軽度知的障害【※遺伝や特徴について】

知的障害とは、知能指数・適応能力・発達期の3つの基準に基づき、社会生活において困難を抱え、支援を必要とする状態を指します。特に軽度知的障害は、知能指数が50~70程度で、適応能力が正常またはやや遅れている状態を指します。発達期である18歳未満に知的機能の障害が見られ、日常生活で様々な課題が生じますが、目に見えず個人差が大きいため、障害に気づくのが難しいことが多いです。 また、知的障害は自閉スペクトラム症(ASD)やADHD(注意欠如・多動症)などの発達障害と併存することもあります。特に「軽度知的障害」は、周囲に気づかれにくいことが多くあります。今回は、「軽度知的障害」の症状や支援方法についてお話しします。それでは始めましょう。

知的障害の定義

知的障害の定義は次の通りです。

知的能力障害(ID)は、医学領域の精神遅滞(MR)と同じものを指します。

・論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、学校や経験による学習など、全般的な精神機能の支障によって特徴づけられる発達障害の一つです。

・発達期(18歳頃まで)に発症し、「概念的領域」「社会的領域」「実用的領域」における知的機能と適応機能の両面の欠陥を含む障害です。

すなわち、

1.知能検査で確認される知的機能の欠陥

2.適応機能の明らかな欠陥

3.発達期(おおむね18歳まで)に生じる

と定義されます。

軽度知的障害とは?

軽度知的障害とは、以下の状態を指します。

・18歳頃までの発達期に生じた知的機能の障害により、知能指数が50~70程度である状態を指します。

・言葉や抽象的な内容の理解に遅れが見られることがありますが、身の回りのことはほとんど一人で行うことができます。

・学業面では遅れが生じますが、生活経験を通じて問題解決能力を身につけることができます。

・幼児期には気づかれにくく、学齢期以降に「不登校」「ひきこもり」「うつ病」「不安障害」などの二次障害が現れ、軽度知的障害と診断されるケースもあります。

自閉スペクトラム症(ASD)などの併存症がある場合も多いです。

軽度知的障害の特徴

軽度知的障害の特徴としては、以下のことが挙げられます。

  • 知的機能と適応能力にやや遅れがありますが、食事・洗面・着衣・排泄などの身の回りのことは自分で行うことができます。
  • 書字、読字、算数、時間などの概念の認識や、会話、コミュニケーションなどの社会的な面で困難を抱えることがあります。
  • 経験を通じて学びを広げる力もあります。

また、以下の特徴が見られます。

  • 言語の発達がゆっくりで、大人でも小学生レベルの学力に留まることが多い。
  • 漢字の習得が困難な場合があります。
  • 日常生活スキルには問題がありません。
  • 集団参加や友だちとの交流は可能ですが、コミュニケーションがパターン化されていることが多く、年齢に対して未熟です。
  • 記憶や計画、感情のコントロールが苦手です。
  • 知能指数(IQ)が50~70程度です。

また、学習面や言葉の遅れがあり、抽象的な意味を理解することが難しい場合や、学習全般で遅れがあるケースもあります。記憶にも苦手がありますが、経験を重ねることで身の回りのことはできるようになります。知的な要求が増える学齢期以降に気づかれることが多いですが、個人差があります。

軽度知的障害の原因

軽度知的障害の原因は大きく3つに分けられます。

■内的要因:遺伝子や染色体の異常などの先天的な原因で、病気や外傷による脳障害を伴う場合は「病理的要因」、特に疾病がなくても内的要因で発症する場合は「生理的要因」と呼ばれます。約8割が内的要因とされています。

■環境要因:出生時のトラブルで頭蓋内出血が起きたり、へその緒がねじれて脳に酸素がいかないことなどによるものです。

■外的要因:出生前後の事故や養育環境によるもので、感染症や薬物・アルコールの大量摂取、栄養不足などが該当します。

知的障害と遺伝の関係

知的障害の一部は遺伝的な原因によって起こることがありますが、それは親から子に必ず遺伝するという意味ではありません。正常な遺伝子や染色体が突然変異を起こして発症するため、「遺伝子の変異は誰にでも起こり得る」という認識が必要です。

早期発見の難しさ

知的障害は他の障害と合併して現れることが多く、見過ごされるケースもあります。乳幼児期には言葉の遅れ、学齢期には日常生活の行動がスムーズにできない、対人関係がうまく築けない、学校の勉強についていけないなどの症状があります。青年期には意思決定が苦手、金銭トラブルに巻き込まれやすい、見通しを立てたり計画的に行動することが苦手などの症状があります。

軽度知的障害は周囲から気づかれにくい

軽度知的障害は周囲から気づかれにくい障害の一つです。学齢期になって困難を感じるようになっても、診断を受けないまま気づかれないケースもあります。本人や保護者、周囲が「軽度の知的障害である」ということを受け入れるのが難しい場合もあります。このような状態が続くと、ストレス負荷が高く、抑うつや不安を伴う精神疾患、引きこもり・暴力・不登校などの二次障害が現れるリスクもあります。大切なのは「軽度知的障害の状態を理解して、適切な支援を行うこと」です。

早期発見の難しさ

軽度知的障害による抑うつ、不安障害などの精神疾患、引きこもりや暴力・暴言などの二次障害や問題行動が見られる場合は、叱ったり責めたりせず、その背景にある原因を理解することが重要です。本人や周囲の人にとって、軽度の知的障害を理解し受け入れるには時間がかかることがあります。適切に医療機関や支援機関、学校と連携しながら、自分たちのペースで向き合っていくことが望ましいです。

軽度知的障害のまとめ

知的障害は目に見えない障害です。特に軽度の知的障害は、ある程度読み書きや日常生活が自力でできるため、気づきにくいことが多く、診断を受けるまでに時間がかかることがあります。「症状が軽いから放っておいても大丈夫」というわけではなく、幼いころから困難を抱えている人も多くいます。診断が遅れると、学習や人間関係に悩み、うつ病などの他の精神障害を併発する場合が多いです。早期に診断を受け、適切なサポートを受けることが重要です。

以上が、軽度知的障害の特徴やその原因、症状や支援方法などについてでした。