はじめに
今回は「統合失調症の心理社会的治療」について丁寧に解説していきます。統合失調症の治療には、抗精神病薬を用いた「薬物療法」と、もう一つの重要な柱である「心理社会的療法」があります。特に、社会復帰を含めた「統合失調症を抱えながらどのように生活していくか」を考える上で、「心理社会的療法」は欠かせないものです。
本記事では、「心理社会的療法」について、具体的にどのような枠組みがあるのかを以下の4つの視点から詳しくご紹介します。
- 心理教育
- 生活支援
- 日中活動
- 就労支援
それでは、一つひとつ丁寧に見ていきましょう。
1. 心理教育
心理教育とは、自分の病気や症状、そして治療について学ぶことを指します。統合失調症に対する理解を深めることで、治療を自発的に続ける意欲を高め、症状への対処能力を養うことが目的です。
心理教育で学ぶ内容
- 統合失調症の病気や症状、特性:自分の状態を正しく理解する。
- 治療の重要性:特に薬物療法を継続する意味とその効果。
- 残存する症状や気持ちの葛藤への対処法:日常生活での困難にどう向き合うか。
学び方
- グループ学習:入院中のデイケアなどで、同じ疾患を持つ人たちと学ぶ。
- 自己学習:書籍やインターネットを活用して独学する。
- 動画教材:近年では動画を通じた学習も広がっています。
心理教育の効果
- 治療への動機付け:服薬を含めた治療への積極的な参加を促します。
- 症状への対処技術の習得:幻聴などへの具体的な対応策を学びます。
- 社会復帰への土台づくり:自己管理を通じて段階的に社会復帰を目指します。
2. 生活支援
統合失調症の急性期を乗り越えた後、陰性症状や認知機能障害が現れることがあります。これらが生活に影響を与えるため、日常生活をサポートする生活支援が重要です。
生活支援の方法
- 訪問看護
- 看護師が週1回程度自宅を訪問し、生活や症状に関するアドバイスを行います。
- 必要に応じて主治医との橋渡し役にもなります。
- ヘルパーサービス
- ホームヘルパーが訪問し、生活面のサポートや通院同行を行います。
- ただし、医療行為は行えません。
- 家族心理教育
- 家族が病気の知識や適切な接し方を学ぶことで、感情的に過度に反応する「High-EE」状態を避け、本人にとって良いサポートを提供することができます。
3. 日中活動
陰性症状や認知機能障害を和らげるためには、無理をせずに頭や体を動かすリハビリが必要です。これをサポートするのが日中活動です。
主な日中活動
- 作業療法
- 入院中に行われることが多く、2時間程度の作業を通して症状の改善を図ります。
- デイケア
- 退院後に週数回通所し、リハビリ活動を行います。
- 生活リズムの維持・改善にも効果的です。
- 作業所(就労継続支援B型)
- 軽作業を通じてリハビリを行います。
- 「ゆっくり作業する場」から「仕事に近い作業所」まで、個々のニーズに合わせた場所を選べます。
4. 就労支援
症状が安定した後には、仕事への復帰も現実的な目標となります。ただし、再燃リスクを考慮した上で無理のないサポート体制が必要です。ここで重要なのが就労支援です。
主な就労支援
- 就労移行支援
- 2年間を期限とし、仕事への復帰を目的としたリハビリを行います。
- 実習や仕事探しのサポートも行われ、仕事に定着するための支援が受けられます。
- 定着支援
- 仕事を始めた後も、再燃を防ぎながら職場での安定を図るためのサポートを提供します。
おわりに
統合失調症の治療は薬物療法だけでなく、心理社会的療法によるサポートが不可欠です。「心理教育」「生活支援」「日中活動」「就労支援」といった多面的なアプローチを組み合わせることで、統合失調症と向き合いながら社会で生活するための道筋を作ることができます。
どんな支援が自分に合っているのかを知り、無理のないペースで一歩ずつ前進していくことが大切です。本記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。