家族が統合失調症と診断されたら

家族が統合失調症と診断されたら

はじめに

家族が統合失調症と診断されることは、ご本人にとっても、ご家族にとっても大きな衝撃となる出来事です。統合失調症の治療は長期にわたることが多く、ご家族のサポートが重要な役割を果たします。
そのため、ご家族がこの状況をどのように受け入れ、どのように関わっていくかが、ご本人の回復に大きな影響を与えます。
本記事では、「家族が統合失調症と診断された場合の対応」について詳しく解説します。

統合失調症と向き合うための基本的な考え方

統合失調症と向き合うための基本的な考え方

High-EEを避ける

統合失調症のご本人に対して、「High-EE(感情表出が高い状態)」、つまり強い批判や感情的な関わり方をすると、病状の悪化や再発のリスクが高まることが知られています。
そのため、ご家族はご本人を穏やかに見守り、必要な時に相談に乗るという姿勢を持つことが重要です。

ご家族が適切に関わるためには、以下の4つのステップが重要になります。

  1. 現実を受け入れる
  2. 病気について学ぶ
  3. 適切な関わり方を身につける
  4. ご家族自身の心も守る

1. 現実を受け入れる

1. 現実を受け入れる

統合失調症と診断されると、ご本人だけでなくご家族も大きな心理的負担を抱えることになります。
この診断を受けることで、ご家族の生活も変わり、長期的なサポートが求められます。

ショックを受けたご家族は、以下のような「受容の5段階」を経験することが多いとされています。

  1. 否認:「うちの家族が病気のはずがない」と現実を受け入れられない。
  2. 怒り:「なぜ自分たちだけがこんな目に遭うのか」といった憤り。
  3. 取引:「治療をしっかりすれば、薬をやめられるのでは?」と現実を交渉しようとする。
  4. 抑うつ:「もう無理だ」と落ち込む。
  5. 受容:「できることをやっていこう」と前向きに考えられるようになる。

受け入れるには時間がかかるのが普通です。焦らず、無理をせず、休養を挟みながらゆっくり向き合っていくことが大切です。また、一人で抱え込まず、相談できる相手を持つことも重要です。

不調時の対応策

  • 家族会:同じ立場の人たちと情報交換をする。
  • カウンセリング:専門家に話を聞いてもらう。
  • 心療内科の受診:ご家族自身のメンタルヘルスを守るための受診。

2. 病気について学ぶ

2. 病気について学ぶ

統合失調症に関する知識を持つことは、ご本人を理解し、適切な対応をするうえで非常に重要です。
ご家族が病気について学ぶことで、ご本人とのコミュニケーションがスムーズになり、適切なサポートが可能になります。

学ぶべきポイント

  • 統合失調症の症状(幻聴、妄想、感情の平板化など)
  • 治療方法(薬物療法、心理社会的療法など)
  • 病気への対応方法(症状が現れた際の適切な行動)

学習の方法

  • 書籍やインターネットを活用する
  • 動画教材を視聴する
  • 病院の家族教室に参加する

3. 適切な関わり方を身につける

3. 適切な関わり方を身につける

High-EEを避ける

批判的な態度や強い感情表出(High-EE)を避けることで、ご本人の症状の悪化を防ぐことができます。
High-EEは意図的に行うものではなく、疲労やストレスが溜まった時に無意識に出てしまうことが多いです。

感情をコントロールする

  • もどかしさやストレスを溜め込まない
    • 陰性症状(意欲の低下)が長く続くと、つい焦りを感じる。
    • ご本人がイライラをぶつけたとき、売り言葉に買い言葉にならないようにする。
    • ご本人の状態が不安定で、ご家族が疲弊してしまったとき。
  • 情熱を内に秘めながら穏やかに接する
    • ご本人の病気を理解しようとする気持ちは大切ですが、過度な熱意は逆効果になることもあります。
    • 冷静に、聞き役に徹することが重要です。
  • 症状に対処する具体的な方法を学ぶ
    • 幻聴や妄想に対して、距離を取る。
    • 頓服薬の服用を促す。
    • 緊急時の対応をあらかじめ病院と相談しておく。

4. ご家族自身の心も守る

4. ご家族自身の心も守る

統合失調症のケアは長期戦になります。ご家族が無理をすると、疲れやストレスが蓄積し、関係が悪化する可能性があります。

ケアを持続可能にするためのポイント

  • デイケアや通所サービスを利用する:ご本人の安定と、ご家族の休息時間の確保。
  • 完璧を求めず、休養を取る:すべてを抱え込まず、「できるときにできる範囲で」対応する。
  • 話し相手を確保する:家族会やカウンセリングを活用し、気持ちを整理する。

まとめ

家族が統合失調症と診断された場合、ご本人だけでなくご家族にとっても大きな試練となります。
受け入れるには時間がかかりますが、焦らずに向き合うことが大切です。

  • 病気について学び、適切な関わり方を身につける。
  • High-EEを避け、穏やかに見守る姿勢を持つ。
  • ご家族自身の心を守るために、相談相手を持ち、休養を確保する。

長期的な視点を持ち、ご本人と共に歩んでいくことが、より良い未来につながるでしょう。