知的障害を持つ人々を支えサポートするためには、彼らの特性や状態を理解しておくことが必要です。さらに、知的障害を持つ当事者にとっても、自分の障害について理解することが重要です。今回は、知的障害の一般的な特徴について、行動や認知面、表現などを皆さんと一緒に理解を深めていきたいと思います。

知的障害とは、組織細胞によって構成される器官の機能的性質の障害で、通常18歳までの発達期に生じたものを指します。
→社会生活にうまく適応できない特徴がある
また、自分自身の活動や機能、または容姿などについて「完全ではない、優れていない」と思ってしまう「自己不全感」という感情、無気力な「パワレス」状態に陥りやすい傾向にあります。これらは、知的障害の特性から派生する二次的症状といえます。
人間は、社会に適応した生活を送ることで、「自己実現」を果たすことができます。知的障害児者の場合、礼儀正しく食事をするなどの日常生活動作を含めた生理的欲求の段階で、社会的な規則にのっとった生活が最優先される傾向にあります。そのため、仲間を作ったり認めてもらう機会が少なく、自己実現への取り組みが乏しくなる現状があります。
社会の仕組みはハード面とソフト面の両面から、障害のない人仕様にできている傾向があります。この、障害のない人仕様のもとでは、障害のある人にとって障害が多く発生するということになります。それはすなわち、「社会やその中にいる人が障害を作り出している」といえます。これらの特徴によって、障害児者は生活のしづらさや能力の発揮しにくさがもたらされることになります。
また、その時々で必要な福祉サービスを利用したり、合理的配慮を継続的に受けていく必要があります。
アメリカ精神医学会(DSM-5)では、従来の「精神遅滞」を廃止して、知的障害へと変更して、IQによる軽度・中度・最重度という重症度基準による相対的知能能力の工程ではなく、実際的な生活適応能力の工程が重視されるようになっています。これによって、知的障害の診断基準は、概念的領域・社会的領域・実用的領域において、実際にどれくらいのレベルで適応できているのか、具体的な学習課題、生活状況、人間関係に対してどのように対処しているのかを判定して、測定値に医師の臨床所見を加えて診断するとしています。
ここで重要なことは、適応行動の明らかな制約は、概念的・社会的・実用的スキルの3領域が相互に関連しあっていて、環境の変化によってスキルも変容するという点です。

AAIDD(アメリカ知的障害者協会)の適応行動概念は、人の機能を多次元的にみることで分析していて、ICFモデル(国際生活機能分類)とも整合しているものがあります。一般的な適用行動概念として、
と、以上の3領域があります。
障害を負って適応行動に障害がある場合には、環境を操作することで適応行動に関わる障害を軽減したりなくすことができるようになります。人が社会生活を営むうえで適応した状態とは、周囲に迷惑を及ぼすことなく社会的・文化的規範を守り、他人から容認され、人間関係のなかで安定を得る「外的適応」と、主観的に自己を容認して、精神的・心理的に安定を得ることで環境に適応しようとする「内的適応」が挙げられます。
知的障害ではない人は、環境に適合する行動を学習して、欲求を満足させるために環境に働きかけ、外的適応・内的適応させ変化させる努力をします。知的障害がある人は、環境に適合するための意思形成に制約があり、理解できないままの状態で行動に移ることが多く、これが不適応行動となって表れる場合があります。また、知的障害は、個人の知的機能だけの問題ではなく、地域社会の環境との相互作用や、文化的・風土的要因を重視して考えることが必要です。
知的障害者は、各々が適切な環境設定を得て、適切な支援を受けることで、知的機能や適応行動が改善されるという考え方が大切になります。
エコロジカルアプローチは、人と環境の相互作用に焦点を当てた支援方法です。環境の改善と人の成長が互いに利益をもたらす関係にあることを理解することが重要です。
以上が、知的障害の一般的な特徴や行動面についての説明でした。