ベンラファキシン(イフェクサー)

はじめに

今回は、抗うつ薬の一種であるSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、その中でも特に用量によって効果が異なる「ベンラファキシン(商品名:イフェクサー)」について詳しく解説していきます。

ベンラファキシンは、うつ病治療において意欲の改善を図る薬であり、少量では不安の軽減、高用量では意欲向上に効果が期待できます。
しかし、効果が現れるまで段階的に増量する必要があるため、即効性には欠けるという側面もあります。

本記事では、ベンラファキシンの特徴、作用機序、他の抗うつ薬との違い、長所・短所、実際の使用方法までをわかりやすく解説していきます。

抗うつ薬とSNRIについて

抗うつ薬とSNRIについて

抗うつ薬は、脳内の神経伝達物質であるセロトニンを増やすことでうつ症状を改善する薬です。
効果が現れるまでには1〜4週間ほどかかることが一般的です。
抗うつ薬にはさまざまな種類がありますが、その中でも代表的なのがSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)です。

一方、今回扱うSNRIは、「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」の略称です。
これは、脳内のセロトニンとノルアドレナリンという2つの神経伝達物質を増加させることで、うつ症状を改善します。
セロトニンは不安を軽減する働きがあり、ノルアドレナリンは意欲を向上させる作用があります。
このため、SNRIは不安感と意欲低下の両方にアプローチすることができるのです。

ベンラファキシン(イフェクサー)の特徴

ベンラファキシンは、SNRIの中でも特に用量によって効果が変わる薬です。
その特徴を以下のようにまとめることができます。

  • 少量(75〜150mg):セロトニンを増やす作用が強く、不安の軽減に効果的。
  • 高用量(150〜225mg):ノルアドレナリンの増加作用が強くなり、意欲向上に期待できる。

このように、少量では不安症状の緩和、高用量では意欲改善という使い分けが可能です。
特に150mg程度では、セロトニンとノルアドレナリンのバランスが取れた効果が得られるため、不安と意欲低下が併存している場合に有効です。

SSRIとの共通点と違い

SSRIとの共通点と違い

ベンラファキシンを含むSNRIと、SSRIとの違いを整理してみましょう。

共通点

  • セロトニンを増やす作用があるため、基本的な抗うつ薬としての効果はほぼ同じ。
  • 初期の副作用として、吐き気や下痢などセロトニン由来の症状がある。
  • 中止時の離脱症状(めまい、しびれ、感情の起伏など)が共通する。

相違点

  • ノルアドレナリンを増やす作用があるため、意欲向上にもアプローチ可能。
  • 不安への効果はSSRIに比べてやや弱いことがある。
  • ノルアドレナリン由来の副作用として、尿が出にくくなる尿閉、頭痛、頻脈(脈が速くなる)などがある。

ベンラファキシンの副作用

ベンラファキシンの副作用は主に以下の2つに分類されます。

  1. セロトニンに伴う副作用
    • 吐き気、下痢、胃の不調など
    • 初日に現れやすいが、数日で慣れていくことが多い
  2. ノルアドレナリンに伴う副作用
    • 尿閉(尿が出にくい)
    • 頭痛
    • 頻脈(脈が速くなる)

これらの副作用は薬を飲み始めて数日に出やすいものの、多くの場合、体が慣れて軽減していきます。

離脱症状について

離脱症状について

ベンラファキシンは、急に中止すると離脱症状が現れることがあります。

  • めまい
  • 過度の感情の起伏
  • しびれ

これらは経過観察により自然に改善する場合が多いですが、症状が強い場合は減薬前の量に戻すことで対処します。

ベンラファキシンの使用方法

ベンラファキシンの使用は段階的に行われます。

  1. 開始時
    • 37.5mgから開始し、1週間以上経過後に75mgに増量
    • 吐き気や頭痛などの初期副作用に注意する
  2. 増量時
    • 不安が主であれば75mgを維持
    • 意欲低下がある場合は150mgへ増量
  3. 高用量時
    • 効果が不十分なら225mgまで増量
    • 副作用が強い場合は、増やす前の量に戻す
  4. 併用療法
    • 効果が限定的な場合は、ミルタザピンを併用
    • 補助薬としてアリピプラゾールを少量追加
  5. 減薬・中止時
    • 改善後は数ヶ月同じ量を維持して再燃を予防
    • 徐々に減薬し、離脱症状に注意しながら中止

まとめ

ベンラファキシン(イフェクサー)は、用量によって効果が変わるSNRIであり、低用量で不安を軽減、高用量で意欲向上を目指します。
即効性には欠けるものの、段階的に増量することで症状に合わせた治療が可能です。
副作用や離脱症状にも注意しつつ、医師と相談しながら慎重に使用することが大切です。

本記事が、ベンラファキシンについて理解を深める手助けになれば幸いです。