近年、日本では「ゴミ屋敷」問題が社会的な関心を集めています。この現象の背景には、単なる整理整頓の苦手さだけではなく、心理的・精神的な要因が関与している場合があります。その一つが「溜め込み症」です。本記事では、溜め込み症の特徴や診断基準、影響、治療法について詳しく解説します。

溜め込み症とは、価値に関わらず物を捨てることが困難であり、結果として生活空間が過剰に物であふれ、日常生活に支障をきたす精神疾患です。アメリカ精神医学会の診断基準DSM-5では独立した疾患として分類されています。
疫学データによると、有病率は2〜5%とされ、男性よりも女性の方が多いとされています。また、10代で発症し、20代で影響が表れ始め、30代で生活に支障が出るようになり、40〜50代になるとより深刻な問題として顕在化することが多いです。
溜め込み症になりやすい人には、以下のような特徴があると指摘されています。
これらの特性が重なることで、不要なものを捨てることが困難となり、溜め込みが進行していきます。
DSM-5では、溜め込み症の診断基準として以下の点が挙げられています。
溜め込み症が進行すると、次のような影響が生じます。
溜め込み症と似た症状を持つ疾患には、以下のようなものがあります。
また、溜め込み症は以下の精神疾患と併存しやすいことが報告されています。
現在、溜め込み症に対する標準治療は確立されていませんが、以下の方法が有効とされています。
① 薬物療法
抗うつ薬(SSRI)が第一選択肢とされることが多いですが、効果は限定的とされています。特にうつ病や不安障害を併存している場合は、有効性が期待できます。
② 認知行動療法(CBT)
認知行動療法では、以下のような訓練を行います。

③ 環境調整
溜め込み症は、物が捨てられずに生活空間が埋め尽くされることで、本人や周囲に深刻な影響を与える疾患です。適切な診断と治療を受けることで、症状の改善が期待できます。現在のところ標準治療はありませんが、薬物療法や認知行動療法、環境調整を組み合わせることで、より良い生活環境を取り戻すことが可能です。
もし身近に溜め込み症の疑いがある方がいる場合は、専門の医療機関への相談をおすすめします。