躁うつ病(双極性障害)【躁とうつを反復する脳の病気、精神科医が14分でまとめ】

はじめに

今回は「躁うつ病(双極性障害)」について詳しく解説していきます。

躁うつ病、または双極性障害とは、うつ状態とその逆の躁状態を繰り返す慢性的な脳の病気です。治療の基本となるのは「気分安定薬」と呼ばれる薬の服用ですが、それと同じくらい重要なのが「心理教育」です。心理教育とは、病気やその症状、対策について学び、日々の生活の中で自己管理を行っていくことを指します。

この記事では、以下のような方々に向けて情報を提供します。

  • 当事者の方が自身の病気を理解し、適切な対処を行うためのツールとして
  • ご家族や友人が、当事者の症状やその対処法を知るためのツールとして
  • 一般の方が、今後出会うかもしれない双極性障害の方との関わり方を学ぶためのツールとして

双極性障害とは

双極性障害(躁うつ病)は、その名の通り「躁」と「うつ」を繰り返す病気です。近年では「双極性障害」という呼び方が一般的になっています。

「双極」という言葉は、二つの極端な状態があることを意味します。片方が「躁状態」、もう片方が「うつ状態」であり、この二つの極端な気分の変動が特徴的です。

疫学(どれくらいの人が発症するのか)

双極性障害は、以下のように分類されます。

  • 双極I型障害(重度の躁状態を伴う):有病率は約1%未満
  • 双極II型障害(軽躁状態を伴う):1%から5%の間(統計によって異なる)

発症年齢については、10代で発症することが多いとされますが、実際に診断・治療を受けるのは20代から40代が中心です。また、男女差はほとんどなく、遺伝的要因も関与していると考えられています。

再発率は非常に高く、基本的に9割以上の方が再発する可能性があるとされています。

躁状態とうつ状態の症状

双極性障害の主な症状は、「躁状態」と「うつ状態」の2つに分かれます。

1. 躁状態の症状

躁状態では、気分が異常に高揚し、「何でもできる」と感じるようになります。具体的な症状は以下の通りです。

  • 自尊心の高まり(誇大妄想):自分が特別な存在であると感じることがあります。
  • 睡眠欲求の減少:ほとんど眠らなくても平気だと感じることがあります。
  • 多弁:話す内容が多く、止まらなくなることがあります。
  • 観念奔逸(考えが次々と浮かぶ):思考が次々と湧いて整理できなくなることがあります。
  • 注意散漫:周囲の刺激に敏感になり、集中力が続かなくなります。
  • 目標に向けた行動の増加:突然新しいプロジェクトを始めたり、大きな計画を立てたりします。
  • 過度の集中(熱中):特定のことに熱中しすぎ、浪費や衝動買いをすることがあります。

2. うつ状態の症状

うつ状態では、気分が落ち込み、何もやる気が起きなくなります。具体的な症状は以下の通りです。

  • 抑うつ気分:気分が沈み、何をしても楽しくない。
  • 不眠または過眠:眠れない、または逆に眠りすぎてしまう。
  • 興味の減退:以前は楽しめたことにも興味を持てなくなる。
  • 罪悪感:自分を過剰に責める。
  • 活力の減退:何をするにもエネルギーが湧かない。
  • 集中力の低下:何かに集中することが難しくなる。
  • 食欲の変化:食欲が低下したり、逆に過食になったりする。
  • 精神運動制止または焦燥感:動きが遅くなったり、逆に焦って落ち着かなくなる。
  • 希死念慮:死にたいと考えることが増える。

双極性障害の分類

双極性障害は、躁の強さによって以下のように分類されます。

  1. 双極I型障害:重度の躁状態とうつ状態を繰り返す。躁の影響で金銭トラブルや対人トラブルが起こりやすく、重症の場合は入院が必要なこともある。
  2. 双極II型障害:軽躁状態とうつ状態を繰り返す。軽躁状態は社会的影響が少ないが、うつ状態が長引きやすく、うつ病と誤診されることがある。
  3. 気分循環性障害:軽い躁状態と軽度のうつ状態を繰り返す。

また、特殊な状態として以下の2つがあります。

  • 混合状態:うつ状態と躁状態の症状が同時に現れる。
  • 急速交代型(ラピッドサイクラー):年間4回以上の気分の変動がある。

似た症状を持つ疾患との識別

双極性障害は他の精神疾患と誤診されることがあります。特に以下の疾患と区別することが重要です。

  1. うつ病:双極II型障害はうつ病と間違われやすいが、治療法が異なるため慎重に見極める必要がある。
  2. ADHD:注意散漫や衝動性が見られるため、双極性障害と混同されやすい。

まとめ

双極性障害は、うつと躁を繰り返す慢性的な病気であり、適切な治療と自己管理が重要です。特に、心理教育を通じて病気を理解し、自らの症状を把握することが大切です。

当事者の方、ご家族や友人の方、一般の方がそれぞれ正しい知識を持つことで、より良いサポートができるようになります。この記事が、その一助となれば幸いです。