軽度知的障害とは何か
【軽度知的障害について】
・軽度知的障害は、18歳頃までの発達期に生じた知的機能の障害により、
知能指数(IQ)が約50~70の範囲に留まる状態です。
・言葉や抽象的な内容の理解に遅れが見られることがありますが、
身の回りのことはほとんど一人で行えます。
・学業面では遅れが生じますが、生活経験を重ねることで問題解決能力を身に付けることも可能です。
・幼児期には気づかれにくいことがあります。
・学齢期以降に「不登校」や「ひきこもり」、「うつ病」や「不安障害」などの二次障害に陥り、
相談機関や医療機関を訪れることで、軽度知的障害が診断されることがあります。
・ASD(自閉スペクトラム症)などの併存症を伴うことがあり、
そちらの症状が目立つ場合もあります。
軽度知的障害の特徴
・知的機能と適応能力にやや遅れがあるものの、
食事や洗面、着衣、排泄などの日常生活は自分で行えます。
・書字、読字、算数、時間の認識や、会話、
コミュニケーションといった社会的な面で困難を抱えることがあります。
・経験を重ねることで、学びや知識を広げることができます。
① 言語の発達が遅く、大人になっても小学生レベルの学力に留まることが多いです。
② 漢字の習得が難しい場合があります。
③ 日常生活スキルには問題がありません。
④ 集団参加や友だちとの交流は可能ですが、
コミュニケーションがパターン化していることが多く、年齢に対して未熟です。
⑤ 記憶や計画、感情のコントロールが苦手です。
⑥ 知能指数(IQ)が50~70程度です。
・軽度知的障害のある子どもは、学習の苦手さや言葉の遅れがあります。
・言葉を話せても、説明や抽象的な意味の理解が難しいです。
・文字の読み書きや計算など、学習面で全般的な遅れがある場合があります。
・物事を記憶するのが苦手です。
・軽度知的障害があっても、年齢を重ねると身の回りのことは問題なくできるようになります。
・概念的に学ぶよりも、直接的・経験的に学ぶことが多いため、
学齢期以降に障害が気づかれることが多くなります。
・症状の表れ方には個人差があるため、すべての特徴が当てはまるわけではありません。
複雑な言語獲得や理解、学習の達成が困難
・軽度知的障害者は、言葉の遅れや学業成績の低さが見られます。
・複雑な言語獲得や理解、学習が困難な場合があります。
・抽象的な概念の説明が苦手なことが多いです。
・子どもの成長を比較するのは好ましくありません。
・言葉の遅れなどが疑問に思われた場合には、小児科の受診が勧められることがあります。
生活に必要な能力は獲得できる

・軽度の知的障害がある人でも、成長と共に基本的な生活能力を身に付けることができます。
・就職して自立した生活を送っている人も多くいます。
・福祉サービスや専門のサポートを受けることで、より安定した生活が可能になる場合もあります。
・知的障害があっても、何もできないわけではなく、何も理解できないわけでもありません。
・周囲がその人に合った学習方法や接し方を理解することで、できることが増えていきます。
軽度知的障害の問題点
1.幼少期の発見が難しい
・軽度知的障害は、幼少期に発見が難しいことがあります。
・一般的には、小学校入学後にわかることが多いです。
・乳幼児期は言葉を遅くとも話せるようになるため、問題がないように感じられることがあります。
・意思疎通も複雑でなければ理解できることがあります。
・そのため、おかしいと思っても、それを知的障害と結びつけないことが多いです。
・成長するにつれて、他の子どもとの違いが明らかになり、
軽度の知的障害が発覚することがあります。
2.意思疎通がとれない
・単純な意思疎通は問題ないが、年齢と共に複雑な意思疎通が増え、問題になることがあります。
・スムーズな意思疎通ができないと、コミュニケーションが難しくなります。
・意思疎通の困難さが人間関係に溝を生み、孤立を深める可能性があります。
・知的障害について理解があれば、接し方によって問題をカバーできます。
・コミュニケーションを改善するためには、分かりやすく話すなど接し方を改めることが重要です。
・改善すれば、ある程度のスムーズさを得られます。
3.自尊心が低く他者に依存的な傾向がある
・自尊心が低く、他者に依存的な傾向があります。
・成長段階で周囲の同年代と比較して、
自分が劣っていると感じることがこの傾向を顕著にすることがあります。
・依存的な傾向が強いと、他者から騙されたり、犯罪に巻き込まれるリスクがあります。
・物事を理解するのが難しいため、不利益を被る可能性が高いです。
・知らないうちに犯罪に加担して逮捕されるなど、本人が理解していない場合にリスクがあります。
軽度知的障害の原因
■内的要因
・遺伝子や染色体の異常など、先天的な原因を持つ場合です。
・病気や外傷などで脳障害をきたす疾患を持ち、
併存症として知的障害が起きる場合は「病理的要因」と呼びます。
・特に疾患がなくても、内的原因によって知的障害を発症する場合は「生理的要因」と呼びます。
・知的障害の原因の約8割が内的要因です。
■環境要因
・出生時のトラブルで脳内出血が起きたり、
へその緒がねじれて脳に酸素が行かないことで脳に重大な障害が残る場合です。
・周産期医療の充実や進歩により、近年では発生しにくくなっています。
■外的要因
・出生前後に起こった事故や、養育環境による外的な要因です。
・出生前に母体を通じて感染症や薬物
・アルコールの大量摂取を行った場合や、乳幼児期に栄養不足だった場合などです。
知的障害と遺伝の関係
・知的障害の一部は、遺伝子的な原因によって起こることがあります。
→「知的障害が親から子に単純に遺伝する」ことを意味するものではありません。
・親が知的障害の原因となる素因を持っていても、必ず子どもに遺伝するとは限りません。
→反対に、親が知的障害の原因となる素因を持っていなくても、
子どもが知的障害になる可能性が全くないとは言えません。
※遺伝性疾患のほとんどは、正常な遺伝子や染色体が突然変異を起こして発症します。
「遺伝子の異変は、誰にでも起こり得るものである」という認識が重要です。
早期発見の難しさ
・ダウン症や自閉スペクトラム症(ASD)、ADHD(注意欠如・多動性障害)、てんかんなど、
他の障害と合併して表れることがあります。
・他の障害が目立ち、知的障害が見過ごされることもあります。
・言葉によるコミュニケーションや日常生活スキルがある程度あることから、
気づかれにくいこともあります。
軽度知的障害は周囲から気づかれにくい
・学齢期になって困難を感じるようになっても、目立った困難が表れないと診断を受けないまま、
軽度知的障害があることに気づかないことがあります。
・勉強についていけなかったり、対人関係に困難があっても、
本人の「頑張りが足りない」や「努力不足」と周囲から責められることで、
自尊感情が傷つけられることも少なくありません。
受け入れることの難しさ
・本人や保護者、周囲が「軽度の知的障害である」ということを
受け入れるのが難しいことがあります。
・そのような状態が続くと、ストレスが高まり、抑うつや不安を伴う精神疾患が発症したり、
引きこもりや暴力、不登校などの二次障害として問題行動が表れるリスクもあります。
「大切なのは軽度知的障害の状態を理解し、適切な支援を行うこと」です。
・抑うつや不安障害などの精神疾患、引きこもりや暴力・暴言などの二次障害が見られる場合は、
叱ったり責めたりせず、その行動の背景にある原因を理解することが重要です。
・軽度の知的障害を理解し受け入れるには、本人も周囲も時間がかかります。
・「障害理解」や「障害受容」のスピードは人によって異なります。
・適切に医療機関や支援機関、学校などと連携し、相談しながら、
自分たちのペースで軽度の知的障害と向き合っていくことが大切です。
軽度知的障害のまとめ

・知的障害は目に見えない障害です。
・軽度の知的障害の場合、ある程度の読み書きや日常生活が自力でできるため、
「軽度の知的障害がある」と気づきにくいことが多いです。
(診断を受けるまでに長い時間がかかることがあります)
・「症状が軽いから放っておいても大丈夫」ということではなく、
幼い頃から困難を抱えている人もたくさんいます。
・診断が遅れることによって困難を長年抱え続け、学習面や人間関係に悩み、
うつ病など他の精神障害を併発する場合が多いです。
・診断を受けて、適切なサポートを早期から受けることで、
その人が抱える困難を少しでも取り除いていくことが重要です。
・発達に気になる点がある場合や、
自閉スペクトラム症(ASD)やADHD(注意欠如・多動性障害)の診断を受けている人は、
医療機関で知的障害について相談することが勧められます。