境界知能の診断と彼らのリスクとは?!

境界知能とは

境界知能とは、IQが70から84の範囲にある人々を指し、一定の支援が必要とされます。

この知能は軽度の知的障害健常者の間に位置し、境界領域知能とも呼ばれます。

この状態を認識している人は少ないかもしれませんが、実際には人口の約14%、すなわち7人に1人
該当します。例えば、35名の学級には約5名の境界知能の生徒がいる計算です。

境界知能知的障害ほどIQが低くないため、幼少期にはその存在に気づかれにくいことがあります。

境界知能の人々は、一般的に学習効果を得るのが難しいとされています。
物事を理解するのに時間や手間がかかり、学習の進み具合が遅いことや、暗記が苦手
学習の容量が良くないなどの特徴があります。

境界知能の診断と彼らのリスクとは!

このため、周囲からは真剣に取り組んでいない、やる気がない、怠けていると誤解されることが
少なくありません。

発達障害との関連

境界知能の人々は、発達障害の中でも多く見られます。

例えば、不登校や就労困難、引きこもり、家庭に問題がある子供(虐待を受けた子供など)など
多様な背景を持つ人々に境界知能が見られることがあります。

また、精神疾患を併せ持つ人も多く、境界知能の人々は多様な問題を抱えていることが多いです。

IQを指標とした診断

境界知能はIQによる定義であり、IQ85から115が平均的なIQとされ
その下のIQ70から84が境界知能に該当します。

日本の人口の約14%、つまり約1700万人境界知能に該当するとされています。

IQを指標とした知的障害はIQ50から70中程度が軽度の知的障害、35から50が中度の知的障害
35以下が重度ということ、さらに20以下を最重度とする分類もあります。

これらは知的障害ということで支援の対象となります

境界知能は精神医学の診断名ではないため、福祉手帳を取得して支援を受ける対象にはなりません。

また、知的障害とは異なり、特別な支援配慮がない場合も多く、ストレスへの耐性
弱いとされています。

進学や就労の際には、軽度の知的障害の人と同様の配慮を求められることが考えられます。

3つの領域とは

知的障害はIQだけでなく、日常生活の適応能力を3つの領域で判断します。

概念的領域(IQで判断)

記憶/言語/読字/書字/数学的思考/実用的な知識の習得/問題解決/新規場面における判断においての能力

社会的領域(非認知能力)

他社の思考・感情・体験を認識する/共感/対人的コミュニケーションの技能
友情関係を築く力/社会的な判断

自閉スペクトラム症の人はこの領域が疾患概念としても、診断基準にも重なる
部分というところになります

実用的領域(実際の生活での支援の必要性)

セルフケア/仕事の責任/金銭管理/娯楽/行動の自己管理
学校と仕事の課題の調節といった実生活での学習および自己管理

ADHDの人やこだわりが強い方は、セルフケアができなかったりお金をあるだけ
使ってしまうことがあります。

このように知的障害の診断はIQだけでは概念的領域社会的領域それから実用的な領域も踏まえて判断することが求められています。

境界知能の人々が青年期以降に直面する問題

境界知能の人々は以下の問題を抱えやすいです

  • 自己肯定感が育まれていない
  • ストレスに対する耐性が弱い
  • 進路や就労についての公的な支援が受けられない
境界知能の診断と彼らのリスクとは!

軽度の知的障害発達障害があれば支援の対象になりますが、境界知能だけでは支援が受けにくいです。教育の分野でも評価されず、特別な支援が必要とされる場合でも、IQによっては支援が認められないことがあります。

学校教育の中で、社会的領域実用的領域の困難さが明らかになることがありますが、周囲になかなか気づいてもらえず、進学後も社会的な領域実用的な領域でつまずいてしまうことがあります。

卒業後も就職が難しく、アルバイトでも面接で断られることが多く
次のステップに進むことが困難です。

これが原因で抑うつ不安障害などの精神疾患が発生し、後に発達障害があり
境界知能であることが判明するケースもあります。

まとめ

境界知能の人々は、配慮や支援を受けないまま、社会的に孤立したり
経済的に困窮したりするリスクがあります。

専門学校などに進学しても、人々のネットワークから外れてしまうことがあり
就職が難しくなることもあります。

さらに、一部の人々は違法行為に及んだり、抑うつ不安障害などの精神疾患に陥るリスクがあり
早期発見支援が重要です。

繰り返しになりますが、境界知能は行政や福祉の支援対象ではなく
現在社会全体での理解も進んでいません。

境界知能の人々は、学校を卒業する際に一定の配慮が必要ですが、学習障害注意欠如多動症
自閉スペクトラム症といった特性から、得意分野を活かすことが難しく、苦手な部分の底上げが
必要となります。

行政や福祉の支援を提供する側は、一般人口の14%に該当する境界知能の人々への支援を考えると
対象人口が多すぎて支援が行き届かないという課題があります。

まずは、境界知能への理解を広め配慮を考えていくことが求められます。