【統合失調症療養のコツ】副作用とその対策

はじめに

統合失調症の治療では、 抗精神病薬の継続 が不可欠です。しかし、治療を続けていく中で問題となるのが 「副作用」 です。特に症状が安定してくると、副作用がより気になりやすくなり、「薬を減らしたい」「やめたい」と考える方も増えてきます。

しかし、統合失調症は 再燃(再発)のリスクが非常に高いため、薬の服用を中断すると病状が悪化する危険があります。そのため、 副作用とうまく付き合いながら、安全に薬を継続していく方法を考えること が大切です。

今回は、 抗精神病薬の副作用とその対策について詳しく解説 していきます。

1. 統合失調症とは?

統合失調症は、 脳内のドーパミンの過剰な働き によって引き起こされる精神疾患です。主な特徴は次のとおりです。

  • 急性期 には 幻聴や妄想 などの 陽性症状 が目立つ
  • 症状が落ち着いた後は、 意欲低下や感情の平板化 などの 陰性症状 が目立つ
  • 抗精神病薬 を継続することで、症状の改善と 再燃の予防 を図る

統合失調症は、 症状がなくなったからといって薬をやめると再燃しやすい病気 です。そのため、 薬を適切に使い続けることが治療の基本 となります。

2. 抗精神病薬とは?

統合失調症の治療に用いられる抗精神病薬には、以下のような特徴があります。

  • 脳のドーパミンの働きを抑えることで症状を改善する
  • 病気の再燃を防ぐために継続して服用する必要がある
  • 薬の種類によって異なる副作用がある

3. 抗精神病薬の主な副作用

抗精神病薬の副作用は 薬の種類によって異なる ため、自分が服用している薬の特徴を知ることが重要です。主な副作用として、次のようなものがあります。

① パーキンソン症状(錐体外路症状)

  • 手足がこわばる、歩きにくい、動作が遅くなる
  • 呂律が回りにくくなる
  • 表情が乏しくなる(仮面様顔貌)

主に「ドーパミン遮断型(DSS)」の薬で出やすい副作用

② ホルモン系の副作用(プロラクチン上昇)

  • 乳汁分泌(男女ともに)
  • 生理不順
  • 性機能低下

主に「SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)」で出やすい副作用

③ 体重増加・食欲増加

  • 過食になりやすい
  • 体重が増えやすい
  • 糖尿病のリスクが高まる

主に「MARTA(多受容体作用抗精神病薬)」で出やすい副作用

④ 眠気

  • 日中に強い眠気を感じる
  • 集中力が低下する

MARTA系の薬や一部のSDAで出やすい副作用

4. 副作用への3つの対策

副作用がつらいと感じたとき、次の 3つの方法 で対応を検討します。

① 減薬(薬の量を減らす)

メリット

  • 適量の範囲内であれば、副作用を軽減しつつ安全に行える
  • 薬の量を減らすことで、体への負担が軽くなる

デメリット

  • 減らしすぎると、症状が再燃するリスクがある
  • 急激に減らすと、離脱症状(めまい・不眠・不安など)が出ることがある

適切なペースで少しずつ減薬し、副作用と症状のバランスを取ることが大切です。

② 変薬(別の薬に変更する)

メリット

  • 自分に合う薬が見つかれば、副作用を減らしながら治療を続けられる

デメリット

  • 新しい薬が合わない場合、別の副作用が出る可能性がある
  • 変更後に一時的に症状が不安定になることがある

薬の種類によって副作用の出方が異なるため、自分の体質に合った薬を探すのも一つの方法です。

③ 副作用止めを使う

  • パーキンソン症状 → 抗パーキンソン薬を使用
  • 便秘 → 下剤を使用
  • 眠気 → 服用時間を調整

メリット

  • 再燃リスクを抑えつつ、副作用をコントロールできる
  • 症状を抑えながら治療を続けられる

デメリット

  • 薬の種類が増える
  • 副作用止め自体にも副作用がある場合がある

主治医と相談しながら、必要に応じて副作用を軽減する薬を併用することも一つの選択肢です。

5. 副作用と治療のバランスを取る「SDM(共同意思決定)」

副作用がつらいと感じたとき、多くの患者さんは 「薬をやめたい」「減らしたい」 と思うことがあります。一方で、医師は 「病気の再燃を防ぐために服薬を続けてほしい」 と考えています。

このように、患者と医師の意見が対立することもあります。その際に重要なのが 「SDM(Shared Decision Making)」= 共同意思決定 という考え方です。

SDMとは?

「医師と患者が相談しながら、納得のいく治療方針を決める方法」 です。
ポイントは次の2つです。

副作用は完全にはなくならない
  • どの薬にも副作用はあるため、「副作用がゼロになる薬」は存在しません。
  • どの副作用が自分にとって一番つらいかを整理し、それを軽減する方向で調整する。

減薬・変薬にはリスクがある
  • 薬を減らしたり変えたりすると、病気が悪化するリスクがある。
  • 急に中断せず、慎重に調整していくことが大切

主治医と相談しながら、安全な範囲で副作用の少ない治療を模索することが重要です。

6. まとめ

  • 統合失調症の治療では、抗精神病薬の継続が必要 だが、副作用が問題となることが多い
  • 副作用の対策として「減薬」「変薬」「副作用止めの服用」の3つの方法がある
  • どの方法にもリスクがあるため、主治医と相談しながら決めることが重要
  • 「SDM(共同意思決定)」を活用し、副作用と治療のバランスを取ることが大切。

副作用がつらいと感じたら、無理に薬をやめずに 医師と相談しながら自分に合った方法を見つけていきましょう!