アトモキセチン(ストラテラ)

アトモキセチン(ストラテラ)とは?

 アトモキセチン(ストラテラ)は、依存のないタイプの代表的なADHD(注意欠如・多動症)治療薬の一つです。この薬は、ADHDの症状である「不注意」「多動」「衝動性」の3つ全てに効果が期待できます。ただし、即効性はなく、効果が現れるまでに2~8週間かかるのが特徴です。

ADHDとは?

ADHDは、生まれつきの発達障害の一つであり、以下の特徴があります。

1. 不注意

  • 注意が続かない、注意がそれやすい
  • 物をなくしやすい、片付けが苦手
  • 先延ばしにしがち

2. 多動

  • じっとしていられない
  • 頭の中で考えが巡る(「頭が多動」)
  • しゃべりすぎてしまう

3. 衝動性

  • 突発的な行動をしてしまう
  • ストレスに過敏に反応する
  • 気分の波が大きい

ADHDに関連する脳機能の障害

ADHDの脳機能障害は主に2種類あります。

1. 実行機能の障害(前頭葉の問題)

  • 物事を順序立てて進めることが苦手
  • ノルアドレナリン・ドーパミンが不足している

2. 報酬系の障害(側坐核の問題)

  • 報酬(良いこと)がすぐに得られないと注意が続かない
  • すぐに結果が得られないことに対して耐えられない

アトモキセチンの作用機序

アトモキセチンの作用機序

アトモキセチンは、主に「前頭葉のノルアドレナリン」を増やすことでADHDの症状を改善します。

作用のポイント

  1. ノルアドレナリントランスポーターを阻害し、ノルアドレナリンの再取り込みを防ぐ
  2. 神経細胞間のノルアドレナリン量が増加
  3. 前頭葉の実行機能が改善し、不注意・多動・衝動性が軽減

ただし、側坐核のドーパミンには作用しないため、即効性はありませんが、その分「依存性がない」という利点があります。

アトモキセチンの使用方法

開始用量

  • 通常、1日40mgから開始
  • 副作用を避けるために10~25mgの少量から始める場合も
  • 数日で副作用に慣れることが多いが、異常があれば中止

増量のタイミング

  • 2~4週間は初期量で経過観察
  • 副作用が出たら増量を控える
  • 最大120mgまで増量可能

継続と減薬

  • 効果が見られる場合は数か月~1年以上継続
  • 生活の工夫が定着すれば慎重に減薬を検討
  • 減薬後、症状が悪化する場合は元の量に戻す

アトモキセチンの副作用

初期に出やすい副作用

  • 吐き気、食欲低下などの消化器症状
  • 動悸、不眠、頭痛(ノルアドレナリン系の影響)
  • ただし、依存や離脱症状はほぼ見られない

アトモキセチンの長所・短所

アトモキセチンの長所・短所

長所

  • 依存の心配がなく、安全に使用可能
  • ADHDの3つの症状(不注意・多動・衝動性)すべてに効果を期待
  • 不安・抑うつの症状にも一定の効果がある

短所

  • 効果が出るまで2~8週間かかる
  • 効果の実感が分かりにくい
  • ADHDの「待つのが苦手」な特性と相性が悪いことがある

アトモキセチンを検討する場面

  • 大人の発達障害では第1選択肢として使用されることが多い
  • 効果が出るまでの時間を待てる場合
  • ADHDとともに不安や抑うつの症状がある場合

まとめ

  • **アトモキセチン(ストラテラ)**は、依存のない代表的なADHD治療薬
  • 前頭葉のノルアドレナリンを増やし、「実行機能」の改善を通じてADHD症状を軽減
  • 効果が出るまで2~8週間かかるため、忍耐強く使用する必要がある
  • 生活の工夫と併用することで、より良い治療効果が期待できる

アトモキセチンは即効性はないものの、安全に長期的な治療が可能な薬です。ADHDの特性を理解し、適切な治療と生活の工夫を組み合わせることが大切です。