巻き込みとその対策

はじめに

メンタル不調の治療では、本人の苦しさだけでなく、周囲の人が影響を受けることも大きな問題 になります。特に、家族やパートナー、友人などが 「巻き込まれる」 ことで精神的・肉体的に消耗し、疲弊してしまうケースがあります。

この「巻き込み」が続くと、治療の難易度が上がるだけでなく、本人の社会的信用や周囲との関係にも大きな影響を及ぼします。今回は、この「巻き込み」について詳しく解説し、その対策を考えていきます。

1. 「巻き込み」とは?

メンタル不調により、本人が周囲を巻き込んでしまう行為のこと を指します。

「巻き込み」があると、本人の症状がエスカレートしやすくなり、治療の妨げ になります。また、巻き込まれた周囲の人も大きなストレスを受け、場合によっては うつ病や適応障害などの二次的な精神的問題を引き起こす こともあります。

2. 「巻き込み」が起こる主な場面

「巻き込み」が起こる主な場面

① 強迫性障害(OCD)

具体例

  • 何度も鍵を閉めたか不安になり、家族に繰り返し確認を求める
  • 手洗いの回数が多く、家族にも強制する
  • 本人のルール通りにしないと激高する

② アルコール依存症

具体例

  • 家族にお酒を買いに行かせる
  • 「飲んでいいか?」と周囲に許可を求める(許可が出なかった場合、怒る)
  • 禁酒中のイライラを家族にぶつける

③ パーソナリティ障害

具体例

  • 「お前のせいで調子が悪くなった!」と怒りをぶつける
  • 「病気のせいで何もできない」と周囲に依存する
  • 意に沿わないと怒ったり、無視したりする

3. 「巻き込み」が起こる背景

「巻き込み」には、主に 2つのパターン があります。

① 症状由来の巻き込み

病気の症状として出る巻き込み行為です。
)強迫性障害の人が「鍵を閉めたか確認して」と繰り返し要求する

対策

  • 病気の影響と自覚すること が大事
  • 巻き込み行為を最優先で避けるように努力する

② ストレス対処としての巻き込み

うつ状態やストレスを感じたときに、周囲にぶつけることで自分を楽にしようとするパターン です。
)パーソナリティ障害の人が、「自分は何もできない」と周囲に依存する

対策

  • 他人に頼るのではなく、「別のストレス発散方法」 を探す
  • 自分の不調を 「周囲にぶつけても解決しない」 ことを理解する

4. 「巻き込み」の影響

「巻き込み行為」は、本人・周囲の両方に悪影響を及ぼします。

① 本人への影響

  • 内省の機会がなくなる(自分で問題を考えなくなる)
  • 巻き込みがエスカレートしやすくなる
  • 周囲の信頼を失う

② 周囲への影響

  • 時間や労力を奪われる
  • ストレスが続き、精神的に疲弊する
  • うつ病や適応障害などを発症するリスクが高まる

5. 「巻き込み」は一種の「他害行為」

「巻き込み」は、周囲の人を 強制的に巻き込む行為 であり、広い意味では 「精神的な暴力」あたる場合もあります。

特に、「巻き込みが強い人」は、社会的に孤立しやすい という特徴があります。

「巻き込み行為をなくす」ことが最優先の対策です。

6. 「巻き込み」への対策

「巻き込み」への対策

「巻き込み」への対策は、① 本人が行う対策 と ② 周囲が行う対策両方が必要 です。

① 本人が行う対策

症状由来の場合

  • 巻き込み行為だけは最優先で避ける努力をする
  • できるだけ 「自分で対処する力をつける」

ストレス発散由来の場合

  • 他の方法(運動・趣味・カウンセリング)でストレスを発散する
  • 「巻き込んでも根本解決にはならない」と理解する

② 周囲が行う対策

  • 「できないことはできない」と線引きをする
  • 巻き込み以外のことでサポートできることはする
  • 相手の反応(怒る、無視するなど)を想定した上で、適切な距離をとる
  • 「自分の安全を最優先する」

巻き込みに従い続けると、状況は悪化するだけ なので、適切な対応を心がけることが大切です。

7. まとめ

  • メンタル不調の中には「周囲を巻き込む」行為が出ることがある
  • 巻き込みは「症状由来」と「ストレス発散由来」の2種類がある
  • 巻き込みは、本人・周囲の両方に悪影響を与える(エスカレートする、周囲が疲弊するなど)
  • 巻き込みは「他害行為」にもなり得るため、最優先で無くす必要がある
  • 本人は「巻き込まない努力」をし、周囲は「適切な距離をとる」ことが大切

巻き込みを減らすために大切なこと

  • 本人は「巻き込むことが解決にならない」と理解する
  • 周囲は「巻き込みに巻き込まれないように線引きする」
  • 互いのために「できること・できないこと」を明確にする

巻き込みを最小限にすることが、本人にとっても周囲にとっても最善の選択です。
もし巻き込みに悩んでいる場合は、専門家(精神科医・カウンセラー)に相談することも検討してみてください!