チック症【急に声や動きが出る不調、時に発達障害を合併:精神科医が4.5分でまとめ】

はじめに

本記事では「チック症」について詳しく解説します。

チック症とは、無意識に体の動きや声を発してしまう疾患であり、小児科でよく見られる症状ですが、大人の方でも悩まれるケースがあります。本記事では、チック症の特徴や種類、診断基準、治療法について詳しく解説していきます。

チック症とは?

チック症とは、意図せずに同じ動作や音を繰り返してしまう神経疾患の一つです。本人の意思とは関係なく発生するため、自分でコントロールすることが難しいのが特徴です。

代表的な症状としては、以下のようなものがあります。

  • 運動チック:まばたきを頻繁にする、顔をしかめる、肩をすくめる、首を振る など
  • 音声チック:咳払いをする、鼻をすする、うなり声を出す、単語やフレーズを発する など
音声チックイラスト

こうした症状は一時的に抑えられることもありますが、本人が意識しすぎると逆に悪化することがあるため、注意が必要です。

チック症の分類

チック症は、その症状の種類や持続期間によって、いくつかのタイプに分類されます。

1. 症状の種類による分類

チック症の症状は、大きく分けて「運動チック」と「音声チック」に分類されます。さらに、それぞれ単純なものと複雑なものに分けることができます。

  • 運動チック(体の動きに関するチック)
    • 単純性運動チック:まばたき、顔をしかめる、肩をすくめる、首を振る など
    • 複雑性運動チック:他人の動きを真似る(エコプレキシア)、不適切な動作を行う(汚行) など
  • 音声チック(声や音に関するチック)
    • 単純性音声チック:咳払い、鼻を鳴らす、うなり声を出す など
    • 複雑性音声チック:他人の言葉を繰り返す(エコラリア)、意味のない言葉を発する、社会的に不適切な言葉を発する(汚言) など
チック症のイラスト

2. 持続期間による分類

チック症は、症状が続く期間によって以下のように分類されます。

  • 暫定的チック症:症状が1年未満のもの
  • 持続性チック症:運動チックまたは音声チックのいずれかが1年以上続くもの
  • トゥレット症候群:運動チックと音声チックの両方が1年以上続くもの

トゥレット症候群は、特に症状が重い場合が多く、日常生活に影響を及ぼすことがあります。

チック症の発症と経過

チック症は、一般的に4歳から6歳ごろに発症し、10歳から14歳ごろにピークを迎え、その後多くの場合は軽快していきます。しかし、中には成人になっても症状が残る場合があります。

また、成人以降に突然発症することはまれであり、多くのケースは子どものころから症状が見られています。

チック症は、以下のような疾患との関連が指摘されています。

  • 発達障害(ASD・ADHD):自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)のある方は、チック症を合併することが多い
  • 強迫性障害(OCD):繰り返しの動作や特定の行動へのこだわりが強い人に、チック症が見られることがある

チック症の治療と対策

現在のところ、チック症に対する確立された特効薬は存在しません。基本的な治療方針は、「ストレスを減らしながら経過を見守る」というものです。

1. 環境調整と心理的アプローチ

チック症は、ストレスや緊張が強いと悪化することが多いため、リラックスできる環境を整えることが大切です。

家族の画像
  • 周囲の理解を得る:チック症を無理に抑えようとすると悪化することがあるため、家族や学校、職場の理解を得る
  • ストレス管理:趣味や運動を取り入れ、ストレスを適切に発散する
  • 認知行動療法(CBT):自分の症状を受け入れ、適切な対処法を学ぶ

2. 薬物療法(重症例の場合)

症状が1年以上持続し、日常生活に支障をきたす場合は、精神科での薬物療法を検討することがあります。

  • 抗精神病薬(ドーパミン遮断薬):チック症状を抑える効果がある
  • α2アドレナリン作動薬:ストレスによるチックの悪化を抑える

ただし、薬には副作用があるため、慎重な判断が必要です。

まとめ

チック症は、無意識に音や動きを繰り返してしまう疾患であり、特に子どもに多く見られます。

  • チック症には「運動チック」と「音声チック」があり、それぞれ単純性と複雑性に分類される
  • 発症は幼少期が多く、10代でピークを迎え、大人になると軽減することが多い
  • 基本的な治療法は「ストレスを減らし、気にしすぎないこと」
  • 重症の場合は精神科での薬物療法が検討される

周囲の理解と適切な対応があれば、チック症とうまく付き合っていくことが可能です。症状に悩んでいる方や、周囲にチック症の人がいる場合は、ぜひ温かく見守る姿勢を大切にしてください。