【うつ病】うつ病と不安障害の関係5つ【精神科医が10分で説明】セロトニン|抗うつ薬SSRI|精神科

はじめに

うつ病と不安障害は、それぞれ異なる精神疾患として定義されています。しかし、両者には共通する症状が多く、脳内のメカニズムや治療法にも重なる部分があります。そのため、実際の臨床現場では、どちらの疾患か判断が難しいケースも少なくありません。
本記事では、「うつ病と不安障害の関係」について5つのポイントに分けて詳しく解説していきます。

1. うつ病と不安障害の違いとは?

1. うつ病と不安障害の違いとは?

まず、それぞれの疾患の特徴を見ていきましょう。

うつ病とは

うつ病は、気分の落ち込みや興味・意欲の低下が長期間続く病気です。主な原因として、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの不足が挙げられます。症状には、以下のようなものがあります。

  • 強い抑うつ気分(悲しみ、絶望感)
  • 興味や喜びの喪失
  • 疲労感、倦怠感
  • 睡眠障害(不眠または過眠)
  • 食欲の変化(増加または減少)
  • 罪悪感、無価値感
  • 集中力の低下

うつ病にはさまざまなタイプがあり、不安症状が前面に出るケースもあります。

不安障害とは

不安障害は、強い不安が持続し、日常生活に支障をきたす病気です。不安の内容や発症の状況によって、以下のように分類されます。

  1. 社会不安障害(SAD):人前で話すことや対人関係に強い恐怖を感じる
  2. パニック障害:突然の強い不安(パニック発作)を繰り返す
  3. 全般性不安障害(GAD):特定の対象に限らず、慢性的に不安を感じる
  4. 強迫性障害(OCD):強迫観念や強迫行為を繰り返す

不安障害の診断では、「不安が長期間(6カ月以上)続いているか」「その不安を自分でコントロールできないか」といった点が考慮されます。

2. うつ病と不安障害は見分けにくいことがある

典型的な症状が出ている場合は、うつ病と不安障害を区別することは比較的容易です。しかし、以下のようなケースでは見分けが難しくなります。

見分けやすいケース

  • うつ病:落ち込みや無気力が中心で、物事が楽しめなくなる
  • 不安障害:漠然とした不安が続き、生活に影響を及ぼす

見分けにくいケース

  • うつ病なのに不安が強く出る場合:落ち込みだけでなく、強い不安や焦燥感を感じる
  • 不安障害なのにうつ症状が出る場合:不安が続くことで活動範囲が狭まり、結果的に意欲の低下や気分の落ち込みが目立つ

このように、症状が重なっている場合は診断が難しくなり、治療方針も異なる可能性があるため慎重な判断が求められます。

3. うつ病と不安障害の共通点

定義上は異なる病気ですが、両者には以下のような共通点があります。

(1) 一見違う病気でも、根本的な症状が似ている

うつ病は「気分の落ち込み」、不安障害は「不安が続く」病気ですが、実際にはどちらにも抑うつ気分や不安症状が見られることが多いです。特に、不安が強いタイプのうつ病や、抑うつを伴う不安障害は非常に似た症状を示します。

(2) 脳内のメカニズムが類似している

どちらの疾患も、セロトニンの不足が原因の一つとされています。また、ストレスへの脳の反応が関係しており、遺伝的要因や環境要因も影響を及ぼします。

(3) どちらも治療法が類似している

うつ病と不安障害の治療には、共通する点が多くあります。主な治療法は以下のとおりです。

  1. 薬物療法
    • 抗うつ薬(SSRI)がどちらにも有効
    • 効果が出るまで2〜4週間ほどかかる
  2. 休養
    • うつ病では特に重要視されるが、不安障害でも不安定な時期には休養が必要
  3. 認知行動療法(CBT)
    • うつ病にも不安障害にも有効な心理療法
    • 悲観的な思考や不安をコントロールする方法を学ぶ

4. うつ病と不安障害は合併しやすい

うつ病と不安障害は、合併しやすい疾患でもあります。ある研究では、うつ病患者の50%以上が何らかの不安障害を合併していることが示されています。

また、不安障害が長期間続くと、そのストレスが引き金となってうつ病を発症することもあります。逆に、うつ病が長引くことで、不安症状が目立つようになるケースもあります。

5. 診断と治療のポイント

5. 診断と治療のポイント

では、うつ病と不安障害の診断や治療はどのように行われるのでしょうか。

(1) 診断のポイント

  • まず、主な症状が「抑うつ」か「不安」かを判断
  • どちらか一方が主であれば、その病名で診断
  • 両方が同程度に見られる場合は、合併と判断

(2) 治療のアプローチ

  • 薬物療法:SSRIなどの抗うつ薬が第一選択
  • 認知行動療法(CBT):不安や抑うつを和らげるための訓練を行う
  • 休養と生活習慣の改善:ストレスを減らし、規則正しい生活を心がける

まとめ

うつ病と不安障害は異なる病気ではありますが、共通する部分が多く、見分けがつきにくいこともあります。どちらの疾患もセロトニンの不足が関与し、治療法にも共通点があります。
症状が混在する場合や、どちらの病気か判断がつかない場合は、医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。