はじめに
発達障害の診断や自己理解のために心理検査を受けることを検討している方の中には、「知能指数(IQ)が出るのが不安」と感じる方も多いかもしれません。心理検査は客観的なデータを得るための有用な手段ですが、一方で数値が一人歩きしてしまうこともあります。
本記事では、発達障害の診断に関連する「WAIS検査」に焦点を当て、その特徴や知能指数(IQ)の意味、そして数値化されることのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
知能指数(IQ)は、あくまで検査結果の一つであり、それがすべてではありません。適切に理解し、活用することで、より良い自己理解や適切なサポートにつなげることができます。

発達障害は生まれつきの脳の特性によるもので、以下の2つのタイプが代表的です。
発達障害は幼少期に診断されることが多いですが、大人になってから仕事や人間関係での困難が続き、心理検査を受けることで初めて診断されるケースもあります。
発達障害の診断には、問診(医師との対話)が基本となりますが、客観的なデータを得るために心理検査を実施することがあります。その代表的なものが「WAIS検査」です。
WAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale)は、成人向けの知能検査で、約2時間かけてさまざまな問題を解きます。この検査では、「得意・不得意のばらつき」や「認知の特徴」を数値化し、診断や支援の手がかりとすることができます。
この検査では、以下のような数値が出ます。
これらの数値をもとに、「得意なこと・苦手なことの傾向」や「発達障害の可能性」を分析します。
IQや群指数を数値化することには、以下のような利点があります。
① 非常にわかりやすい
知能指数は数値として示されるため、直感的に理解しやすいです。どの分野が得意で、どの分野が苦手なのかが明確になります。
② 対策を立てやすい
得意・不得意のばらつきが分かるため、どのような工夫や支援が必要なのかが分かりやすくなります。例えば、ワーキングメモリーが低い場合、「メモを取る習慣をつける」といった具体的な対策が考えられます。
③ 伝達しやすい
診断結果を他者(医師、カウンセラー、職場など)と共有しやすくなります。特に職場や学校で合理的配慮を求める際に、客観的なデータとして活用できます。
一方で、知能指数を数値化することには以下のようなデメリットもあります。
① 数字が目立ちすぎる
知能指数(IQ)は「その人の能力のすべて」を示すものではありません。しかし、数値が一人歩きしてしまい、「この数値だからこうだ」と決めつけられることがあります。
② レッテルを貼られる可能性
「IQが低いからダメ」「IQが高いから問題ない」といった誤った認識につながることがあります。また、本人が過剰に気にしてしまい、「この数値だから自分はこういう人間だ」と思い込んでしまうケースもあります。
③ 知能指数は変動する
知能指数は固定されたものではなく、環境や努力によって変化することがあります。特に、ストレスや体調によって一時的に低く出ることもあるため、結果を過剰に気にしすぎないことが重要です。
知能指数は参考になる指標の一つですが、それだけでその人の価値や可能性が決まるわけではありません。数値に囚われすぎず、あくまで「自己理解の一助」として活用することが大切です。
心理検査を受けるかどうかは、以下のポイントを考慮して判断すると良いでしょう。
一方で、以下のような場合は慎重に検討したほうが良いでしょう。

WAIS検査を受けるかどうかは、メリット・デメリットをよく理解した上で慎重に判断しましょう。そして、結果を過度に気にするのではなく、今後の生活やサポートにつなげるための材料として活用することが大切です。