(1)はじめに
統合失調症という病気について、「暴れることがあるのか?」という疑問を持つ方は少なくありません。結論としては、「重い急性期において、症状の影響で暴れる行動が出ることはありますが、適切な治療を受けることで予防・改善が可能」です。
本記事では、統合失調症の基本的な理解から始め、暴れる症状が出る背景、対応策、そして予防法について詳しく解説していきます。
(2)統合失調症とは?基本的な理解
1. 統合失調症とは?
統合失調症は、幻聴や妄想などが目立つ「脳の病気」です。主に脳内のドーパミンの異常が背景とされ、治療には「抗精神病薬」が用いられます。
2. 主な症状の分類
統合失調症の症状は、大きく以下の3つに分類されます。
- 陽性症状(急性期に目立つ症状)
- 幻聴:「誰かが悪口を言っている」といった声が聞こえる
- 妄想:「自分は監視されている」「誰かに狙われている」など
- 思考の混乱:まとまりのない話し方や、支離滅裂な思考
- 陰性症状(病状が落ち着いた後に目立つ症状)
- 意欲の低下:何事にもやる気が出ない
- 感情の平板化:感情表現が乏しくなる
- 社会的引きこもり:人と会うことが少なくなる
- 認知機能障害(思考や判断に影響が出る症状)
- 記憶力や集中力の低下
- 計画を立てたり、物事を順序立てて行うことが困難
(3)統合失調症の病期と暴れる症状の関連性
病気の進行段階(4つの病期)
統合失調症の経過は、以下の4段階に分けられます。
- 前駆期(発症前の段階)
- なんとなく不調が続く時期(疲れやすい、イライラ、不眠など)
- ここで適切に対処できると、急性期への進行を防げる
- 急性期(症状が強く現れる時期)
- 幻聴や妄想が強くなり、混乱や興奮が目立つ
- 場合によっては暴れる症状が出ることも
- 休養期(症状が落ち着く時期)
- 回復期(社会復帰を目指す時期)
(4)暴れる症状が出る背景
統合失調症のすべての人が暴れるわけではありません。しかし、急性期の症状が強いと、一部の人において暴れる行動が出ることがあります。その背景には、以下の要因が関係しています。
1. 幻聴による影響
- 「悪口を言われている」「攻撃される」と感じることで、自己防衛のために攻撃的な行動に出ることがある。
2. 被害妄想による影響
- 「誰かが自分を狙っている」「毒を盛られる」といった強い妄想により、極度の不安や恐怖を感じ、混乱状態に陥ることがある。
3. 強い焦燥感や過敏性
- 急性期の脳は非常に敏感になっており、ちょっとした刺激にも強く反応しやすく、これが暴れる症状につながることがある。
(5)暴れる症状への対応策
1. まずは受診につなげることが重要
- 統合失調症の治療は早い段階で始めるほど、症状の悪化を防ぐことができます。
- 家族や周囲の人が気づいた場合は、早めに精神科受診を促しましょう。
2. 危険が切迫している場合の対応
暴れる症状が出てしまった場合、安全を確保することが最優先です。以下のような対応が考えられます。
- 本人を刺激しない
- 大声を出したり、説得しようとするのは逆効果
- 落ち着くまで距離を取る
- 専門機関に相談する
- 精神科病院、保健所に相談する
- 緊急時は精神科救急の利用を検討する
- 警察を呼ぶべきか?
- 本人や周囲の安全が危険な場合、やむを得ず警察に連絡することも選択肢となる
(6)予防のためにできること
1. 早期治療の重要性
統合失調症では、発症から治療までの「未治療期間」が短いほど、病状や生活面での予後が良いとされています。
- 早めに医療機関を受診する
- 何らかの不調(被害念慮、幻聴、不眠)が出たらすぐに相談する
- 家族や周囲が異変に気づく
- 被害妄想やイライラが増えてきたら、早めに医師に相談
2. 治療を継続する
- 服薬の継続がカギ
- 統合失調症の再発リスクは、治療中断によって大きく上がる
- 「良くなったから薬をやめる」と思わず、医師と相談しながら服薬を続ける
- 生活リズムを整える
(7)まとめ
- 統合失調症では、急性期の症状が強い場合に暴れることがあるが、適切な治療でリスクを減らすことができる
- 暴れる行動の背景には、幻聴・妄想・過敏性の影響がある
- 急性期の暴れる症状が出た場合は、まずは安全確保し、早急に医療機関へ相談する
- 早期治療と治療継続が、暴れる症状の予防につながる
統合失調症は、適切な治療を受ければ安定した生活を送ることができる病気です。暴れる症状が出ることがあっても、治療を続けることでリスクは大きく減少します。早めの受診と継続的な治療を心がけましょう。