「カサンドラ症候群」とは、家族やパートナーが発達障害を抱えているためにコミュニケーションが円滑に取れず、心的ストレスが原因で不安障害や抑うつ状態を引き起こす状態のことです。今回は、カサンドラ症候群の症状、治療・対処法、そしてどのように向き合っていけばよいかについて解説します。

近年、職場や家庭において「自閉症スペクトラム(ASD)」を持つ人々との関係の中で、深刻なメンタルヘルス不調として「カサンドラ症候群」が報告されています。この症候群は「DSM-5」(精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版)には記載されておらず、正式な疾患名ではありません。
「カサンドラ」という名前はギリシャ神話のトロイの王女から来ています。彼女は未来予知の力を持ちながら、その言葉を誰にも信じてもらえないという状況に置かれていました。このため、心理療法家シャピラは1980年代に、理解されない困惑の状態を「カサンドラ症候群」と名付けました。ソクラテスの妻も「カサンドラ症候群」だったのではないかと言われています。
発達障害(ASD)のある人との情緒的交流が乏しく、その結果として関係性が悪化し、パートナーや周囲から理解されずに苦しむ状況が「カサンドラ症候群」を引き起こします。この症候群は特に、発達障害のある人と親密な関係にある人に多く見られます。発達障害(自閉スペクトラム症:ASD)の特徴として、以下が挙げられます。
これらの特徴は学業や職業において有利に働くこともあり、高度な専門知識を必要とする分野で活躍する人もいます。発達障害(ASD)がある人との職務上の関係に困り、繰り返し努力するものの逆の効果になってしまい、支援する側にメンタルヘルス不調の状態が生じてしまうことが多くあります。
カサンドラ症候群の症状は「身体的症状」と「精神的症状」の2つに分けられます。 身体的症状には以下が含まれます。
精神的症状には以下が含まれます。
以下のような人がカサンドラ症候群になりやすいと言われています。
例えば、発達障害のあるパートナーの不適切な発言に対して怒ったり指摘せず我慢を続けることで、精神的ストレスが蓄積し、カサンドラ症候群の症状が現れることがあります。発達障害のある人への支援だけでなく、パートナー(夫婦)などへの支援も重要となっており、そのことが発達障害のある人への意味ある支援につながるものと思われます。一人で抱え込まないための工夫が必要です。

カサンドラ症候群に苦しむ人々への支援として、以下の点に配慮することが重要です。
発達障害のあるパートナーと良好な関係を築くためには、お互いに発達障害について理解を深めることが大切です。パートナーによっては、自身が発達障害であることに気付いていないケースがあります。そういった自覚のない相手に対して、発達障害の専門外来の受診や通院を強要してしまうと、より関係性が悪化してしまう可能性があります。まずは「どのような特性や困りごと、行き違いなどがあるのか」をお互いに理解しあい、ゆっくりと共有していくところから始めましょう。
お互いに生活するうえで、例えば「話すときはお互いに否定せずにしっかりと話を聞く」など不満やストレスを感じる部分については、あらかじめルールを決めておくことで、事前にトラブルを回避し、両者の精神的な負担を減らすことができるかもしれません。また、お互いの行動の理由等について話し合い、理解を深めることで、相手を尊重することにつながる可能性が高まります。
一人で抱え込み続けることで、より心的ストレスがかかり症状が悪化してしまう可能性があります。心的ストレスを軽減するために、信頼できる人に相談しましょう。一人で抱え込まず、周囲と気持ちを共有することで気が楽になることがあります。
辛い状態が続く場合は、一旦休んで適切な距離感を考えることも重要です。時には、パートナーと関わる機会を減らして、適切な距離感について考えることも大切です。これからのパートナーとの関わり方について、落ち着いて考えてみましょう。
カサンドラ症候群の症状を抑え、良好な関係を築くためには、お互いを理解し合うことが重要です。カサンドラ症候群の方も発達障害のある方も、それぞれが困難を抱えています。ゆっくりと理解を深め合い、良い関係を築いていきましょう。
以上が、発達障害を支援する人々のメンタルヘルスとカサンドラ症候群についての説明でした。