パニック症(パニック障害)とは?
近年、パニック症(パニック障害)についての理解が深まり、有名人が自身の経験を公表することも増えてきました。心療内科や精神科の病気の一つとして知られ、急な「パニック発作」を繰り返し、さらに「また発作が起こるのではないか」という「予期不安」に苦しむのが特徴です。本記事では、パニック症の症状から治療法まで、包括的に解説します。
パニック症の症状
パニック症の主な症状は以下の3つです。
- 繰り返すパニック発作
- 予期不安
- 回避行動
パニック発作
パニック発作は、突然発生し、体や心に強い症状が表れます。これは「自律神経発作」とも呼ばれ、交感神経の急激な興奮によって引き起こされます。発作が起こる典型的な場所として、電車や劇場、歯科治療、MRI検査中などの「逃げられない状況」が挙げられます。また、夜間や寝る前に発作が生じることもあります。
予期不安
「また発作が起こるのではないか」という不安が持続し、日常生活に支障をきたします。強い緊張状態が続くことで、むしろ発作が起こりやすくなるという悪循環が生じます。
回避行動
発作が起こりそうな場所や状況を避けるようになります。初めは不安を回避するための行動ですが、次第に活動範囲が狭まり、生活の質が低下する要因となります。
パニック症の診断基準(DSM-5)
パニック症の診断には、DSM-5の基準が用いられます。
A. パニック発作
繰り返される「予期しない」発作であり、数分以内にピークに達します。以下の13の症状のうち4つ以上が認められることが診断の要件です。
- 動悸、心拍数の増加
- 発汗
- 身震い、震え
- 息切れ、息苦しさ
- 窒息感
- 胸痛、不快感
- 吐き気、腹部の不快感
- めまい、ふらつき
- 寒気、熱感
- 感覚麻痺、うずき感
- 現実感喪失(離人感)
- 抑制を失う恐怖
- 死への恐怖
B. 予期不安・回避行動
いずれか、または両方が1か月以上続く。
C. D. 他の疾患や薬物の影響ではないこと
パニック症の原因
パニック症の原因は完全には解明されていませんが、以下の3つが示唆されています。
- 脳の異常 – 不安を司る「扁桃核」の過活動が関与している可能性。
- 誘発物質 – カフェインなどが発作を引き起こすことがある。
- ストレス・体調不良 – 初回発作がストレスや体調不良時に発生しやすく、その後の発作の引き金になることが多い。
鑑別疾患と併存症
鑑別疾患
- 適応障害 – ストレスが原因で発作が出る場合は適応障害の可能性。
- 他の不安症 – 社会不安障害や全般性不安障害との区別が必要。
- 身体疾患 – 甲状腺機能異常やカフェイン過剰摂取も考慮。
併存症
- うつ病 – メカニズムが共通し、併発しやすい。
- 他の不安症 – 社会不安障害や全般性不安障害との合併が多い。
- アルコール依存症 – 不安を自己治療しようとすることで依存が進行する可能性。
治療法
パニック症の治療は、薬物療法と精神療法の二本柱です。
1. 薬物療法
- 抗うつ薬(SSRI) – パニック発作と予期不安の両方に効果があり、治療の第一選択。
- 抗不安薬 – 即効性があるが、依存リスクがあるため、補助的に使用。
- 漢方薬 – 副作用が少ないが、効果はマイルド。
2. 精神療法(系統的脱感作法)
不安を感じる場面に徐々に慣らしていく方法です。
- 軽度の場面から始める – いきなり強い不安を感じる状況に挑戦しない。
- 体調が良いときに実施する – 体調不良時は避ける。
- 本人の意志で行う – 第三者の強要は逆効果。
治療の3段階
- 前期(薬主体) – 発作や予期不安の抑制を優先。
- 中期(脱感作) – 不安の軽減と活動範囲の拡大。
- 後期(減薬) – 薬を慎重に減らしながら、脱感作を継続。
再発予防
- 日常のストレス管理 – 忙しすぎず、適度に休息を取る。
- 体調管理 – 健康的な生活習慣を維持。
- 1回の発作は過度に気にしない – すぐに再発とは限らない。
- 再発した場合は早めに対策 – 以前の治療経験を活かす。
まとめ
パニック症はパニック発作を繰り返し、予期不安や回避行動を伴う精神疾患です。治療の基本はSSRIの継続使用と系統的脱感作法の併用です。治療は段階的に進められ、前期では薬物療法が中心、中期では脱感作を取り入れ、後期では慎重に減薬していきます。再発防止のために日常のストレス管理や体調管理が重要であり、早期対策が鍵となります。