はじめに
心療内科・精神科では、うつ病や適応障害、不安障害など、心や脳の不調に対してさまざまな薬が使われます。精神科の薬は数多く存在しますが、実際に使用される薬は比較的限られています。
今回は、心療内科・精神科で特によく使われる代表的な薬13種類について、それぞれの特徴や注意点を解説していきます。
1. 抗うつ薬(うつ病・適応障害などに使用)
抗うつ薬は、主に うつ病や適応障害、不安障害の治療 に使われる薬です。効果が現れるまで 1~4週間かかることが一般的です。
① セルトラリン(ジェイゾロフト)【SSRI】
- 代表的な 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI) の一つ
- 不安を和らげる作用 が強く、うつ病だけでなく パニック障害や強迫性障害(OCD) にも使用される
- 少量から開始し、徐々に増量・減量 していくのが基本
② デュロキセチン(サインバルタ)【SNRI】
- セロトニンとノルアドレナリン の両方を増やす SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
- 意欲(やる気)を向上させる 作用があり、慢性的な痛み(腰痛など) にも使用されることがある
- SSRIと同様、徐々に増量・減量していく
2. 睡眠薬(不眠症の治療)
不眠は うつ病や適応障害の症状の一つ であり、睡眠薬が用いられることがあります。
③ レンボレキサント(デエビゴ)【オレキシン受容体拮抗薬】
- 依存性が少ない 新しいタイプの睡眠薬(オレキシン受容体拮抗薬)
- 「寝つきを良くする」 効果が期待できる
- 効果には個人差があり、効かない場合はほかの薬を検討することもある
④ ブロチゾラム(レンドルミン)【ベンゾジアゼピン系】
- 代表的な 短時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬
- 寝つきの改善 や 途中で目が覚める症状 に効果がある
- 効果は強いが、長期間使用すると 依存のリスク があるため注意
3. 抗不安薬(不安症状やパニック障害の治療)
抗不安薬は、即効性があり、強い不安や緊張を和らげる 薬です。ただし、依存のリスクがあるため注意が必要 です。
⑤ ロラゼパム(ワイパックス)【ベンゾジアゼピン系】
- 即効性があり、15~30分で効果が出る
- 効果は 約6時間持続 し、頓服(必要なときだけ服用) することが多い
- 依存リスクがあるため、必要最小限の使用が基本
⑥ ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)【ベンゾジアゼピン系】
- 効果の持続時間が長い 抗不安薬
- 1日1回の服用で、日中の不安を抑える ことができる
- 依存は比較的少なめだが、眠気が出やすい ため注意が必要
4. 抗精神病薬(統合失調症や躁うつ病の治療)
抗精神病薬は 統合失調症や双極性障害(躁うつ病) の治療に使用される薬です。
⑦ アリピプラゾール(エビリファイ)
- 統合失調症や躁状態の治療薬
- 少量をうつ病治療の補助薬として使用 することもある
- 副作用は少ないが、効果や適量には個人差がある
⑧ リスペリドン(リスパダール)
- 統合失調症の治療薬 であり、効果が強い
- 小児の自閉症スペクトラム障害(ASD) の治療にも使われることがある
- 副作用の出方に個人差があるため、医師との相談が重要
⑨ オランザピン(ジプレキサ)
- 気分の波を抑える効果が強い
- 統合失調症や躁うつ病(双極性障害) に使用される
- 体重増加や血糖値上昇のリスク があるため、糖尿病の方は使用できない
5. 気分安定薬(双極性障害の治療)
気分安定薬は、躁とうつの両方を抑える ため、双極性障害の治療に使用されます。
⑩ 炭酸リチウム(リーマス)
- 躁・うつ・維持療法のすべてに有効な代表的な気分安定薬
- 血中濃度を測りながら使用 する必要がある
- 妊娠時のリスクがあるため、使用に注意が必要
⑪ バルプロ酸(デパケン)
- 特にイライラを伴う躁状態に効果的
- 躁うつ病、てんかん、偏頭痛の治療にも使用される
- 肝機能障害や妊娠時のリスクに注意
6. ADHD(注意欠如・多動症)の治療薬
ADHDの治療薬は、集中力を高め、衝動性を抑える 効果があります。
⑫ アトモキセチン(ストラテラ)
- 比較的安全性が高いADHD治療薬
- 効果が出るまで 1~2か月かかる
- ADHDの特性を 完全になくすものではないため、生活の工夫も重要
7. 認知症治療薬(認知症の進行を遅らせる)
認知症の治療薬は、認知機能の低下を遅らせる ために使用されます。
⑬ ドネペジル(アリセプト)
- アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる代表的な薬
- 介護制度などのサポートと併用することが重要
- 一部の人では イライラなどの副作用が出ることがある
まとめ
今回紹介した 13種類の薬 は、心療内科や精神科で特によく使われるものです。うつ病、適応障害、不安障害、双極性障害、統合失調症、ADHD、認知症 など、さまざまな症状や疾患に対応するために処方されます。
薬の種類によって 作用の仕方や副作用 は異なります。例えば、抗うつ薬は 効果が出るまで時間がかかる ものが多く、抗不安薬は 即効性があるが依存のリスクがある という特徴があります。睡眠薬も、依存しにくいものと、強力な効果があるものに分かれます。
また、精神疾患の治療では 薬だけに頼るのではなく、生活習慣の改善やカウンセリングと組み合わせることが大切 です。
自己判断で薬をやめたり増減したりすることは避け、必ず医師と相談しながら服用を続けるようにしましょう。
それぞれの薬の特性を理解しながら、適切に活用していきましょう。