演技性パーソナリティ障害

演技性パーソナリティ障害について

1. 演技性パーソナリティ障害とは

演技性パーソナリティ障害(HPD)は、人の注意を引くために大げさに振る舞うことが特徴のパーソナリティ障害です。現代のSNS社会においては、その特性が成功の原動力となる場合もありますが、過剰になると本人や周囲に悪影響を及ぼすこともあります。

この障害の背景には、他者からの注目や承認を強く求める心理があり、そのために過度な言動をとる傾向があります。結果として「本来の自分」と「人前での自分」の間に乖離が生じることが少なくありません。

2. 演技性パーソナリティ障害の症状

DSM-5の診断基準では、以下の8つの症状のうち5つ以上を満たすと診断されます。

  1. 自分が注目の的でないと楽しめない。
  2. 他者との交流が誘惑的・挑発的になる。
  3. 感情が浅く、素早く変化する。
  4. 自分の関心を引くために身体的外見を利用する。
  5. 過度に印象的だが、内容のない話し方をする。
  6. 芝居がかった言動や誇張した表現をする。
  7. 他者や環境の影響を受けやすい。
  8. 対人関係を実際以上に親密だと考える。

3. 診断の流れ

演技性パーソナリティ障害の診断は、以下の2段階で行われます。

  1. パーソナリティ障害の診断
    • 認知、感情、対人関係、衝動の4つのうち2つ以上に偏りがある。
    • その影響が広範囲に及び、社会生活に支障をきたしている。
  2. 演技性の特徴の診断
    • 先述の8つの症状のうち5つ以上を満たしている。

4. 発症のメカニズム

発症のメカニズム

演技性パーソナリティ障害の発症には、以下の要因が関係していると考えられます。

  • 幼少期の環境: 愛情不足や承認の欠如。
  • 学校・社会経験: 承認を得られなかった経験や、偶然強い承認を受けた成功体験。
  • 発達障害との関連: 特にADHDとの関連が指摘される。

5. 鑑別疾患・併存症

演技性パーソナリティ障害は他の疾患と併存することが多く、以下の疾患との鑑別が重要です。

  • ADHD: 衝動性や感情の起伏が共通。
  • 双極性障害: 気分の変動が特徴。
  • 自己愛性・境界性パーソナリティ障害: 演技性と共通する部分がある。
  • うつ病: 承認が得られないことによる反動。
  • 社会不安障害: 承認を失うことへの強い不安。
  • 依存症: SNSなど承認欲求に関連する依存。

6. 現代社会との関係

現代社会との関係

SNSの普及により、承認欲求が可視化されやすくなっています。フォロワー数や影響力が社会的評価につながる時代において、演技性パーソナリティ障害の特性が成功の武器になることもあります。しかし、過剰になると自己崩壊や対人トラブルを引き起こすリスクが高まります。

7. 治療・対処法

演技性パーソナリティ障害の治療は、「特性を完全になくす」ことではなく、「コントロール可能な範囲に整える」ことが目標です。主なアプローチとして、以下の3つがあります。

  1. 自己理解と観察
    • 承認欲求の暴走を防ぐ。
    • 自分の感情を振り返る習慣を持つ。
    • 承認以外の楽しみを見つける。
  2. 地に足の着いた生活
    • 影響を受けやすい性質を活かし、良い環境・人間関係を選ぶ。
  3. ADHDなどの併存症の治療
    • ADHDが合併している場合は、適切な治療を受けることで症状が改善する可能性がある。

まとめ

演技性パーソナリティ障害は、適切にコントロールすれば強みとして活かせることもあります。しかし、過剰になると自己や他者に悪影響を及ぼすため、適切な自己理解や環境調整が必要です。必要に応じて専門家のサポートを受けながら、バランスの取れた生活を目指しましょう。