ニューロダイバーシティ

多様な人が適応できる柔軟性のある社会へ

近年、発達障害の認知が広まり、以前は診断を受けることができなかった多くの人々が、自身の困難の背景に発達障害があることを知るようになりました。しかし、診断を受けたとしても、社会での生きづらさが変わらないという声も少なくありません。

本稿では、「心と発達の多様性・ニューロダイバーシティ」について考え、多様な人が適応できる社会の在り方について探ります。

ニューロダイバーシティとは

ニューロダイバーシティとは、日本語に訳すと「脳や神経の多様性」という意味を持ちます。この概念は、特に自閉症スペクトラム(ASD)やADHDなどの発達障害を持つ人々を想定しつつ、より幅広い人々の多様性を認めることを目的としています。

背景:重ね着症候群

発達障害が背景にあることで、治療が難航したり、ひきこもりにつながるケースが多く見られます。このような状況を予防することが、社会的な課題となっています。

不適応を防ぐための対策

不適応を防ぐための対策

① 早期発見・早期療育

未発見のまま適応が難しくなることを防ぐために、早期発見と診断、療育を進めることが重要です。これにより、未発見による不適応のリスクは減少傾向にあります。

② 依然として残る課題

  • 学校では適応できても、社会で居場所を見つけにくい
  • 診断がつかない「グレーゾーン」の人々の問題
  • 偏見やネットスラングによる差別の存在

これらの問題を解決するためのアプローチとして、ニューロダイバーシティの考え方が求められています。

ニューロダイバーシティの在り方

・ 個々に適した学び方・働き方の提供

人によって適した学び方や働き方は異なります。一つの規範に当てはめず、それぞれに適した環境を提供することが重要です。

・「当てがき」の発想

演劇の「当てがき」に例えられるように、個々の特性に合わせて環境を調整することが求められます。

社会でのニューロダイバーシティの実践

① 学校での取り組み

  • 「書いて覚える」「聞いて覚える」など、個々の学び方に配慮する
  • 多様な学習スタイルを取り入れる

② 職場での取り組み

  • 個々の強みを活かせる職場環境の提供
  • 誤解を防ぐための工夫
  • 多様な働き方の枠組みを整備

ただし、日本では単一民族国家であり、「単一目標での成功体験」が根付いているため、多様性の受け入れにはハードルが高いといえます。

多様性のメリットと課題

メリット

  • 異なる視点を取り入れられる
  • 創造性が向上する

課題

  • 異文化間の衝突が生じやすい
  • 「なんとなく」での意思疎通が難しい
  • 凝集性(まとまり)を出しにくい

アメリカでは、多民族社会であるため、多様性の課題に対する解決策が確立されています。

アメリカの解決策

  • 「主張」と「議論」を重視する文化
  • 契約やルールを明文化
  • モラルや価値観を明確化

日本におけるニューロダイバーシティの実現

日本における現実的な対策

  • 日本式の「アサーション文化」を活用(主張と配慮のバランス)
  • 国際交流をヒントに、多様性に適応する経験を積む
  • 就労移行支援の活用(支援員が間に入り、職場環境を調整)

就労移行支援では、社会ルールの教育や職場との調整を通じて、労使双方の適応を円滑にする役割が期待されます。

まとめ

  • ニューロダイバーシティは、人の特性の「多様性」を認める考え方であり、発達障害を持つ人々の適応において特に重要。
  • 一律のルールではなく、個々に適した環境を提供することが求められる。
  • 日本は多様性に慣れていないが、アメリカの成功事例を参考にしながら、「日本式の多様性」を模索していくことが重要。

今後、多様な人々が柔軟に適応できる社会を築くために、ニューロダイバーシティの考え方を広め、具体的な取り組みを進めていく必要があります。