はじめに
統合失調症は約100人に1人が発症するとされる、決して珍しくない病気です。
治療には、薬物療法と心理社会的治療(心理教育など)の2つが重要であり、特に後者では、自分の病気や症状について学び、自己管理できるようになることが大切とされています。
本記事では、統合失調症の症状、原因、治療法、そして社会復帰へのステップについて詳しく解説します。
統合失調症とは?
統合失調症の意味
「統合失調症」という名前は、「統合=まとめる」「失調=バランスを崩す」という意味を持ちます。つまり、考えや感情をまとめる力が弱くなり、バランスを崩す病気です。
統合失調症の特徴
- 脳の機能異常が原因とされる精神疾患
- 主に幻聴・妄想・思考のまとまりにくさが目立つ
- 15~35歳の発症が多い(慢性疾患として長期的なケアが必要)
- 遺伝の影響はあるが絶対ではない(親が統合失調症でも、子どもが発症する確率は5~10%程度)
統合失調症の主な症状
統合失調症の症状は、大きく以下の3つのカテゴリーに分けられます。
陽性症状(本来ないものが現れる症状)
- 幻聴:「誰かに悪口を言われている」「命令される」など、本来聞こえないはずの声が聞こえる
- 妄想:「監視されている」「自分は特別な存在」など、周囲と共有できない強い思い込み
- 興奮・過敏:突然怒りやすくなる、大声を出す、暴力的になる
陰性症状(本来あるべきものが失われる症状)
陽性症状が落ち着いた後も続きやすく、生活への影響が大きいです。
- 意欲低下(アパシー):やる気が出ず、日常生活が困難になる
- 感情平板化:表情や声の抑揚が少なくなる、感情が動かなくなる
- 社会的引きこもり:人付き合いを避け、孤立しやすくなる
認知機能障害(脳の思考力の低下)
社会復帰を難しくする要因の一つで、リハビリによる対応が必要です。
- 記憶力の低下:新しいことを覚えにくく、忘れやすい
- 注意力の低下:集中力が続かず、考えがまとまりにくい
- 実行機能の低下:段取りや優先順位の判断が難しくなる
統合失調症の原因とメカニズム
統合失調症の発症原因は完全には解明されていませんが、以下の仮説が有力とされています。
ドーパミン仮説
- 脳内のドーパミンが過剰に働くと、陽性症状(幻聴・妄想)が出る
- 抗精神病薬はドーパミンの過剰な働きを抑えることで効果を発揮する
神経発達障害仮説
- 発達段階で脳の神経回路に異常が生じ、認知機能の障害が起こる
- これが統合失調症の認知機能障害を説明するモデルとされる
脆弱性ストレスモデル
- もともとストレスに弱い体質の人が、強いストレスを受けることで発症する
- 再発予防のためには、ストレス管理が重要になる
統合失調症の病期(進行の段階)
| 段階 | 特徴 | 主な治療 |
| ①前駆期 | 不安・過敏・不眠が続く | ストレス対策・休養・薬物療法の検討 |
| ②急性期 | 幻聴・妄想・興奮が強い | 薬物療法(抗精神病薬)・休養 |
| ③休養期 | 陽性症状が落ち着くが、意欲低下が目立つ | リハビリ開始・生活サポート |
| ④回復期 | 社会復帰を目指す段階 | リハビリ・就労支援・心理教育 |
統合失調症の治療法
薬物療法(抗精神病薬)
主な薬の種類
- 定型抗精神病薬(ドーパミンを抑える):クロルプロマジン、ハロペリドール など
- SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬):リスペリドン、ペロスピロン など
- MARTA(多受容体作用抗精神病薬):オランザピン、クエチアピン など
- ドーパミン部分作動薬(一部を調整):アリピプラゾール など
注意点
- 効果には個人差があり、副作用のバランスを考えながら調整が必要
- 中断すると再発リスクが高まるため、医師と相談しながら継続することが重要
心理社会的治療(リハビリ・支援)
- 心理教育:病気について学び、自己管理能力を高める
- 生活支援:訪問看護やヘルパーの活用で生活をサポート
- 就労支援:デイケアや就労移行支援を活用し、社会復帰を目指す
症状への対処法
幻聴への対処
- 幻聴かどうかを客観的に見極め、巻き込まれないようにする
- 幻聴だと分かったら、距離をとって受け流す
妄想への対処
- 一歩引いて客観的に考える(「別の見方はないか?」を意識する)
再発予防
- 薬の継続と自分の「再発のサイン」を把握する
- ストレスが増えたら早めに休養をとる
まとめ
- 統合失調症は約100人に1人が発症する慢性疾患で、治療と自己管理が重要。
- 症状は陽性症状・陰性症状・認知機能障害の3つに分類される。
- 治療の2本柱は「薬物療法」と「心理社会的治療」で、継続的なケアが必要。
- 再発予防には、ストレス管理・自己管理能力の向上・適切なリハビリが重要。
統合失調症は、適切な治療を継続することで社会復帰や安定した生活を目指せる病気です。焦らず、着実に治療と向き合っていきましょう。