心療内科や精神科で使用される薬の一つに「バルプロ酸(デパケン)」があります。本記事では、双極性障害(躁うつ病)において頻繁に使用される気分安定薬であるバルプロ酸について詳しく解説します。
バルプロ酸(デパケン)は、躁うつ病(双極性障害)における代表的な気分安定薬の一つです。躁状態やイライラに対して速やかな効果が期待できる薬ですが、うつ症状への効果は比較的弱いとされています。また、血中濃度の管理が重要であり、適切な濃度を維持するために定期的な測定が必要です。
バルプロ酸は、以下の疾患に適応される薬です。
また、バルプロ酸にはいくつかの剤型があり、一般的な「デパケン」と、徐放性(ゆっくり効くタイプ)の「デパケンR」があります。臨床では、持続的に効果を発揮する徐放剤(デパケンR)がより多く使用されます。

双極性障害は、うつ状態と躁状態を周期的に繰り返す脳の疾患です。うつ病とは異なるメカニズムが関与しており、治療には気分安定薬が用いられます。
気分安定薬の役割は、気分の波をなだらかにし、以下の効果をもたらすことです。
バルプロ酸は、特に躁状態の改善において迅速かつ十分な効果が期待できます。特にイライラを伴う躁状態に対して有効とされています。一方で、うつ症状の改善には限定的な効果しか期待できません。
バルプロ酸は、臨床的に使いやすい薬の一つですが、いくつかの長所と短所があります。
バルプロ酸の使用を考慮する具体的なケースとして、以下が挙げられます。
バルプロ酸の適正な血中濃度は 50~100 μg/mL とされています。
特に100 μg/mLを超えると、肝障害 や 意識障害(高アンモニア血症) のリスクが高まるため注意が必要です。定期的な血液検査による濃度管理が推奨されます。
バルプロ酸は、別の気分安定薬である ラモトリギン との併用が考えられることがあります。
ただし、両者を併用すると バルプロ酸がラモトリギンの血中濃度を上昇させ、副作用が強く出る 可能性があるため、慎重に使用する必要があります。併用の際は主治医とよく相談することが重要です。
妊娠中のバルプロ酸の使用には注意が必要です。
妊娠を希望する場合や妊娠の可能性がある場合は、主治医と相談の上で、他の薬剤への切り替えを検討することが望ましいです。

また、躁が強い場合は抗精神病薬を併用 することが検討され、うつが続く場合は抗うつ作用のある薬を併用 することが考えられます。
バルプロ酸(デパケン)は、特に 躁状態やイライラが強い場合に有効な気分安定薬 です。臨床的に使いやすい薬ですが、定期的な血液検査が必要であり、副作用や妊娠時のリスクにも注意が必要 です。服用を続ける際は、必ず主治医と相談しながら適切に管理することが大切です。