現代社会では、不眠症に悩む人が増えており、約5人に1人が不眠症に陥るともいわれています。薬による治療は即効性がある一方で、依存のリスクがあるため、薬以外のアプローチも重要です。その一つが認知行動療法(CBT-I)であり、不眠の根本的な原因に働きかける方法として注目されています。
本記事では、不眠症の認知行動療法について、具体的な方法を詳しく解説します。

認知行動療法では、不眠症の原因を以下の3つの要素に分類します。
以上の3点と疾患教育の観点を踏まえつつ、具体的に述べます。
多くの人は「8時間寝ないと健康に悪い」「眠れなかったら翌日大変なことになる」といった思考にとらわれ、プレッシャーを感じてしまいます。こうした「べき思考」や「完全主義」は逆にストレスを生み、不眠を助長します。
「多少眠れなくても日中なんとかなる」「8時間にこだわらず、短くても質の良い睡眠をとればよい」
このように、睡眠に対する思い込みを緩めることで、精神的な負担を減らし、自然に眠りやすくなります。
夜になると、一日を振り返ったり、明日の予定を考えたりしてしまいがちです。しかし、夜の思考は交感神経を刺激し、眠りを妨げます。
寝る前に日記をつけ、「考え事を朝に回す」と決める。 リラックスできる簡単なルーチンを作る(読書、軽いストレッチなど)。そうした対策で入眠しやすくなります。
まず、自分の睡眠パターンを把握することが重要です。何時に寝て何時に起きたか、昼寝の有無、カフェイン摂取のタイミングなどを記録しましょう。
そうすることで、自分の睡眠リズムを客観的に分析できるようになります。案外、今まで思っていたのと異なる結果が見受けられます。そして、睡眠に悪影響を与える行動を特定しやすくなります。
「ベッドに入る時間が長すぎると、かえって眠れなくなる」ということがあります。そのため、睡眠効率(睡眠時間÷ベッドにいる時間×100%)を意識しましょう。
85%以上が理想的な睡眠効率、80~84%が良好な状態です。80%未満の場合は、覚醒してベッドにいる時間が長すぎる可能性があるので、就寝時間を少し遅くしましょう。ベッドにいる=眠る体勢という認識を体で覚えましょう。
交感神経が優位になったままだと眠りにくくなります。副交感神経を活性化するリラックス法を取り入れましょう。おすすめのリラックス法には、以下のようなものがあります。
• ストレッチ:筋肉をほぐし、体の緊張を緩める。
• 漸進的筋弛緩法:体の各部分に意識的に力を入れ、ゆっくりと解放する。
• ボディスキャン:マインドフルネスの一つで、体の各部位に意識を向けながらリラックスする。
昼間にしっかり体を動かし、夜はリラックスできるようにしましょう。日中は明るい光を浴びることもリズムを整えるうえでは重要です。入浴のタイミングは、寝る2~3時間前にお風呂に入ると、体温が下がるタイミングで自然な眠気が訪れます。
睡眠に関する正しい知識を持つことも、不眠症対策の一つです。
初めの数か月はストレスなどによる急性不眠と呼ばれます。これが慢性化すると考え方の癖などが固まってくるので、なるべく急性不眠の間に回復を図りたいところです。
体温が下がったときに眠気が出ます。風呂を出た直後は眠れませんが、2時間から3時間前にはいると寝やすくなります。
日中に光を目で見ることで、リズムが維持されます。ずっと部屋にいると寝にくくなります。
昼はしっかり動いて夜は家でリラックスするというリズムの維持が基本です。
短期的に見て良いけれど長期的によくないことは避け、短期的に見てはきついが長期的によいことをしていきましょう。例えば、昼寝をするのは短期的に見て良いですが、長期的によくないです。一方、昼寝を我慢することは短期的にはきついですが、長期的には生活リズムを維持するのに有用です。
薬は急性不眠に対して非常に役立ちます。しかし、少しでも眠れないと薬を増やすようなことを繰り返すと段々依存してしまいます。薬以外の方法も取り入れましょう。
寝室の環境を整えるのも大切ですし、眠る前にカフェインやアルコールを摂取しないことも大切です。

不眠症は、「考え」「行動」「体の状態」が複雑に絡み合うことで発生します。そのため、認知行動療法では以下の点に重点を置きます。
• 考えの改善:睡眠に対するプレッシャーを軽減する。考え事を夜に持ち込まない。
• 行動の改善:睡眠日誌をつけ、睡眠習慣を把握する。睡眠スケジュールを調整し、効率的な睡眠を目指す。
• 体の状態を整える:リラックス法を取り入れ、副交感神経を活性化する。生活リズムを整え、眠りやすい環境を作る。
不眠に悩んでいる方は、ぜひこれらの方法を試してみてください。
薬に頼るだけでなく、日々の習慣を見直すことで、より良い睡眠を手に入れましょう。