スボレキサント(ベルソムラ):依存のない睡眠薬としての役割と特徴

はじめに

近年、不眠症の治療において「依存のない」睡眠薬への関心が高まっています。
その中でも、スボレキサント(商品名:ベルソムラ)は、比較的新しい作用機序を持つ睡眠薬として注目されています。
本記事では、 スボレキサント(ベルソムラ)の特徴や効果、副作用、使用方法、さらには効果が不十分な場合の対処法について詳しく解説していきます。

スボレキサント(ベルソムラ)とは?

スボレキサント(ベルソムラ)とは?

スボレキサント(ベルソムラ)は、「オレキシン受容体拮抗薬」という新しいタイプの睡眠薬に分類されます。従来のベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬とは異なり、依存性が少ないことが大きな特徴です。
特に、夜中に途中で目が覚めてしまう「中途覚醒」の改善に効果があるとされています。
ただし、 効果の現れ方には個人差が大きいため、すべての人に同じように作用するわけではない点には注意が 必要です。

不眠症治療の重要性と3段階のアプローチ

不眠は単なる一時的な症状ではなく、うつ病適応障害の初期症状である可能性があります。
また、慢性的な不眠が続くことで、精神的・身体的な健康が悪化するリスクが高まります。
そのため、早めの対策が必要です。

不眠症の治療には3つの段階があります。

  1. 薬を使わない方法(生活習慣の改善など)を試す
  2. 依存性の少ない睡眠薬(スボレキサントなど)を使用する
  3. それでも改善しない場合、ベンゾジアゼピン系睡眠薬を検討する

スボレキサントは、第2段階の治療薬として適しているといえるでしょう。

オレキシン受容体拮抗薬とは?

スボレキサントは「オレキシン受容体拮抗薬」に分類されますが、そもそもオレキシンとは何でしょうか?

■オレキシンの役割

オレキシンは、脳の覚醒を促す神経伝達物質です。この物質が活発に働くと、人は目覚めた状態を維持できます。しかし、オレキシンの働きを抑制することで、自然な眠気が促されるのです。

■オレキシン受容体拮抗薬の作用

スボレキサントは、オレキシンが脳内で働くのをブロックすることで、覚醒を抑えて眠りやすくするという仕組みを持っています。そのため、従来の睡眠薬と比べて、より自然な眠りに近い状態を作ることができると考えられています。

現在、日本で使われているオレキシン受容体拮抗薬は2種類あります。

  1. スボレキサント(ベルソムラ)
  2. レンボレキサント(デエビゴ)

スボレキサントとレンボレキサントの違い

スボレキサントとレンボレキサントの違い

■スボレキサントの特徴

  • 中途覚醒(途中で目が覚める)に対する効果が期待できる
  • 寝つき(入眠)への効果はやや弱い
  • 朝に薬の影響が残りやすいことがある
  • 服用量の調整が難しい

■レンボレキサントの特徴

  • 入眠障害(寝つきが悪い)に対して効果が期待できる
  • 中途覚醒に対する効果はスボレキサントよりやや弱い
  • 服用量を細かく調整できる(2.5mg〜10mg)

このように、どちらの薬も一長一短があるため、症状に応じて使い分けることが重要です。

スボレキサント(ベルソムラ)の副作用と注意点

■主な副作用

  1. 強い眠気
     日中に眠気が残ることがあるため、車の運転や機械操作には注意が必要です。
  2. 頭痛や悪夢
     一部の人では、頭痛や不快な夢を見ることがあります。

■服用時の注意点

  • 食後すぐに飲まない
    食後すぐに服用すると、薬の効果が弱まったり、朝に眠気が残りやすくなったりします。食事から2時間以上空けるのが理想的です。

スボレキサントの実際の使い方

スボレキサントの実際の使い方

■服用方法

  • 1日1回、20mgを就寝前に服用
  • 高齢者の場合は少量(10mg)から開始
  • 食後2時間以上空け、寝る1時間前が目安
  • 服用後はリラックスし、寝る準備を整える

効果が不十分な場合の対応策

スボレキサントの効果が不十分な場合、以下の3つの選択肢が考えられます。

レンボレキサント(デエビゴ)に変更

  • 寝つきが悪い場合に有効
  • 服用量の調整が可能(2.5mg〜10mg)

トラゾドンを追加

  • 抗うつ薬でありながら、睡眠を改善する作用がある
  • 中途覚醒の改善に適している
  • 朝にだるさが残ることがあるため注意が必要

ベンゾジアゼピン系睡眠薬に変更

  • 即効性があるため、不安が強い不眠に適している
  • ただし、依存性のリスクがあるため慎重に使用する

スボレキサントの中止方法

スボレキサントは依存性が低いため、徐々に減らす必要はなく、突然中止しても問題ないとされています。ただし、中止後に睡眠が浅くなった場合は、生活リズムを整えることが重要です。

  • リラックスする習慣を取り入れる(ストレッチ、読書、アロマなど)
  • 規則正しい生活を心がける
  • どうしても眠れない場合は、一時的に薬を再開することも検討

まとめ

スボレキサント(ベルソムラ)は、依存性の少ない睡眠薬として、不眠症治療の選択肢の一つとなっています。特に、中途覚醒に対して有効であり、自然な眠りを促す作用を持っています。

■ポイントのおさらい

オレキシン受容体拮抗薬であり、依存性が少ない
中途覚醒の改善に適している
食後2時間以上空けて服用するのが望ましい
副作用として眠気や頭痛が出ることがある
効果が不十分な場合、他の薬への変更や併用を検討する

睡眠に悩む方は、専門医と相談しながら、適切な治療法を見つけることが大切です。