うつ病と不安障害は、それぞれ異なる精神疾患として定義されています。しかし、両者には共通する症状が多く、脳内のメカニズムや治療法にも重なる部分があります。そのため、実際の臨床現場では、どちらの疾患か判断が難しいケースも少なくありません。
本記事では、「うつ病と不安障害の関係」について5つのポイントに分けて詳しく解説していきます。

まず、それぞれの疾患の特徴を見ていきましょう。
うつ病は、気分の落ち込みや興味・意欲の低下が長期間続く病気です。主な原因として、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの不足が挙げられます。症状には、以下のようなものがあります。
うつ病にはさまざまなタイプがあり、不安症状が前面に出るケースもあります。
不安障害は、強い不安が持続し、日常生活に支障をきたす病気です。不安の内容や発症の状況によって、以下のように分類されます。
不安障害の診断では、「不安が長期間(6カ月以上)続いているか」「その不安を自分でコントロールできないか」といった点が考慮されます。
典型的な症状が出ている場合は、うつ病と不安障害を区別することは比較的容易です。しかし、以下のようなケースでは見分けが難しくなります。
見分けやすいケース
見分けにくいケース
このように、症状が重なっている場合は診断が難しくなり、治療方針も異なる可能性があるため慎重な判断が求められます。
定義上は異なる病気ですが、両者には以下のような共通点があります。
(1) 一見違う病気でも、根本的な症状が似ている
うつ病は「気分の落ち込み」、不安障害は「不安が続く」病気ですが、実際にはどちらにも抑うつ気分や不安症状が見られることが多いです。特に、不安が強いタイプのうつ病や、抑うつを伴う不安障害は非常に似た症状を示します。
(2) 脳内のメカニズムが類似している
どちらの疾患も、セロトニンの不足が原因の一つとされています。また、ストレスへの脳の反応が関係しており、遺伝的要因や環境要因も影響を及ぼします。
(3) どちらも治療法が類似している
うつ病と不安障害の治療には、共通する点が多くあります。主な治療法は以下のとおりです。
うつ病と不安障害は、合併しやすい疾患でもあります。ある研究では、うつ病患者の50%以上が何らかの不安障害を合併していることが示されています。
また、不安障害が長期間続くと、そのストレスが引き金となってうつ病を発症することもあります。逆に、うつ病が長引くことで、不安症状が目立つようになるケースもあります。

では、うつ病と不安障害の診断や治療はどのように行われるのでしょうか。
(1) 診断のポイント
(2) 治療のアプローチ
うつ病と不安障害は異なる病気ではありますが、共通する部分が多く、見分けがつきにくいこともあります。どちらの疾患もセロトニンの不足が関与し、治療法にも共通点があります。
症状が混在する場合や、どちらの病気か判断がつかない場合は、医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。