軽度知的障害【症状と診断。早期対応の重要性や相談先などについて】

軽度知的障害は知的障害の約85%を占めるとされており、その”軽度”であるために
障害に気づかれずに成長し、大人になってから社会で生きづらさを感じるケースも多く見られます。
今回は、軽度知的障害の症状判断基準相談先早期発見の重要性について詳しく解説します。
また、軽度知的障害を持つ方が利用できる相談窓口も紹介しますので、
該当する方はぜひ最後まで読んでみてください。

知的障害は程度により軽度中等度重度最重度の4つに分類されますが、
軽度知的障害は最も軽い状態を指し、発達期(18歳頃)までに生じた知的機能の障害が特徴です。
軽度知的障害の特徴は、知能指数(IQ)が約50~70の範囲に収まることです。
この障害は知的機能と適応行動が平均水準よりやや低いとされ、問題が表面化しないこともあります。

軽度知的障害【症状と診断。早期対応の重要性や相談先などについて】

軽度知的障害の診断は個別のテストを通じて行われます。
年齢ごとに異なるテストを受けることができ、0歳から92歳の高齢者まで診断可能です。
この障害は複雑な言語の獲得理解学習の達成が困難で、
一般的に言葉が遅かったり、学業成績が低かったりします。
具体的な言葉は理解できても、抽象的な概念事柄を説明するのが苦手なことが多いです。

子供の成長を比較することは好ましくないものの、日常生活で言葉が遅いと感じた場合は
小児科を受診することが勧められることもあります。
軽度知的障害があっても、成長するにつれて基本的な生活能力を身につけることができ、
多くの人が就職して自立した生活を送っています。
福祉サービスや専門のサポートを受けることで、より安定した生活が可能になる場合もあります。
知的障害があるからといって何もできないわけではなく、周囲が適切な学習方法や接し方を
理解すること
で、できることを増やすことができます。

軽度知的障害の問題点

幼少期の発見が難しい
軽度知的障害の発見は幼少期には難しいことが多いです。
自立した生活を送れるので問題ないと思われるかもしれませんが、
軽度でも知的障害があることで様々な問題が生じます。
軽度知的障害は、小学校入学後に気付かれることが多く
乳幼児期には言葉が遅くとも話せるようになるため問題がないように見えることがあります。
単純な意思疎通は可能でも、複雑な意思疎通が難しい場合があります。
そのため、問題があっても知的障害とは結びつけないことが多いのです。
成長するにつれて他の子どもとの違いが明らかになり、
軽度知的障害が発覚することがあります。

複雑な意思疎通の問題
単純な意思疎通では問題がない場合でも、大人になるにつれて増える
複雑な意思疎通が問題となります。
意思疎通がスムーズに取れないと、コミュニケーションが難しくなり、
社会に出てからの仕事や人間関係に溝が生じることがあります。
その結果として孤立を深める可能性があります。
しかし、知的障害についての理解があれば、接し方を工夫することで
問題をカバーすることができます。
わかりやすく話すなどの工夫をすることで、コミュニケーションのスムーズさを
ある程度改善することができます。

自尊心の低さと他者への依存
軽度知的障害の症状の一つに、自尊心が低く他者に依存的な傾向があります。
成長段階で同年代と自分を比べて劣っていると感じることで、
この傾向がより顕著になることがあります。
依存的な傾向が強いと、他者から騙されたり犯罪に巻き込まれるリスクが高くなります。
特に物事を理解するのが難しいため、不利益を被る可能性が高く、
知らないうちに犯罪に加担して逮捕されるリスクもあります。

軽度知的障害の診断方法
軽度知的障害はすぐに分かるものではなく、行動などを観察した上で総合的に判断して診断されます。
知的障害の原因を見極めることが最初のステップです。
染色体異常や先天代謝異常症、胎児の時に先天性風疹症候群を患った場合や、
発作性疾患であるてんかんなどが原因となることがあります。
しかし、原因疾患が特定できないこともあります。

日常生活の適応機能を評価
日常生活の適応機能は、以下の3つの領域について評価されます。

【概念的領域】

  • 記憶
  • 言語
  • 読字
  • 書字
  • 数学的思考

【社会的領域】

  • 共感
  • 対人的コミュニケーション技能
  • 友情関係を築く能力
  • 社会的な判断能力

【実用的領域】

  • セルフケア
  • 仕事の責任
  • 金銭管理
  • 娯楽
  • 行動の自己管理

評価は自宅だけでなく、学校や職場などの環境でも行う必要があります。
多面的な評価により、機能状態の困難さをより正確に理解することができます。
生活の中で感じる困難さを明確にすることで、必要なサポートがわかり、
適切なサポートを受けるための診断が重要となります。

日本版Vineland-Ⅱ適応行動尺度

日本版Vineland-Ⅱ適応行動尺度は、0歳から診断可能な適応行動の評価基準です。
評価は以下の5つの領域に基づきます。

コミュニケーション

  • 受容言語
  • 表出言語
  • 読み書き

日常生活スキル

  • 身辺自立
  • 家事
  • 地域生活

社会性

  • 対人関係
  • 遊びと余暇
  • コーピングスキル

運動スキル

  • 粗大運動
  • 微細運動

不適応行動

  • 不適応行動指標
  • 不適応行動重要事項

これらの領域を総合的に評価することで、対象者の特性を見極めることができます。
評価は同年齢の一般人の適応行動を基にしているため、客観的な数値化が可能です。

他の評価方法
日本では、Vineland-Ⅱ以外にもASA旭出式社会適応スキルなどが使用されています。
対象者の年齢に応じて、適切な検査方法が異なるため、
年齢に合った方法を用いて評価を行います。

軽度知的障害と診断されたら
知的障害そのものの改善は難しい
軽度の知的障害は、風邪や骨折のように完治するものではありません
しかし、適切な治療や療育を受けることで、機能を向上させることが可能です。
どの程度改善するかは個人差がありますが、軽度の知的障害を持つ人でも
社会の中で自立した生活を送ることができます
ただし、外部からのサポートや支援を受けられる環境を整えることが重要です。

身近なサポートの受け方
支援やサポートを受ける方法が分からない場合は、
住んでいる地域の自治体や行政機関に相談することをお勧めします。

療育の重要性
適切な療育で長期的予後を改善
療育は、障害を持つ子どもに対して個別に問題解決を図るアプローチであり、
発達支援とも呼ばれます。
療育は早期に始めることが望ましく、早期のアプローチにより状態が安定し、
行動の幅が広がります。
知的障害の可能性がある段階から療育を受けることができるため、
心配事があれば地域の自治体や小児科に相談してみるのも一つの方法です。

家族や周囲の支援の重要性
正しい知識と関わり方
軽度の知的障害者と接するには、正しい知識が必要です。
関わり方次第で症状が改善することもあるため、日常生活を送る家庭も支援の場と言えます。
教育の場でも、就学前から軽度の知的障害が分かっている場合
特別支援学級のある学校を選ぶことも検討できます。
親も一緒に成長していく必要があり、親子で参加できるプログラムを提供する療育もあります。

軽度知的障害に関する相談窓口
相談先

  • 障害児童に関する相談 児童相談所、保健所、各市町村の児童家庭相談窓口
  • 身体障害者・知的障害者に関する相談 市町村福祉事務所、市町村担当課(障害福祉)
  • 障害者の仕事に関する相談 障害者就業生活支援センター

住んでいる地域の自治体に確認することで、適切な相談先が分かります。
知的障害の人の年齢によって相談機関が異なるため、子どもであれば児童相談所保健所
大人であれば各市町村の福祉事務所などで相談が可能です。
また、相談の種類に応じて専門的なアドバイスを得るために相談窓口を変えることも有効です。
相談先が分からない場合は、保健所精神保健福祉センターなどで専門性の高い事業所
紹介してもらうことができます。

軽度知的障害【症状と診断。早期対応の重要性や相談先などについて】

まとめ
軽度知的障害は分かりにくいため、早期発見が難しいことがあります。
しかし、早期に適切な療育を受けることで、能力の向上や安定が見られるため、
早期発見が非常に重要です。
疑問が生じた場合は、専門の窓口に相談することで早期発見に繋がります。
知的障害は完治しないため、一生付き合う必要があります。
定期的に福祉サービスやカウンセリングを受けることで、安定した日常生活を送ることができます。

お読みいただきまして、ありがとうございました。