ADHDにおけるアンガーマネジメントとは?     【衝動性からくる怒りにどう対処するか】

はじめに

ADHD(注意欠如・多動症)に関するセルフケアの一環として、今回は「アンガーマネジメント(怒りの管理)」について詳しく解説していきます。
ADHDというと、「不注意」や「忘れ物」などのイメージが強く持たれがちですが、実は社会生活においてより注意すべきなのは「多動性・衝動性」です。

特に成人の場合、幼少期のような「落ち着きのなさ」や「絶え間なく動き回る」といった行動は目立たなくなることが多いものの、「感情の動きやすさ」や「衝動的な反応」といった“心の多動・衝動性”が問題となることがあります。
その中でも特に「怒り」は対人関係に大きく影響を及ぼしやすく、適切にコントロールできないと社会適応に困難を感じることになります。

そこで本記事では、ADHDの人にとっての「アンガーマネジメント」について詳しく説明し、実践的な対策を紹介していきます。

主な内容は以下の3点です。

  1. なぜADHDにおいてアンガーマネジメントが重要なのか
  2. 怒りが湧き上がった際の具体的な対処法
  3. 怒りを予防するための心がけ

では、順番に詳しく見ていきましょう。

1. ADHDにおいてアンガーマネジメントが重要な理由

1. ADHDにおいてアンガーマネジメントが重要な理由

ADHDとは?

ADHDとは、「不注意」「多動性」「衝動性」を特徴とする発達障害の一つで、生まれつきの脳の特性によるものです。ADHDの人は、行動を適切に制御する「実行機能」に課題を抱えやすく、それが「衝動的な行動」や「感情のコントロールの難しさ」につながります。

アンガーマネジメントとは?

アンガーマネジメントとは、怒りを適切にコントロールし、上手に対処するための技術のことを指します。大きく分けて以下の2つのアプローチがあります。

  • 行動的アプローチ(怒りをすぐに鎮めるための方法)
  • 認知的アプローチ(怒りを予防し、考え方を変える方法)

ADHDの人が怒りを管理する必要性

ADHDの人は、感情が湧き上がるとそれを即座に言動に表してしまいやすい傾向があります。
特に「怒り」に関しては、適切にコントロールできないと対人関係に悪影響を及ぼしやすく、職場や家庭、友人関係において問題が生じることがあります。
しかし、ADHDの人はポジティブな感情(喜び・興奮)を相手に伝えるのが得意な一方で、ネガティブな感情(怒り・イライラ)がそのまま出てしまうと、人を巻き込んでトラブルになりやすいという特徴があります。
そのため、「怒り」を適切にコントロールすることが、円滑な対人関係を築くために非常に重要になります。

2. 怒りが出たときの具体的な対策

2. 怒りが出たときの具体的な対策

怒りの発生メカニズムを考えると、以下のような流れで強い感情が生じます。

出来事 → 思考 → 感情(怒り) → 衝動的な行動

このうち、ADHDの人は特に「感情」や「行動」の部分でコントロールが難しくなる傾向があります。したがって、怒りが湧き上がった際には、まず「一歩引いて冷静になる」ことが最も重要です。
そのための具体的な方法を紹介します。

その場でできるクールダウンの方法

  1. 「6秒ルール」
    怒りの感情は、最初の6秒がピークと言われています。
    したがって、怒りを感じたらまず6秒数えてみることで、衝動的な行動を防ぐことができます。
  2. 深呼吸
    怒っているときは呼吸が浅くなりがちです。
    意識的にゆっくり深呼吸をすることで、気持ちを落ち着かせることができます。
  3. 注意を別のものに向ける
    怒りが強いときは、頭の中がその出来事でいっぱいになりがちです。
    意識的に他のことに注意を向ける(例えば、周囲の風景を眺める、別の作業に集中する)ことで、怒りの感情を和らげることができます。

行動による対策

  1. タイムアウト
    その場から一時的に離れることで、感情を落ち着かせることができます。
  2. 安全な発散法を見つける
    例えば、クッションや枕を叩く、紙に怒りを書き出すなど、安全な方法で感情を発散するのも効果的です。
  3. 必要なら頓服薬を活用する
    医師の指導のもとで、必要に応じて一時的に使える薬を活用するのも一つの手です。

3. 怒りを予防するための心がけ

3. 怒りを予防するための心がけ

自分の怒りのパターンを知る

怒りをコントロールするためには、自分がどのような状況で怒りやすいのかを把握することが重要です。そのために、「アンガーログ」(怒った場面を記録するノート)をつけると効果的です。
また、「人は人、自分は自分」と考えることも大切です。
他人の価値観と自分の価値観は違うのだと意識し、相手の行動に対して過剰に反応しないように心がけましょう。

体調管理を徹底する

怒りのコントロールには、日頃の体調管理も大きく関係します。

  1. ストレス対策
    こまめにストレスを発散する習慣を持つことが重要です。
    (運動・趣味・リラックスする時間を作るなど)
  2. 疲れを溜めない
    ADHDの人は疲れを自覚しにくい傾向があるため、意識的に休息を取ることが大切です。
  3. 睡眠と生活リズムを整える
    生活リズムが乱れると感情のコントロールも難しくなるため、なるべく一定のリズムを保つことを心がけましょう。

まとめ

ADHDの人にとって、怒りのコントロールは対人関係を良好に保つためにとても重要です。
怒りが湧き上がったときには「一歩引いて冷静になる」ことを意識し、普段から自分の怒りのパターンを把握しながら、生活習慣を整えていくことが大切です。

適切なアンガーマネジメントを実践し、より快適な日常を送れるようにしていきましょう。