。
失敗を指摘して反省を促すのではなく、どうすればうまくいくかを具体的に工夫し
プラスのフィードバックを得られるようにします。
この積み重ねが二次的な問題の予防につながります。
生活上の困難が大きい場合は対処療法として薬物療法が考えられます。
服薬については発達障害の専門医に相談し、診断を受ける必要があります
ADHDの子供を持つ親は疲労困憊していることが多く、具体的な対応方法を伝えるとともに
その心情を共感的に受け止め、支えることが求められます。
