炭酸リチウム(リーマス)とは? 〜躁うつ病(双極性障害)の治療薬〜
躁うつ病(双極性障害)の治療には、気分の波を安定させる「気分安定薬」 が必要不可欠です。その中でも代表的な薬が 「炭酸リチウム(リーマス)」 です。躁とうつの両方を抑える効果があり、長期間にわたる再発予防(維持療法)にも効果を発揮します。
しかし、炭酸リチウムは 血中濃度の管理が重要な薬であり、副作用や中毒のリスクも伴います。そのため、適切な使い方や注意点を知っておくことが大切です。
本記事では、以下のポイントを中心に 「炭酸リチウム(リーマス)」 について詳しく解説していきます。
- 炭酸リチウムと躁うつ病の概略
- 躁うつ病の治療と炭酸リチウムの効果
- 炭酸リチウムの副作用と血中濃度の管理
- 炭酸リチウムの使用禁忌・注意点
- 妊娠と炭酸リチウム
- 炭酸リチウムの実際の使い方
1. 炭酸リチウムと躁うつ病の概略
炭酸リチウムとは?
炭酸リチウム(リーマス)は、躁うつ病(双極性障害)の治療に用いられる代表的な気分安定薬 です。以下の3つの症状に対して効果があります。
- 躁状態の改善
- 興奮・多弁・イライラを抑える
- 衝動的な行動や金銭の浪費を防ぐ
- うつ状態の改善
- 再発予防(維持療法)
しかし、血中濃度を適切に管理することが必要 であり、定期的な血液検査 を行いながら使用することが重要です。
躁うつ病(双極性障害)とは?
躁うつ病(双極性障害)は、「うつ状態」と「躁状態」 を周期的に繰り返す病気です。
- うつ状態
- 強い気分の落ち込み
- 何事にも興味が持てない
- 意欲が低下し、動けなくなる
- 躁状態
- 異常なほど活動的になる
- 多弁・過度な自信・浪費
- 衝動的な行動をとることがある
これらの症状が繰り返し現れるため、適切な治療による 「気分の安定化」 が不可欠です。
2. 躁うつ病の治療と炭酸リチウムの効果
躁うつ病の治療法
躁うつ病の治療では、「躁の改善」「うつの改善」「再発予防」 の3つの側面を考慮します。
- 躁状態の治療:炭酸リチウムが基本となるが、必要に応じて抗精神病薬を併用
- うつ状態の治療:炭酸リチウムのほか、ラモトリギンなどを検討
- 維持療法(再発予防):炭酸リチウムが第一選択
炭酸リチウムの効果
- 躁状態の改善
- 効果は確かだが、効くまでに時間がかかる(数週間)
- 急性の躁状態では、抗精神病薬を併用することがある
- うつ状態の改善
- うつ症状にも有効だが、効果には個人差がある
- 他の気分安定薬(ラモトリギンなど)と併用することも
- 再発予防
- 長期的な再燃予防効果が高い
- うつ・躁の両方を安定させる作用がある
3. 炭酸リチウムの副作用と血中濃度の管理
主な副作用
炭酸リチウムには、以下のような副作用があります。
- 手の震え(振戦)
- 甲状腺機能の低下
- 腎機能への負担(長期使用で腎不全のリスク)
- 口の渇き・尿量の増加
- 軽い吐き気・めまい
血中濃度とリチウム中毒
炭酸リチウムは、血中濃度が一定範囲に収まるよう管理が必要 です。
| 状態 | 血中濃度(mEq/L) |
| 目標範囲 | 0.3~1.2 |
| 躁状態の治療 | 0.8~1.2 |
| 維持療法(再発予防) | 0.3~0.8 |
| 中毒のリスク | 1.2以上 |
リチウム中毒の症状
- 強い手の震え
- 呂律が回らない
- ふらつき
- 意識障害
- 重度の場合、腎不全 → 透析が必要になることも
対策
- 定期的な血液検査(2~3ヶ月に1回)
- 異常を感じたら速やかに受診
4. 炭酸リチウムの使用禁忌・注意点
使用してはいけない場合
- てんかん(発作の頻度を増やす可能性がある)
- 重度の心疾患(心臓に負担をかける)
- 重度の腎疾患(腎機能を悪化させる)
注意が必要なケース
- 脱水(夏場は特に注意)
- NSAIDs(ロキソニンなどの鎮痛剤) の併用(血中濃度が上昇し中毒リスクが高まる)
5. 妊娠と炭酸リチウム
- 妊娠中に炭酸リチウムを使用すると、胎児の心奇形(エプスタイン奇形)のリスク がある
- 妊娠が分かった場合、主治医と相談の上、慎重に薬の変更を検討 する
- 急に中止すると、躁うつ病の悪化リスクが高まるため、適切な管理が必要
6. 炭酸リチウムの実際の使い方
- 開始時
- 1日200~400mg を1~2回に分けて服用
- 吐き気や手の震えが出ることがあるが、軽度なら様子を見る
- 血中濃度の測定
- 開始後 数週間で血液検査 を実施し、適切な量を調整
- 維持療法
- 0.3~1.2mEq/L を目安に、数ヶ月ごとに血中濃度を確認
- 症状が不安定な場合
- 躁が強い → 抗精神病薬を追加
- うつが続く → ラモトリギンや抗うつ薬を検討
まとめ
- 炭酸リチウム(リーマス)は、躁うつ病の「躁」「うつ」「維持療法」の全てに効果がある
- 血中濃度を定期的に測定し、中毒を防ぐ
- 妊娠・腎機能・脱水・薬の併用には注意が必要
適切に管理すれば、長期的な安定をサポートできる重要な薬 です。主治医と相談しながら、安全に使用しましょう。