パーソナリティ障害

はじめに

パーソナリティ障害とは、長期間にわたって「考え方」や「感情」「対人関係」「衝動のコントロール」などに偏りがあり、それによって社会生活に困難をきたす障害のことを指します。

近年、「発達障害」が注目されることが多くなりましたが、それ以前から「生きづらさの原因」として知られていたのがパーソナリティ障害です。特に「見捨てられ不安」などの特徴があり、周囲の人を巻き込むような行動が目立つ「境界性パーソナリティ障害」は比較的よく知られています。

しかし、実際にはパーソナリティ障害にはさまざまな種類があり、合計10種類に分類されます。本記事では、パーソナリティ障害の特徴や治療方法、それぞれの種類について詳しく解説していきます。

1. パーソナリティ障害とは?

(1) パーソナリティ障害の定義

パーソナリティ障害とは、極端な「認知」「感情」「対人関係」「衝動のコントロール」の偏りが長期間続き、それによって社会生活や人間関係に支障をきたす障害のことを指します。

診断の基準としては、以下の要件が含まれます。

  • 認知(考え方)、感情、対人関係、衝動のうち2つ以上の顕著な偏りがある
  • その偏りが広範囲に影響を及ぼし、日常生活においてコントロールすることが困難である
  • 本人または周囲が大きな苦痛を感じている
  • この状態が長期間続いている

このように、単なる性格の特徴ではなく、日常生活において強い影響を及ぼすものである点が特徴です。

2. パーソナリティ障害の分類

パーソナリティ障害は、「A群」「B群」「C群」 の3つのグループに分けられます。それぞれの特徴を簡単に説明します。

(1) A群:風変わりなタイプ

A群のパーソナリティ障害は「他者との関係が難しい」「独特な思考を持つ」タイプのものです。

  • 妄想性パーソナリティ障害:他者を過剰に疑い、信用しない
  • シゾイドパーソナリティ障害:他者との関係に無関心で、孤立する傾向が強い
  • 統合失調型パーソナリティ障害:奇妙な思考や行動が見られ、統合失調症に近い特徴を持つ

(2) B群:感情が激しいタイプ

B群のパーソナリティ障害は「感情の起伏が激しく、対人関係が不安定になりやすい」タイプです。

  • 反社会性パーソナリティ障害:ルールを守らず、他人を傷つける行動をとる
  • 境界性パーソナリティ障害:感情が不安定で、見捨てられることを強く恐れる
  • 演技性パーソナリティ障害:感情表現が大げさで、周囲の注目を強く求める
  • 自己愛性パーソナリティ障害:自己中心的で、他者を見下す傾向がある

(3) C群:不安が強いタイプ

C群のパーソナリティ障害は「不安が強く、対人関係を避けたり依存しやすい」タイプです。

  • 回避性パーソナリティ障害:対人関係を恐れ、極端に回避する
  • 依存性パーソナリティ障害:自分で決断できず、他人に過剰に依存する
  • 強迫性パーソナリティ障害:完璧主義が極端になり、柔軟性がない

3. パーソナリティ障害の原因

パーソナリティ障害の原因は、一つではありません。一般的に、「生まれ持った素因」と「環境要因」 の両方が影響すると考えられています。

(1) 素因(生まれつきの要素)

  • 神経の敏感さ(繊細な気質)
  • 遺伝的な要因(家族歴が影響する可能性)

(2) 環境要因(経験)

  • 幼少期の養育環境(過保護・ネグレクト・虐待など)
  • 対人関係のストレス(いじめ・孤立・過度な期待など)

4. パーソナリティ障害と発達障害の違い

最近は「発達障害」との違いについての質問も増えています。

  • 発達障害 → 生まれつきの脳の発達の違いが原因
  • パーソナリティ障害 → 生まれつきの要素に加え、環境の影響が大きい

しかし、発達障害とパーソナリティ障害が重なるケース もあります。例えば、ADHDの人が感情のコントロールに苦しみ「境界性パーソナリティ障害」を合併することもあります。

5. パーソナリティ障害の治療

パーソナリティ障害には、「特効薬」は存在しません。しかし、治療を通じて「生きづらさ」を軽減することは可能です。

(1) 精神療法(カウンセリング)

  • 自分の偏りを理解し、受け入れる
  • 感情コントロールの技術を学ぶ
  • 実際の場面で練習し、適応力を高める

(2) 補助的な薬物療法

  • 不安定な気分を抑えるための抗うつ薬や抗不安薬
  • 強い衝動性に対する気分安定薬
  • 背景にADHDがある場合、ADHD治療薬を検討

6. 家族や周囲の対応

パーソナリティ障害の対応では、本人の「変わる意志」があるかどうか が重要なポイントです。

  • 本人に治療の意志がある場合 → 見守りながらサポートをする
  • 本人に治療の意志がない場合 → 無理に変えようとせず、距離をとることも必要

まとめ

パーソナリティ障害は、極端な考え方や感情の偏りが長期間続くことで、本人や周囲の人々が苦しむ障害です。しかし、適切な治療を行うことで、徐々に「生きづらさ」を軽減することは可能です。

大切なのは、本人が「変わろう」とする意志を持つこと。そのうえで、カウンセリングや環境調整を行いながら、少しずつ自己理解を深め、適応力を高めていくことが重要です。